ひとりごと

2022年03月26日

退職金でカフェをはじめる、おじさまのキモチ


最近、仕事をしているときに楽しくないことがあるのです。楽しくない理由は「鍼灸が好き」だからです。突然、変なことを書き始めて混乱させてしまったらすみません。こういうことです。

「私は鍼灸がしたくて鍼灸師になりました。お金を稼ぎたくて鍼灸師になったのではありません」

という意味なんです。

鍼灸を仕事にしてしまった以上、お金という対価を得るための手段になってしまいます。夢中でやっていた頃は、そんなふうには考えず、鍼灸師で生計を立てられるようになったことへの喜びで満ちていました。

今の悩みは贅沢すぎます。食べていけるようになるまでは、お金を褒美のように考えられていたのに、15年後には「お金のためじゃない」なんて言い出しているのですから、勝手ですね。

退職金でカフェを始めるおじさまの気持ちがわかってきたような気もするわけです。お金のために働くことに飽きてしまったということなんだろうなぁと。それが合っているかどうかはどうでもよいのです。ただの妄想ですから。

話を戻すと、「鍼灸はライフワークだ」と考えている自分を再確認したという話なのです。売上にはあまり興味がありません。ただ、これでも鍼灸院の院長であり会社の社長でもあるので、スタッフのために売上は必要です。

本当は、もう少し私がガツガツしていた方がスタッフも収入が増えて喜ぶのかなぁと思ったりもします。あとですね、心のどこかで怖がっているのかもしれません。「昔はそうじゃなかったのに、金儲けに走り始めた」と言われることを。

今日は何を言いたいかと言えば、「鍼灸師としての腕を評価してほしくて鍼灸師をやっているのであって売上を褒められたくてやっているわけではないのだよ〜」ということなんです。逆に言えば、今の私に足りないのは売上に対する執念なんでしょうね。しっかりしろ、社長!

毎日、患者さんからいただくお代は本当にありがたいです。セミナーに参加してくださる鍼灸師からの代金も本当にありがたいです。おかげで明日も生きられます。

今日は、日記風に書いてみました。ときどき、発生する雑念も包み隠さずやっていこうかなという気分です。最近の私には「書きたいことを思うがままに」がありませんでした。

ブログは日記に戻し、気合を入れたいとき気合を入れるくらいにしていこうかなぁと思います。そんなわけで、脱力系のブログにシフトしていきます。つまらないと思われても、いいんです。だって書くだけで楽しいのですから。ちなみに、今回の内容は妻に愚痴ったことをそのまま書いただけです。



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2022年03月07日

名人にあこがれると成功できないワケ


名人には欠点がある


鍼灸師は職人であると思っている方は少なくないでしょう。確かに職人の要素があることは否めません。言語化できない身体技法があるのは確かです。ただ、個人的には職人としての側面は控えめにしておきたいのです。

鍼灸をもっと広げていくためには、誰かがマネのできない特殊な能力を獲得するよりも、全体のスキルを底上げした方がよいと考えています。そのためには、鍼灸師のスキルはできるだけ言語化し、ノウハウにまとめていく作業が必要です。

鍼灸師を目指すからには名人になりたいと思うのは当然かもしれません。私もその一人でした。今は名人というものを全く意識せずにスキルアップに努めています。名人と言われる人がいたら、どこが上手いのかを分析するようにしています。そうすると、そもそも名人には個性があって、その強烈な個性が評価されていることが多いのです。

誤解を恐れずに言えば、名人ほど欠点をもっています。欠点を覆い隠すほどの優れた点があるから成り立っているのです。何もかも優れているなぁと思う名人には出会ったことはありません。名人というのは、能力の偏りから生まれてくるものです。


生き残るために必要なのは、基本か個性か


「あなたにしかできない鍼灸を追求しなさい」という声をあちこちで耳にします。基本があって応用があって、その先に個性の追求があるのが本来だと思うのですが、鍼灸は基本があってないようなものです。

もちろん、衛生管理など、患者さんをリスクにさらさない基本的な約束事はあります。ここで話題にしたいのは、効果を出すために必要な基本です。

開業して食べていける鍼灸師の多くは個性を磨く努力をしていると思います。「個性」は「差別化」や「強み」と言い換えることができます。

鍼灸院は基本的に自由診療(保険の適用外)ですから、資本主義の競争に晒されます。一般的な企業と同じように差別化することは成長や持続させていくのに必要だと思います。

現実的に考えれば個性は必要だと思います。同じ医療者であっても、標準治療があり保険診療で保険料の一部が収入になっている医師とは、条件や環境が異なりすぎて思考を揃えることが困難です。

だからといって、資本主義に飲み込まれて個性を磨くことだけに注力することは、医療人としての立場で考えると疑問を抱かざるを得ません。鍼灸が医療として成り立つためには「基本とは何か」を考えていきたいのです。そうでなければ、鍼灸の標準治療は永遠に見えてきません。


あこがれたら分析をする


鍼灸の基本を考えるためには、名人のパフォーマンスが参考になります。ただし、名人は平均から大きく外れている、外れ値でもありますから気をつけないと基本どころか癖だらけになってしまいます。

名人は、自分の上手さの正体に気がついていないことがあります。さらにいえば、欠点にも気がついていないことが多いです。強烈な上手さが欠点を覆ってしまうので、欠点が欠点でなくなってしまうからです。

だから、名人を見て「こんなテキトーでもいいんだ」と思ってしまったらマズイです。患者さんは何を評価していて、何に目をつむっているのか、しっかり分析しておかないとマネしなくてもよいところまでマネしてしまいます。

実際に「そこまでマネしたらいけないでしょ」という光景を目撃したことが何度もあります。たとえばですが、カルテを取らないとか白衣を着ない(制服がない)とかです。

これとは別ですが、私にもマネしなくてもいいことをマネしてしまった心当たりがあります。罠にはまらなくなったのは、憧れを捨てたからです。そうすると、患者さんがどこを評価しているのか客観的に見えてきます。そこに絞って見習えばよいのです。

名人と出会ったとき、わかりやすい指導は期待しない方がよいと思っています。なぜなら、名人だからといって教えることまで上手いとは限らないからです。


120点を狙うより80点を狙う


名人への憧れを捨てるのと同じくらい大切にしていることがあります。それは、自分自身にも特別なことを期待しないことです。自分の能力以上のことを臨床で期待しないようにしています。80点を狙うというと手抜きしていると誤解されるかもしれませんが、それくらいの方が冷静な判断ができますし、余計なプレッシャーがないので実力が出やすくなります。

余力を残すのは別の意味もあります。自分のスキルを客観視するためです。自分の良いところと足りないところを知ることができます。精一杯になってしまうと、仮によかったとしても、なぜよかったのかわからないので再現性が低くなってしまいます。


名人に共通する4要素


「名人」と呼ばれている人は、技術だけが優れているとは言えません。欠点となるような癖もありますが、そこに注目しても学びはないので私なりに「上手い」と思う点を4つ紹介します。

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 ものごとをきっちりと表現しています。モゴモゴしゃべったりしません。

∋覲佚にわかりやすい施術


 施術そのものであったり効果を視覚化するのが上手いです。

8鎚未紡弍する能力


 マニュアルを感じさせないということです。

し亳核富に見えること


 風貌もかなり影響すると思います。施術室にある使い込んだ道具も印象をつくります。


上手さの比率

 
話をしたとき、相手に与える影響は次の割合であることが科学的にわかっています。

 内容 7%
 身体 55%
 声  38%


内容がたったの7%なのです。これには驚きを隠せませんでした。どんなに内容がよくても、姿勢や視線、そして発声が足りていないと高い評価は得られないということです。

患者さんの目を見て、自信ありそうにしゃべらなければ、いくら知識を蓄えても報われることはないということです。勉強熱心である人ほど覚えておいてほしいです。



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2022年01月29日

それでもボクは美容鍼をやってない(後編)


前編のつづき

当然あるべき健康、努力で手にする美しさ、という意識


ぎっくり腰になってしまったとき、できるだけ早く、できるだけ少ない労力で元通りになりたいです。誰でもそうだと思います。だから、できるだけお金は使いたくありません。かかった費用は損失分として脳内で計上されます。損失をいかに減らせるか、というのが治療に関わる側の視点です。

いっぽう、美しさを得るための出費は損失ではなく投資です。出費を抑えようとしている人に「投資をしませんか?」と持ちかけるのはミスマッチです。逆に、投資をしようとしている人に、お金を出させないようにするのもミスマッチです。

この前提を理解すれば、治療目的の人とは、スポット的なお付き合いすべきで、美容目的の人とは、長くお付き合いすべきです。


メンテナンスと美容の相性はよさそう


治療目的で通院していた方がメンテナンスに目的を切り替えて通院する場合があります。うちの院では積極的に促していませが、途絶えたことがありません。1割くらいがメンテナンスが目的で通院されています。

こうしたメンテナンスでは美容のようにゴールがありません。だから「もう通わなくてもいいですよ」と伝えると「来ないでください」というメッセージになってしまいます。実際に、このミスをしてしまったことがあり「私のような症状が軽い人は通ってはいけないでしょうか」と寂しい顔をされてしまいました。

メンテナンスの人が大半を占める院であれば美容鍼と並行してやりやすいように思います。


治療と美容を両立させる条件


私自身は、両立は難易度が高いと考えているので挑戦はしません。ただ、それではネタにならないので、両立させる条件を提案してみます。

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治療の鍼も美容の鍼も、それぞれでは成立しているわけですから、混線さえしなければ問題ありません。

人は場所や着る服によって、言動が変わります。シチュエーションによって脳が切り替わります。だから、治療と美容でブランドや店舗を分けたらよいのです。欲を言えば、ウェブサイトも別々の方がよいです。最低でも部屋は別にします。

SUV化を目指す

SUVとはスポーツ・ユーティリティー・ビークル(Sport Utility Vehicle)の略です。「なぜゆえに、ここでクルマの話?」と思うかもしれません。クルマが好きなら、SUVがどういうポジションかわかると思います。

そうです。SUVは家族持ちになってスポーツカーを手放したパパがもう一度ワクワク感を取り戻せるクルマです。SUVはもともと悪路も走れるという特徴でゴツゴツしたデザインが多かったのですが、ここ最近で都会派SUVというクーペのスタイルを取り入れたモデルが急増しています。

ママには子供たちが快適に乗れると好評で、パパとして夢を積めるお得なスタイルです。ファミリーカーの主流が、ミニバンからSUVに勢いよくシフトしています。国産車ではマツダが先駆けです。

鍼灸の新しいスタイルがこれから生まれるかもしれません。治療と美容の相容れない部分を両立させて新しいスタイルをつくってもよいのです。どうやってつくるかは、わからないので話はここまでです。ただ、クルマの話を織り込みたかっただけです。


キャラの中に押し込む

一人鍼灸院の場合、治療も美容もキャラに収まってしまうので深く考えなくてもよいのかもしれません。人はそもそも矛盾をはらんでいる存在ですから、キャラが愛されていれば矛盾は許容されます。あくまでも、愛されていればの話ですが。そして、一人鍼灸院が前提ですから複数のスタッフがいたり、他店舗展開には無理が生じるように思います。

美容鍼を再定義してみる


美容鍼にもいろいろな種類があります。使うツボも違います。美容鍼に取り組む鍼灸の多くがすでに言っているように、美容の前提は健康です。体調を整えるためのツボが大切です。全身に目配りした方がよいです。あえて「顔の鍼はしない」という美容鍼があってもいいのではないでしょうか。姿勢の美しさを追求するとか。あえて顔から離れてみることで新たな可能性に気づくことだってあると思います。

アイデアがなくても大丈夫です。これまでの鍼灸も十分追求する余地と価値がありますからね。



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yoki at 19:25│Comments(0)

2022年01月26日

ボクが美容鍼をやらない理由(前編)


15年前は当たり前ではなかった美容鍼


最近は、美容鍼をやるために鍼灸学校に入学するという人が多いと聞きます。

美容鍼を始める鍼灸師がこの10年で激増しました。鍼灸を勉強する中で美容鍼に興味を持つ学生が増えているのかと想像していたら完全に勘違いでした。鍼灸学校の教員や学生から話を聞くと、最近は美容鍼をやるために鍼灸学校に入学する学生が多いとのこと。

Googleトレンドで「美容鍼」を調べてみると、キーワードが統計に乗り始めたは2007年で今から15年前です。このデータはメジャーな言葉にならないと統計に乗ってこないので、2007年前から「美容鍼」という言葉はそれなりに検索されていたはずです。

Googleトレンド「美容鍼」


Googleトレンドのグラフが表示されるのはメジャーになってからです。一応「整動鍼」を調べるとご覧の通り。そう、これが現実です(悲)

Googleトレンド(データはありません)


少し脱線しますが、コロナ禍に入ってから急激に検索数が減っています。「鍼灸」でも調べてみると、一時的に下がってすぐに戻っています。ちなみに、2008年のリーマン・ショックでも鍼灸の検索数に大きな変動はありません。トレンドに関係ないのが鍼灸の強みです。

Googleトレンド「鍼灸」


せっかくなので、コロナ禍で急上昇したものはないかと探したら「脱毛」がありました。興味深いのは今は激減したことです。

脱毛


もう一つ興味深い傾向を見つけました。「アロマ」です。5年ほど前にピークに減少傾向にあります。理由はわかりません。

Googleトレンド「アロマ」


美容鍼とエステ業界


私見ですが、美容鍼は鍼灸師の中から生まれたトレンドではありません。エステ系の美容業界が鍼灸に入り込んで生まれたと見ています。現在は、鍼灸学校が美容鍼を教える時代ですから、この話にピンとくる人は少ないかもしれません。

「サロン」という言葉も美容業界から流れ込んできたと思います。「鍼灸院」を「鍼灸サロン」と言い換えることで新鮮さが生まれました。これも、今となっては普通なのでピンと来ませんよね。

鍼灸の常識は10年経てば変わります。今の当たり前に縛られていることが一番のリスクです。年齢を重ねるごとに世の中の変化に疎くなるので、気をつけなければいけないなぁと思っています。


お客様と患者さん


私は、来院される方のことを「患者さん」と呼んでいます。呼び名で関係は変わってきます。たとえば、日本語には「あなた」を指す言葉がたくさんあります。「お前さん」と聞けば、妻が夫に使っていることがわかりますし、「てめぇ」と言えば、男性が男性に喧嘩をふっかけていることがわかります。

つまり、相手の呼び方が相手との関係を表します。来院された方を「患者さん」と呼んでいる場合と、「お客様」と呼んでいる場合では関係が違います。これを踏まえて、先ほど取り上げたエステと鍼灸院を比較してみます。

たとえば、エステの来店者を「患者さん」と呼んだら、誰でもおかしいとわかります。鍼灸院ではどうでしょうか。「お客様」でも「患者さん」でも、成り立ちそうではないですか。

ということは、鍼灸院では来院者との関係のパターンが多そうです。痛みを取りに来る人、疲れを取りに来る人、健康維持のために来る人、美容のために来る人、話に来る人などなど。鍼灸院の色によって来院者の色も違います。これがいわゆる「相性が大事」の正体です。
このように考えれば、「相性」という偶発性に揺すられることなく「関係づくり」を意図的に行うことができます。

関係が決まると、相手が望んでいることもわかります。だから、私は関係づくりを重視しています。この視点を無視して集客すると、売上が増えても違和感が募っていきます。


ご褒美としての


うちの若いスタッフが「美容鍼は、美容院で髪の毛を整えるのと同じ感覚なんですよー」と教えてくれました。続けて「自分へのご褒美なんです」と。なるほど、たしかにその視点は大事ですね。治療を目的に鍼灸を受けるときに「ご褒美」という感覚はありません。

この違いを理解しておくことはとても大切です。ご褒美を提供する場合には、それなりの言動や態度が必要です。

たとえばの話ですが、私が「たまには…」と思って、ちょっと高級なパン屋さんに買いに行ったときことです。美味しそうなパンが陳列されていたので、トングでトレーに乗せようとしたら、「それは売り物じゃないんです!」と怒られていまいました。こちららしてみれば、売り物と区別できないところにあるから間違えたのですが、お店としては売り物とは別にならべておいたのです。

ご褒美として高級なパンを買いに行ったつもりが、違う感じになってしまったので、テレビにも紹介されるほど美味しいパン屋さんですが、私はそれ以来足を運んでいません。私にとっては、パンが美味しいかどうかなんて関係ないのです。よい気分になれるかどうかが重要なのです。

美容鍼をする人は、この「ご褒美」という感覚を大切にしてほしいと思います。


ゴール設定の違い


患者さんは、症状がゼロになったら通院をやめます。苦痛から開放されるのが目的ですから通う必要がありません。美容の場合はどうでしょうか。キレイになったら通院をやめるのでしょうか。お気づきかと思いますが、美容にゴールはありません。あるとしても、人それぞれすぎます。人によっては有り金を使い果たすまでという方もいるでしょう。

治療と美容ではゴールが違います。この違いをうやむやにしておくと、私たち鍼灸師は鍼を受ける方をどこに誘導してよいのか決まりません。患者さん一人ひとりに合わせていけばいいという声も聞こえてきますが、最初に設定しておく方が断然よいです。なぜなら「こんなはずじゃなかかった」という気持ちから生じるトラブルを防げるからです。

鍼灸業界にもサブスクリプションの波がやってきました。月額や年額を払って、その間に何度でも通ってもよいというサービスです。つまり、ネットフリックスなどの映像配信サービスに代表されるような支払いパターンです。こうしたサービスにはゴールがありません。むしろ、ゴールを取っ払うことが目的です。いつでも、どこでも、好きなだけ映像が観られるという状況を購入するわけです。

私も、サブスクリプションタイプのサービスを購入しているので、サブスクリプションには前向きです。ただ、これを自分の鍼灸でやろうとは思いません。前述した通り「ゴールをなくす」という設定になるからです。2つの鍼灸院を経営していますが、どちらもゴール設定を明確にしています。終わりを設定することで、安心して通院できるようにしています。


後編につづく…


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2022年01月09日

鍼灸師に必要な技術と問われる人間性


今回のテーマは、「どういう人間が鍼灸師としてふさわしいのか」という考察です。鍼灸師を長くやっているといろんな鍼灸師と出会います。すぐにやめてしまう鍼灸師もいれば、長く続けている鍼灸師もいます。

やめたいという鍼灸師を止める気はありません。でも、やめたくないのに、やめなければならない状況に追い込まれる鍼灸師には、踏みとどまってほしいと切に思います。もし、「鍼灸師に向いていない」と思っているならば、それは勘違いかもしれないのです。

向き不向きをどこで判断しているのかさえ分かれば対策を打つことができます。優秀な人材の流出を防ぐことができるのです。

それでは、さっそく考察に入っていきましょう。


鍼灸師が成功するための3要素


成功の要素を、「技術」「マーケティング」「人間性」の3つに分解されていることが多いように思います。 ひとつひとつを丁寧に掘り下げていくことで、具体的にどんな努力が必要か見えてくるはずです。

今回は、3つめの「人間性」に着目して掘り下げてみます。同業の間では、「鍼灸師は人間性の勝負です」という意見が目立ちます。「人の体に触れる職業だから…」という理由だと思いますが、人間性が問われるのは鍼灸師に限りません。直接顧客と接触しない仕事でも、上司や部下、そして同僚との関係を築こうとするとき、人間性は問われます。

ですから、人間性の問題は鍼灸師に限った話ではありません。重要なことは、具体的に問われる行動です。そこまで掘り下げていかないと、「クルマはデザインが重要です」のようなぼやけた話になってしまいます。


人間性を構成する6要素


その前に、「人間性」という言葉を使う側が何を意味しているのかと考えておく必要があります。それぞれだと思いますが、想像力をフル稼働して並べてみました。

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▲灰潺絅縫院璽轡腑
性格
じた目
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人間力

こうして要素に分けることで、どこに課題があるのか絞り込むことができます。この他に相性という問題もありますが、あえて外しました。なぜなら、相性は患者さん側が言う話であって、こちら側がする話ではないからです。

もし相性の話をするなら、それは集客の段階でミスマッチが起きていると考えるべきです。患者さんの期待にズレが生じないように情報発信することが礼儀です。大げさなキャッチコピーで引き寄せて、不安を煽りながら囲い込むのはマーケティングとは程遠いものです。

話を戻して、5要素を一つ一つ考えてみます。

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日本語にすると、「おもてなし」や「おもりやり」です。鍼灸院は、高いホスピタリティが求められるところだと思っています。鍼灸師になる人は本来的にホスピタリティが高いように思います。

問題になるとすれば2つです。一つは、わざとらしいホスピタリティです。商売のためにやると、その意図は患者さんに筒抜けなので逆に患者さんが離れていきます。ですので、ホスピタリティはお金や仕事のために磨かない方がよいと思います。

では、どういう考えがよいかというと、自分のためです。ホスピタリティは必ず自分に返ってきます。これを、私は「ホスピタリティ反射」と名付けました。患者さんへの「おもてなし」や「おもいやり」は必ず返ってきます。

ですからホスピタリティは「仕事を気持ちよいものにする」という目的で磨くべきだと思うのです。仮に売上が変わらないとしても、働いている時間が気持ちよくなるわけですから、人生の価値が上がることを意味します。

▲灰潺絅縫院璽轡腑


会話が得意な人は臨床中の雑談も上手です。でも、錯覚してはいけないのは、会話が盛り上がることと、その臨床の価値が上がることは別物です。気持ちよく会話ができると「うまく行った」と錯覚してしまうことがあります。

患者さんは、よくなりたくて施術を受けているわけですから、評価されるのは施術です。施術を円滑にするためのコミュニケーションという観点からスキルを磨かないと空振りしてしまうかもしれません。

また、私たち鍼灸師におけるコミュニケーションの核心は、口ではなく手にあると思います。「目は口ほどに物を言う」という言葉がありますが、「手は目ほどに物を言う」のです。

人は、触れ方に、その人を感じます。

性格


生まれながらの性格は変えられないかもしれませんが、明暗は変えられます。写真で考えてみてください。同じ景色が写り込んでいても、明るさを補正すると印象は変わります。

名称未設定のデザイン

明るいほどよいわけではなくて、ちょうどいい明るさがあります。患者さんの明度に合わせないと、眩しく感じさせてしまいます。「あの人、テンション高すぎで疲れる〜」ってありますよね。

私は、患者さんの明るさより1段階上に設定するように心がけています。具体的な調整は、声量で行っています。患者さんの声量より少し多めにする意識です。

じた目


どうにもならないこともあるので、どうにかできる部分を工夫するしかありません。身だしなみに気をつけるのは言うまでもありません。個人的には、アクセサリーはいっさいつけません。鍼灸師にとって、いちばん大事な見た目は清潔感だと思います。

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「人間性が大事です」という人は、その人自身がタレント性の力を実感していたり、活用しているのだと思います。ただ、「技術より人間性だよ」という言葉には賛同できません。タレント性で患者さんを集めても、技術がなければ救えません。「技術がないのに人気がある」という状況は鍼灸に限った話ではありません。

人間力


人間性とよく似た言葉ですが「人間力」という言葉があります。大事だと思うのですが、このままだと曖昧です。私なりに、別の言葉に置き換えて具体化しようと考えたすえ「安定した精神」がベースであるという結論に至りました。「健全な魂は健全な体に宿る」という言葉あるように、基礎は、体調の安定です。食事、睡眠、適度な運動という基本中の基本を大切にすることがもっとも大切です。


相性の問題


改めて相性の話になります。「相性が大切だよ」という意見を時々見かけます。その通りですが、これは患者さん側から言うことなので、私は言わないようにしています。

区別しておきたいのは、「人間的な相性」と「得意分野との相性」です。

前者はどうにもできないのですが、友達づくりの話ではないので問題ではないと考えています。技術を介した関係である限り、相性の問題が100%になることはありません。個人的な感覚ですが、影響するとしてもせいぜい10%です。

後者は、適切な情報発信ができていれば問題になりません。集客においては、患者さんの期待感がズレないように注意を払う必要があります。


信用の作り方


私が大切にしているのは3つです。

 屬錣らない」と言える勇気


駆け出しの頃は、わからないことがあったら信用されないと思って、何か訊かれたら一生懸命答えをつくっていました。今は違います。「なんででしょうね〜」とか「わからないですね〜」とか「不思議ですね〜」と躊躇なく返してしまいます。

今は、わからないと素直に言える人がプロだと思っています。わかっていること、できることが増えるほど素直に「わからない」と言えます。

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どうしたら信用されるのかと考えている期間がありました。初期の頃は、治ったら信用されると思っていて、治療効果で信用を得ようとがんばっていました。でも、半分しか正しくありませんでした。

「最善の選択」であると患者さんが納得したときに信用が生まれます。ですから、最善ではないと思うときは、他の選択肢を示すことが信用につながります。もし、通院している患者さんが「本当に通い続けて大丈夫なのかしら」と疑問を持っているならば、信用が目減りしていることを疑った方がよいです。

小さな予見


「私の症状は治りますか?」と訊かれます。その背後になる心境は理解できますし、できるなら「治ります!」と答えたいです。ただ、反射的に答えるのは無責任というもの。そこで、私は「小さな予見」と名付けたことを実践しています。

これは、施術をした結果起こりそうなことを、あらかじめ予告しておくことです。治るか治らないかはわからなくても、鍼灸をした直後に起こる変化は推測できます。翌日に起こりそうなことも推測できます。

「治る」は、変化の延長上にあります。考えてみると「治る」の定義はあいまいなのです。医師に「治ってます」と言われたのに「まだ痛い」という状況は珍しくありません。これは、医療者が伝える「治った」と患者が感じる「治った」にズレがあることを意味しています。

つまり、「治る」は指標として曖昧です。このことに気がついてからは「変化」を指標にすることにしました。「さっきより痛くありません」という患者さんの主観も変化に含めます。できるなら、可動域の変化が客観的でよいのですが、使える場面は限られます。

ね想の技術


直後変化がわかりやすいものがよいです。小さな予見をしやすいからです。鍼をした直後に変化を感じれば、その変化が鍼によるものだと誰も疑いません。鍼施術の価値を伝えやすく、対価を得やすくなります。私たちは、患者さんに鍼灸の価値を伝える努力が必要ですが、それは説明力ばかりではありません。「伝わる技術」という観点もとても大切です。


「技術はあって当たり前」と言う人


技術の追求に終わりはありません。と同時に、これくらいの技術があれば十分という基準もありません。「できている」と思った瞬間に、進歩は止まり後退が始まります。

患者さんの悩みをすべて解決できる技術がこの世に存在しない限り「当たり前」も存在しません。

「技術はあって当たり前」と言う人はコンサル業に多く見られ、「鍼灸師は技術ばかり追いかけていてマーケティングが足りないから世の中に認めてもらえない」という論理で私たちに語りかけてきます。マーケティング視点が重要なことは理解できますが、「あって当たり前の技術ってなんですか?」と私は全力で問うでしょう。

技術の追求は自己満足だと揶揄されます。実際、すぐにお金になるわけではありません。だからといって最低限でよいという理屈は成り立ちません。お金になるならない関係なく、向上に努めていく姿勢こそが鍼灸師の資質ではないでしょうか。

できれば稼ぎたいけど。

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