セミナー

2022年04月29日

整動鍼がオンラインセミナーをやらない理由


コロナ禍で失ったもの


試練は2020年の春から始まりました。鍼と整体のセミナーはコロナ禍に飲み込まれてしまったのです。

一時はセミナーは休止せざるを得なくなり、再開できた後も東京は避けられて参加者は激減しました。追い打ちをかけるように、初期の頃からずっとお世話になっていた貸し会議室も閉鎖してしまいました。

先が見えない中、セミナー事業を閉じるという選択肢も頭の片隅にありました。鍼灸関係のセミナーもどんどんオンライン化し、SNSでは「オンラインで十分だよね」という声が大きくなっていました。zoomの株価が最高値を更新している頃、いろんなところで「○○zoom」が流行っていました。

決断に必要なのは勇気だけだった


整体セミナーである活法は実技なしにはどうしても成り立ちません。いっぽう、鍼セミナーの整動鍼はオンライン化するという選択をもあったわけですが、あえてシフトしませんでした。

それどころか、常設のセミナー会場を用意する方向に舵を切りました。説明するまでもなく、会場はセミナーの都度借りる方がリスクが低いです。人の足がいつ戻るかわからない状況の中で決断するのは勇気がいりました。

未来が見えていたわけではありません。私の中にある感情と計算に従っただけです。


オンライン化を拒んだ感情


コロナで気づいた本当の気持ち


感情の方から説明します。オンライン化したセミナーを想像すると、モチベーションが下がってしまうのです。誰かは思うかもしれません。「リアルでもオンラインでも、技術を普及させたいと思う気持ちがあればこだわる必要なんてないでしょ?」と。

おっしゃる通り「技術を普及させたい」という気持ちがベースにあるなら、そうだと思います。ただ、ちょっと違うのです。

最初はこの違和感を説明できませんでした。だんだん、わかってきたのです。私は数の勝負をしたいのではなかったのです。シェアを拡大するといった、そういう野望がないのです。

とはいえ、欲がないわけではありません。「セミナーを続けたい」というはっきりした欲があります。その欲の正体に気がつくまで時間がかかってしまいました。新型コロナがなかったら、気がつかないまま走っていたかもしれません。

大切に使ってくれる人を大切にしたい


私の中にあったのは「大切に使ってくれる人」を増やしたいという欲と、そういう人と丁寧に付き合っていきたいという願望です。振り返れば、少人数制で実技中心のセミナーを選択してきたのは、そういう欲と願望があったからだと説明できます。

普及だけ考えるなら、YouTubeで技術を公開し、直接指導したい人だけをセミナーに集める、というやり方もあります。実際に、このビジネスモデルは主流です。こうしたやり方は、私には合いません。というより、やろうとする気持ちが生じないのです。理由はすでに書いた通りです。手から手へと丁寧に技術を伝えたいのです。

経営者としての責任


こうした気持ちは売上を伸ばすにはNGなのかもしれません。定員が20名くらいのセミナーを繰り返し続けても限界は決まっていて成長の余地はありません。

とはいえ、経営を破綻させて社員を困らせるわけにもいきません。売上が伸び悩んでも問題が生じない経営をする責任があります。

私が行き着いたのは、事業規模に合わせてスタッフを雇うのではなく、スタッフに合わせた事業規模にするという考えです。経営的に正しいかどうかわかりませんが、私のモチベーションにとってプラスなのは間違いありません。

事業を軸にするのではなくスタッフを軸にする


どういうことかと言いますと単純です。「一緒に働きたい人と働くだけ」です。私が一緒に働きたいと思う人がいれば声をかけますし、一緒に働きたいと言ってくれる人がいたら採用を検討するのです。

最初は「○○事業を始めるには○人の雇用が必要」と考えていた時期がりますが、今はまったく考えていません。「縁がある人と無理ない計画で仕事を楽しんでいく」と変わりました。


オンライン化を拒んだ計算


オンラインはブーム!?


オンライン化に踏み切らなかったもう一つの理由は、オンライン化は一時のブームになると予想していたからです。もし、オンラインを軸にしてしまったら、会場セミナーの価値を自分の手で潰してしまうことになるからです。私が思う、会場セミナーの価値は、時間と空間を同時に共有できることです。

仲間がいるから上手くなる


技術セミナーに対して「何をどうすればいいのか教えてくれれば十分」と考える人もいるでしょう。ただ「仲間づくり」という観点からするともったいないと思います。仲間づくりを大切にしたいのは、寂しさを埋め合わせるためではありません。技術を向上させるには仲間が必要だからです。

仲間と練習するから気がつくことがあります。患者さんが言ってくれないことも、仲間なら言ってくれます。個人事業の鍼灸師は積極的に外に出なければ、技術交流はできません。技術があると思っていたのは自分だけ、なんて状況は笑えません。

お気づきの通り、完全にオンライン化してしまうと、最初に試すのは患者さんという状況が生まれるのです。もちろん安全範囲でやることですからキケンという意味はありませんが、不確実性は拭えません。


セミナーの価値


セミナーの価値は内容だけにあるわけではなく、その機会に乗じて仲間づくりができることにあると考えています。受講者と受講者の関係はもちろん、受講者と私の関係も大切です。講師をしていても、受講者さんと関係が生まれると私も学べるのです。

セミナーの価値の半分は仲間づくりにあると言っても過言ではありません。少なくとも私はそう考えていますし、その場を提供できていることに喜びを感じています。

ピンチはチャンス


話を最初に戻します。コロナ禍が始まった2年前、オンラインセミナーのブームは2〜3年続いた後、会場セミナーの価値が見直されていくだろうと予想し、自前で会場を持つことにしたのです。物件を探し、品川駅の港南口から徒歩圏内のところと契約しました。

コロナ禍が過ぎてから借りるというリスク回避もありますが、コロナ禍の真っただ中の方が、物件が選びやすく値段交渉がしやすいと考えました。

品川区の物件を選び内装を終えて稼働が始まったのが2021年1月でした。1年ちょっと前です。セミナー単独で使うには無駄が多いので鍼灸院との併設で折り合いを付けました。ですので、港区でやっていた鍼灸院を品川区に引っ越ししました。セミナーの売上は激減し大きな出費が重なった2020年は経営的に正念場でした。

カポスの動く壁(YAMAZAKI スライディングウォール)

ちなみに、内装には動く壁(スライディングウォール)を採用していて、YAMAZAKI(富山県)に依頼しました。こららのページで仕掛けが紹介されています。


セミナー本格再稼働


この2年間、セミナー情報の発信は控えめにしてきましたが、本格再稼働に向けて動き始めています。政府も経済活動再開への意識を強めてきていますし、私も活動を活発にしていこうと思っています。

さっそく、いろいろ用意しています。

6月には山口県で整動鍼の講習会を行います。山口県鍼灸師会の学術部から依頼をいただきました。東京ばかりだったので地方セミナーに飢えていましたので嬉しいです。単発開催なので臨床のヒントをたくさん用意していこうと思っています。参加費がたいへんリーズナブルなので早めに満席になるかもしれません。山口県鍼灸師会に所属していない一般の方でも参加できますので、お近くにお住まいの方はぜひご参加くだささい。

山口県鍼灸師会の整動鍼講習の案内

◎日時 6月5日(日)11:00-16:00
◎会場 山口県セミナーパーク
◎参加費 一般5,000円(山口県鍼灸師会会員3,000円)
◎申込み(お問い合わせ) 山口県鍼灸師会

7月には、自前の東京会場で整動鍼の入門セミナーを行います。本格的にやってみたいけど、「いきなり2日連続の基礎編では...」と躊躇している方にとってはうってつけの内容です。このセミナーで整動鍼の虜になってしまう鍼灸師がとても多いです。「入門編」と名付けてはいますが、もっとも応用範囲の広い技術を学べるセミナーです。定員は18名ですので、申込みが集中すると満席まで時間がかからないかもしれません。

整動鍼入門セミナー


◎日時 7月24日(日)10:30-18:00
◎会場 東京(JR品川駅から徒歩10分)
◎申込み 整動協会 受付開始 5月1日(日) 21:00〜




twitterもよろしくお願いします。
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はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
はりきゅうルーム カポス(東京/品川駅)
整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)

yoki at 21:55│Comments(0)

2020年01月27日

食べたり飲んだりしながら人はつながる


整動鍼セミナー脊柱編の1日目が終わりました。

1日目が終わった夜には「たべたりのんだり会」と名付けたゆるい懇親会をしています。この時間は、セミナーの内容を振り返って話すこともありますが、それよりも「普段はどんなふうに仕事しているの?」と、地元での活動っぷりが話題になることが多いです。

食事とお酒を自由に持ち込むスタイルにして無料でやっています。当初は居酒屋で懇親会をしていたのですが、こっちのスタイルにしてから参加者が急増。毎回半数以上の方が参加されます。多い時はほぼ全員です。2時間では話し足りないって人もいるようで、終わってから再び出かけちゃう人もいます。

こういう場を必要としている場が多いんだなって思います。戦略的な人脈づくりを目的にしている人がいるかもしれませんが、雰囲気はそういう感じではありません。孤独感や寂しさを胸の中に抱えていて、つながれる場を求めているのだと思います。そもそも私がそんなタイプです。

講師だから教えるのが仕事なんですが、「教えて終わり」だったら面白くありませんし、寂しいです。そういう感じであれば、セミナー事業を10年も続けて来なかったと思います。

私にとって重要なのは「双方向」です。セミナーだけでなく鍼灸の臨床でも重要です。私の臨床は、鍼をしたら反応を見る…の繰り返しですからね。

リアクションが見えない仕事は、たぶんできません。やった仕事に対して「どう?」ってすぐにリアクションを求めます。もしかしたら鍼灸師全般がそういう人種なのかもしれません(勝手に決めつけんなって言われそうですが…)。そう思うのは、前職で「自分の仕事が社会にどう役立っているのかわからない」と思って鍼灸師になったというエピソードが多いからです。


リアクション次第で好きになってしまう


人にリアクションを求めているのだから、自分がリアクションが薄くならないように気をつけています。もともと上手くないので、自然なリアクションができるようにしておかないと。行動でやろうとすると不自然なので、心の感度を上げるようにしています。

私が仕事に求めているのは、いつだってつながりです。患者さんがたくさんやってくる鍼灸院を目指すのも、つながりを増やしたいからです。セミナーを繰り返すことで得られるのも、つながりです。一人ひとりと出会っていくことが社会との接点を増やし、結果的に社会とのつながりを太くしていけるのです。

つながりを意識して講師をするようになってから、より楽しめるようになりました。「上手に説明しよう」とか「上手な実技を見せよう」とか考えると、いらぬプレッシャーを生み出してしまいます。つながりを意識すると不思議とプレッシャーを感じなくなります。たぶん、相手のリアクションに注意が向けられ、自分のリアクションをチェックするモードになっているからでしょう。

人には相性があるし、好きとか嫌いとか、ありますよね。その判断って、相手のリアクションの質でやっていませんか? 私は、笑顔とか見せられるとすぐに心が引き寄せられてしまいます。けっこう軽い心をしております。

とまあ、こんなふうことを考えながらセミナーを開催しているのであります。もちろん、セミナーで意識する「つながり」はゆるいものだから、警戒する必要ないですよ。ご安心くだされ。

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宿泊先のビジネスホテルにて思いつくままに。

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yoki at 01:01│Comments(1)

2019年10月29日

整動協会とぼくらの未来


無料から有料へ


私が代表を務める整動協会は設立から2年が経ち、次のステップに向けて準備を進めています。無料のコミュニティとして発足し、のちに有料のコミュニティに移行してきました。想像していた通りですが、無料と有料では会員さんの意識は大きく変わります。「無料なんだし」という理由で、許されていたことが許されなくなります。

会費が会の収入として入ってくるので、活動費用に余裕ができるいっぽう、会費に対する対価を提供できているのかと、厳しく自問していくことが必要です。鍼灸師の仕事や講師の仕事は楽しくできていましたが、組織の運営では「楽しいですよ」とは言い切れない自分がいます。「仕事は楽しもうよ」と人には言っている私が、心の内では「仕事は楽しいことばかりじゃない」と思っているので、明らかに矛盾しています。

人間関係の網がもつれないように、やりくりするのは簡単ではありません。いってみれば、組織運営は新しいスポーツへの挑戦と同じです。もし、私に才能があっても、1年程度では全国大会にはいけないでしょう。私が完成されたリーダーでないことは、私が一番よくわかっています。日々トレーニングです。少しずつ実力がついてきていると思います。

協会が発足する前は、会費のないコミュニティで、会員数が200人を超えていました。協会ができた時、数十人が抜けたので、160人くらいからのスタートになりました。


がんばりをねぎらいつつ、成果を冷静にみる


コミュニティが有料化されてからの1年を振り返ってみると、会員の増加数は+7人(163人⇒170人)です。有料化したから仕方ないと見ることもできますが、コミュニティ運営に多額のコストを費やしたので言い訳はできません。この数字を評価して結論を出すのもリーダーの仕事です。

私の手や目が行き届かないところは役員が代わりを果たしてくれました。私の知らないところでがんばっていたと思います。

彼らが費やした汗を想像し、ねぎらういっぽうで、代表としては、会費が有効に使われていたかを厳しく見なければいけません。役員は成果で評価すべきなので、私が把握している「がんばり」は箱にしまっておきます。

心を鬼にして評価すると、かかったコストに対し会員増加数が伴っていないように思います。もちろん、会員数増加だけで評価できませんが、協会の発足後、私と役員が課題としてきたのは、会員数だったからです。鍼灸師が成功できる協会であると認識されたら、自ずと会員数は増えるはずです。実績を冷静に見れば、内部充実と外部への発信力、どちらも足りていなかった可能性があります。会員数は会の運営資金にも直結しますし、増えた方が会の運営にプラスになります。また、会員が増えれば一人当たりの負担も減らせるかもしれません。

どのみち、現状と会費を照らし合わせると、会費の見直しを真剣に検討しなければなりません。そのためには、運営をコンパクトにしてコストを下げる必要があるでしょう。私一人では実現できませんし、改革にはみんなの理解が必要です。


相互扶助を実現するコミュニティ


「会の発展って何だろう?」って考えた時に、会員個人の成功に帰着すると思うのです。会員の一人一人が成功しなかったら、会が成功するはずがありません。どんなに崇高な目標を掲げても、会員一人一人が施術や経営で悩んでいたら前に進みません。だから、会員の成功をお手伝いするのが、もっとも近道で正攻法です。

鍼灸院の経営は他の業種同様に簡単ではありません。リスクを恐れて一歩を踏み出せない人もいます。根拠のない自信で飛び出して成功する人もいますが、失敗して諦めてしまう人も少なくありません。

成熟した組織が支援しても、リスクをゼロにすることはできませんが、半減させることくらいはできると思います。

私が考える会の在り方は、相互扶助です。会員同士がお互いに助け合う関係です。私もその一員になりたいと思っています。だから、私は時に助ける存在であり、時には助けてもらう存在です。上下関係ではなく、リスペクトし合える関係が理想だと考えています。

こういう観点からすると、まだまだ会員さんのスキルを引き出せていません。業界の外で養った高い能力を隠し持っている場合がとても多いのです。絵の才、音楽の才、デザインの才、編集の才、語学の才、スポーツの才、ユーモアの才、文才、経営の才など。思い当たる人がたくさんいます。


改革の時が来た


理想と現実を分けて運営しようと決意しています。超現実主義でいこうと考えています。未来に投資することは大事ですが、遠すぎる未来だと実現できぬ夢で終わってしまいます。

よい就職先を探したいとか、独立して食べていけるか不安であるとか、患者さんの数が落ち込んで経営が危ないとか、技術的に不安であるとか、そういう目先の課題が鍼灸師には降りかかってきます。

私は別の組織の理事をして「鍼治療の標準化」というプロジェクトに関わっています。すごく夢があるテーマで、実現したら医療の一部として鍼灸が認められる社会になります。とてもワクワクします。私が率いる整動協会は、そういう夢を抱くために必要な余裕をつくる場所にしたいです。

整動協会としては「整動鍼を普及させる」というミッションがありますが、整動鍼という技術体系が、鍼灸師の悩みを解決できなければ意味がありません。

改革のために、夏からずっと準備してきました。自分の想いを理解してもらえるように、内外に働きかけてきました。全員に理解してもらうことはできませんでした。私がやれることは、誤解を生じさせないことです。事実と違うことは勇気をもって訂正します。

リーダーとして未熟なところばかりですが、決断する勇気だけは忘れないようにしたいと思います。

6回に分けて、私の内面と共に組織の課題を告白してきました。中には、リーダーの揺らぐ姿を見て不安になった会員もいらっしゃると思います。でも、私はただの人間ですから常に揺らいでいます。特別な人間ではありません。そういう現実を隠して生きるよりも、弱さを含めた内面を理解してもらって生きる方を選んだのです。


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yoki at 00:40│Comments(0)

2019年10月23日

大人になりきれないリーダーの告白



セミナーの強みとリスクは「人」


セミナー業は、高価な機械に投資する必要もなく店舗もいりません。だから、ノーリスクだと思われていることがあります。低リスクな事業に分類されると思いますが、決してノーリスクな事業ではありません。私が背負っているリスクは、売上を「人」に依存していることです。

当たり前ですが、セミナーは講師が顏になっていくので、いかに優秀な講師を育てられるかで事業の行方が決まります。もちろん、講師を養成するにはお金がかかります。お金と時間をかけて育てた講師がフッと消えてしまうリスクを抱えています。

時々、セミナーの当日だけの収支で利益を計算されてしまうのですが、コストは1年を通してかかっています。ここまで全体を通してみれば順調と言えます。でも、そうではないことも起きています。期待していた人材が続々と流出するなどして、会社は大きな経済的ダメージを負いました。

育てた講師は、外から見れば実力が保証された即戦力です。声がかからないはずがありません。考え方によっては名誉な話です。うちの社員であることがブランドになっているのですから。とはいえ、現実はそんなふうに考えられる余裕はありません。残る社員に負担をかけないように、売上を確保しなければならないからです。経営者として神経をすり減らす場面です。 

これから入ってくる社員もいるので、この記事で不安にさせるわけにはいきません。会社はきちんとリスク管理ができているので安心してください。


利益は誰のものか


私は、手伝ってくれる人にはしっかり報酬を出したいので、セミナーでは売上を大事にしています。しっかり料金を頂いているので、立地の良いところを会場にできたり、講師に報酬を支払うことができます。もし、セミナー代が半分になってしまったら、会場を変えなければいけませんし、講師を頼むこともできなくなります。

実際に、復習会(2019年度では「整動鍼 DVD演習編」「整動鍼 取穴復習編」「活法 術理体得編」が相当)のような低料金設定のセミナーでは、会場代と依頼する講師代で売上はすべて消えてしまいます。私自身の講師料は生み出せません。もちろん、コストは会場代と講師料だけではありません。事務費用もかかります。そして、カリキュラム作成、教材制作、技術顧問へのロイヤリティ、交通費、協会運営に費用がかかっています。

受講者が少ない時は、薄利または赤字です。こういう現実を知らない人は、セミナー代が高いと感じるかもしれません。確かに鍼灸業界の相場と比べると料金が高めです。

鍼灸業界の多くのセミナーがボランティアで営まれているので、余計に高めに見えます。だからこそ、本気の努力が必要です。価格に対して内容が伴わないと判断されてしまえば誰も来てくれません。価格に見合うコンテンツを提供し続けなければなりません。

価格を下げれば、「良心的ですね〜」と褒めてもらえるかもしれませんが、講師はボランティアでお願いしなけれなりません。都心の会場も使えません。

ボランティアではなく事業としてセミナーを行っているのは、鍼灸師の雇用を拡大したり、鍼灸師の可能性を広げる事業を展開するなどの展望があるからです。だから、リスクを背負えるし、がんばることもできます。

とはいえ、私一人が頑張っているわけではありません。私一人の力でもありません。支えてくれてきた人たちのおかげで今があります。だから、得た利益は、できるだけセミナーを支えてくれた人に回し、自分は最後になるようにしています。

私の気持ちを十分に理解してくれる人ばかりです。ただ、中には事情を知らずに「利益を独占するのはけしからん」と非難してくる人もいます。極端な例になりますが、会社の資産や人件費を含む経費、さらには個人の資産を開示するように迫られたことがありました。もちろん、上場していない株式会社の資産や従業員の給与を公開する必要はありません。

個人的な活動に協会の会費が使われていると勘違いされていることもありました。こうした誤解をつくっているのも、きっと私自身です。

おそらく、私の会社(活法ラボ)と協会(整動協会)のお金が外からは区別しづらいことが原因です。セミナー業務は会社で担っているものがほとんどですが、受講者が混乱しないように、すべて協会を介して対応しています。利便への配慮でやったことが誤解の種になっていたら元も子もありません。


傷ついてもよい人は一人もいない


あの渋沢栄一も言っていますが、透明性は大事ですが何でも馬鹿正直に開示するのはよくありません。守るべきものは守るのもリーダーの務めです。

 もともと商業は、政治と比較すれば、機密など持たなくても経営していけるはずのものであろうと思う。ただし銀行においては、事業の性質としてある程度は秘密を守れなければならないことがある。たとえば、誰にどれくらいの貸付があるとか、それに対してそのような抵当が入っているといったことは、社会道徳のうえから秘密にしておかなければならなないことだろう。
 また、一般の商売においても、いかに正直を旨としなければならないとはいえ、この品物はいくらで買い取ったもので、今この値段で売るからこれくらいの利益になる、といったことをわざわざ世間に公表する必要もあるまい。

渋沢栄一 著 守屋淳 訳『現代語訳 論語と算盤』(ちくま新書)(p161)


これから、協会の会員に向けて、セミナー代の一部が誰にどのように使われているのか詳しく説明する予定です。会費の用途も開示します。

渋沢先生がおっしゃる通り、社会道徳として秘密にしておく事項もあると思うのです。だから、ブログで公開できることはあまりありません。にも関わらず、公の場に記事を書いているのは、私の仕事に対する想いを外にも伝えたいからです。

協会を設立して2年。どこからともなくやってくる「組織とは○○であるべきだ」という圧力。その中で自分の信念を貫くのは容易ではありません。組織の代表である前に、個としての私がいます。

個人的に大事にしたい価値観があります。この仕事を通じて成し遂げたいことがあります。会員さんと築きたい人間関係があります。その延長上に組織があるだけなのです。個を切り離して考えることはできません。

組織は切り分けていったら個になります。その個を愛おしいと感じるから組織を大切にできるのです。少なくとも私はそう考えます。もちろん、組織を運営するには割り切った方が考え方が必要だという一般論は知っています。リーダーとしての資質がないと言われても、自分に嘘をついてまで組織論を追求したいとは思いません。大人になりきれないリーダーなのです。

未来を切り拓くことも大切ですが、この瞬間を粗末にして進んだ未来に居場所はありません。本当に大切なものを失わないために、私自身が変わるべき時がやってきています。

次回の更新では、私が思い浮かべている協会の姿を書きます。

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yoki at 22:21│Comments(0)

2019年10月22日

お金の解釈は人によって違う


第3話「お金では買えないものを生み出すと成功する

正解のない金銭感覚


組織運営で避けて通れないのがお金の管理です。立ちはだかる問題は、お金の解釈は人によって違うことです。また、生まれ育った環境で金銭感覚も変わります。みんな自分が正解であるかのような顔をして話をします。

生まれながらにして、絵が上手な人や歌が上手な人がいるように、商才というものがあるのだと思います。絵も歌も下手な私は、せめて商才だけでも...と思う時があります。もちろん、鍼灸師としての才能を一番認めてもらたいです。

鍼灸には理論がありますが、決め手となるのは感覚です。経営も経営論がありつつも、やっぱり感覚が頼りになります。金銭感覚を磨くことは、鍼灸師が手の感覚を磨くのと同じように大事なのだろうと思います。私の感覚はほぼ実践で培ってきました。

これくらいの売上なら、人件費はこれくらいで、投資はこれくらいで、内部留保はこれくらいできるなぁ、と自分の中で心地よく収まる範囲があります。正解か不正解かとは別に、感覚的な心地よさがあります。何事も理屈では説明できない感覚の領域があると思います。商才に恵まれた人は、その感覚の領域に正解が生まれやすいのでしょうね。

私は常に試行錯誤の中で生きています。正解はわからないので「こうしておいた方がいい」という心の声に従っています。後から「やめておけばよかった」と思うことはありますが、勝率が5割より上なので生き延びています。

うちの会社は小さいので、私の経験と感覚が軸になります。もちろん、会計士に相談したりするなど専門家の意見には耳を傾けています。相談相手がいても、結論を出す(責任を取る)のは私です。

お金がなくて苦労した駆け出し時代があるので、もうお金で悩みたくはありません。資金がショートしないように慎重になっています。でも、使うところは使わないと事業はしぼんでしまいます。

私のお金の使い方をみて「思いきりがいい」という人と「ケチ」と言う人がいます。同じことをしているのに評価が正反対というのは興味深いことです。実際にどっちかなんて重要ではないのです。最初に書いたように、みんな金銭感覚が違うので答えなどないのですから。


コミュニティづくりに投資をする


協会設立は私にって新たな挑戦でした。私自身を成長させるためにも、会社を成長させるためにも、新しい仲間をつくるたにも、新たなステージに登るためにも必要な決断でした。

協会を立ち上げるために思い切って資金を投入しました。

「会社だけでセミナーやっていた方がラクでいいのに」と言われましたし、今でも言われています。その意味はよくわかります。自分の会社だけでやっていた方が売上を独占できます。

短期的にみれば会社単独開催の方がお得です。でも、中長期的な視点で考えたら限界がすぐにやってきます。コミュニティがなければ、セミナーはすり減って消耗していきます。受け取ってくれる人が待っていてくれるからこそ、この人たちのために頑張ろう、って思えるのです。

セミナーを続けていくためにばコミュニティが必要だと考えました。やるなら最高のコミュニティをつくりたいと思いました。セミナーの受講者がそのまま居残りたくなるような場所が理想です。情報や感情も共有し、一緒に成長していける場を思い描いています。

それまでもfacebook上に仲間が集まっていました。受講した人が集まるグループをつくって、やんわりと管理しました。協会の会員はここに集っていた人たちが中心となりました。有料化になって出て行った人もいます。有料化にした理由は、有益な新たなサービスを提供するためでした。無料FBグループのメンバーの中から、協会の運営メンバーが決まりました。2年前のことです。

彼らに期待したのは、だいたい次の5つです。

 .札潺福室講者の代表であってほしい
 ∪案逸の可能性を信じてほしい
 私の理解者であってほしい
 た靴靴ぅ▲ぅ妊△鮖ち込んでほしい
 タ靴靴せ業を立ち上げてほしい

簡単に言えば、「私を信じている限り、好きなことをやってもいいよ」という気持ちです。資金で困ることがないように、セミナーの売上の一部を永続的に提供することを約束しました。私の会社(活法ラボ)がセミナーをやり続ける限り、協会にお金がプールされていきます。こうして、会費とセミナーの売上の一部を協会の運営資金として使える体制をつくりました。

私の理想を実現するために誰かが犠牲になることがないように、次のことを守ることにしました。

  ̄娠張瓮鵐弌爾剖眩的なリスクを負わせない
 運営メンバーの自主性を重んじるため命令をしない
 C惨で結果を求めない

協会が負債を負うことがないように、セミナーとコミュニティ運営にかかる経費はそれまで通り私の会社で持ち続けました。そして、協会独自のサービスが生まれるのを待ちました。私は私の会社を通じて整動協会のパトロンになったわけです。

解釈は人それぞれです。私は利益を分配する覚悟で立ち上げた組織ですが、「協会でセミナーをやっているのに、なぜ代表の会社にばかりお金が入るのか?」という声も出てきます。とても不本意な言われ方ですが、こうした現実を受け入れて対応していくことも私の仕事なんだと思います。

次回は、この問題を掘り下げていきます。


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