2005年04月09日
公立保育園民間移管へ 子育て支援の充実を求めて
先立つ平成17年3月定例会において四日市市議会は
市立保育園の一部民営化を盛り込んだ平成17年度予算を成立、
市立保育園の社会福祉法人への移管先の募集も
今月18日から開始されることとなりました。
今回は3月定例会で可決、成立した方針の中から
保育園の民間委託についてを記したいと思います。
市立保育園の一部民営化を盛り込んだ平成17年度予算を成立、
市立保育園の社会福祉法人への移管先の募集も
今月18日から開始されることとなりました。
今回は3月定例会で可決、成立した方針の中から
保育園の民間委託についてを記したいと思います。
市立保育園の民間への移管計画は
女性の社会進出などにより求められる保育の幅が拡がったこと、
そして今後高コスト化していく公立保育の負担軽減を図るために
市行政が実施を検討してきたものでした。
計画によると、市立は主に障害児に対する保育や人権保育、
外国籍を持つ園児のための保育に力を入れるとともに
民間の保育園の展開を支援する側に回り、
私立は延長保育や休日保育などを主に力を入れる
「公私立の役割分担」を行っていくとしています。
市は今後は9市立保育園を民間への移管対象とし、
このうち4園程度を2008年4月までに移管する予定です。
現在の市内の保育園の状況は広報よっかいちによると
保育園は全体で47園あり、そのうち私立は17園、
入所児童約4800人のうち40%が私立に通っており、
市立私立ともに保育料、保育士の配置、給食内容など
対応に差は無い、としています。
その一方で一部保護者や保育士の労働組合らでつくる
「四日市の保育をよくする会」が民営化の動きに反対、
現在も反対署名を提出するなど活動を続けています。
「国や自治体が少子化を問題視し解決に力を入れるというならば
行政自身が独自の支援策を考え保育を一層充実させるのが筋であり、
行政が責任を果たすべき」とする見解も根強い印象です。
こうした保育の民間移管への抵抗感の声は
大阪府吹田市での保育園民営化後の保育の混乱や
民間移管によって浮いた人材や資金を今後どうするか、
そうしたものを明快に出来ていないことへの不安もあるようです。
要するに行政が現場を納得させられる説明ができていないことが
お互いの不信感を深めているというのが現状のようです。
ただしこうした反対運動も保育士と保護者で
主に利害関係におけるすれ違いを感じるところも少なくなく、
議論が「変わることへの不安感」といった域を超えていない
印象は否めないのかな、というのが私の見た正直な思いです。
それだけに民間移管を進める市と反対する団体との話し合いが
噛み合わず、余計にこの問題を難しくしているところがあるようです。
保育ニーズの広がりを民間の知恵を借りて強化したい思いと
限られた財政でのやりくりが求められる市の行政も理解できますし、
一方の反対住民の「変わる」ことへの不安感も理解できます。
この議論で誰にとってもベストの選択はありえないものでしょう。
民間移管の先例となった自治体の苦慮する様子を見ても
厳しい判断であった、というのが実際のところと思われます。
目の前の利害問題も重要かもしれませんが、
子どもが健やかに育てられる環境のための子育て支援のあり方を
決して保護者らが行政丸投げで期待をして待つのではなく
自らが当事者としてどうするかを見直す機会でもあるようです。
今後は民間移管が実施前提で既に動き出している以上
賛成か反対かという議論を超え、いかに民間移管を保育充実に生かすか、
その観点からの議論とアクションに期待していきたいと思います。
女性の社会進出などにより求められる保育の幅が拡がったこと、
そして今後高コスト化していく公立保育の負担軽減を図るために
市行政が実施を検討してきたものでした。
計画によると、市立は主に障害児に対する保育や人権保育、
外国籍を持つ園児のための保育に力を入れるとともに
民間の保育園の展開を支援する側に回り、
私立は延長保育や休日保育などを主に力を入れる
「公私立の役割分担」を行っていくとしています。
市は今後は9市立保育園を民間への移管対象とし、
このうち4園程度を2008年4月までに移管する予定です。
現在の市内の保育園の状況は広報よっかいちによると
保育園は全体で47園あり、そのうち私立は17園、
入所児童約4800人のうち40%が私立に通っており、
市立私立ともに保育料、保育士の配置、給食内容など
対応に差は無い、としています。
その一方で一部保護者や保育士の労働組合らでつくる
「四日市の保育をよくする会」が民営化の動きに反対、
現在も反対署名を提出するなど活動を続けています。
「国や自治体が少子化を問題視し解決に力を入れるというならば
行政自身が独自の支援策を考え保育を一層充実させるのが筋であり、
行政が責任を果たすべき」とする見解も根強い印象です。
こうした保育の民間移管への抵抗感の声は
大阪府吹田市での保育園民営化後の保育の混乱や
民間移管によって浮いた人材や資金を今後どうするか、
そうしたものを明快に出来ていないことへの不安もあるようです。
要するに行政が現場を納得させられる説明ができていないことが
お互いの不信感を深めているというのが現状のようです。
ただしこうした反対運動も保育士と保護者で
主に利害関係におけるすれ違いを感じるところも少なくなく、
議論が「変わることへの不安感」といった域を超えていない
印象は否めないのかな、というのが私の見た正直な思いです。
それだけに民間移管を進める市と反対する団体との話し合いが
噛み合わず、余計にこの問題を難しくしているところがあるようです。
保育ニーズの広がりを民間の知恵を借りて強化したい思いと
限られた財政でのやりくりが求められる市の行政も理解できますし、
一方の反対住民の「変わる」ことへの不安感も理解できます。
この議論で誰にとってもベストの選択はありえないものでしょう。
民間移管の先例となった自治体の苦慮する様子を見ても
厳しい判断であった、というのが実際のところと思われます。
目の前の利害問題も重要かもしれませんが、
子どもが健やかに育てられる環境のための子育て支援のあり方を
決して保護者らが行政丸投げで期待をして待つのではなく
自らが当事者としてどうするかを見直す機会でもあるようです。
今後は民間移管が実施前提で既に動き出している以上
賛成か反対かという議論を超え、いかに民間移管を保育充実に生かすか、
その観点からの議論とアクションに期待していきたいと思います。
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1. 言わなきゃ分からない [ 働く人々〓シブトクつよく明るくいきましょ ] 2005年04月11日 10:24
昨夜、娘の通う保育園のホームページの更新をしていた。
娘は区立保育園に通っているが、我が区の保育園、民営化に向けて準備が進んでいる。
他区では、民営化された保育園の評判は極めて悪い。儲け優先、採算が取れなければ閉鎖、その中で保育士はコロコロ変わる(時給800
この記事へのコメント
1. Posted by miki_renge 2005年04月11日 10:32
TBありがとうございます。
保育園問題は、ご指摘のように子供のこと第一で考えなければなりませんよね。
実際、民営化問題以前に、「長時間の延長保育の実施は本当に子供のためになるのか」などという議論も必要だとおもいますし。
ただ、私の住む自治体では、民間委託が密室(役所)の中で既成事実化しているところから始まっているので、もう少し
早く的確に情報開示して欲しかったなぁというのはありますね。内容さえよければ反対しないのに・・・
保育園問題は、ご指摘のように子供のこと第一で考えなければなりませんよね。
実際、民営化問題以前に、「長時間の延長保育の実施は本当に子供のためになるのか」などという議論も必要だとおもいますし。
ただ、私の住む自治体では、民間委託が密室(役所)の中で既成事実化しているところから始まっているので、もう少し
早く的確に情報開示して欲しかったなぁというのはありますね。内容さえよければ反対しないのに・・・
2. Posted by はなえ 2005年04月11日 14:34
TBありがとうございます。
保育問題はとても奥が深い問題です。
練馬区では保護者有志ですでに他の自治体で委託業務をしている法人に電話をかけたり訪問したりして保育園民間委託のことも少し勉強しました。いい委託をしている法人もありそうだという事もわかりました。
しかし、すでに他区で受託している業者からも「練馬区のやりかたたは問題あり」と言う声も多く、「がんばって反対の声をあげたほうがいい。がんばって」と逆に励まされたりする事もありました。
私個人は民間委託の該当園に子供を通わせているわけではないので「目の前の利害」は関係ない立場です。
しかし、今現在進められている私の住んでいる練馬区での「民間委託計画」には反対です。
行政が保護者の意見も組み入れ、またこのような強硬路線じゃなければ、もう少し計画もスムーズに行くと思います。
保育問題はとても奥が深い問題です。
練馬区では保護者有志ですでに他の自治体で委託業務をしている法人に電話をかけたり訪問したりして保育園民間委託のことも少し勉強しました。いい委託をしている法人もありそうだという事もわかりました。
しかし、すでに他区で受託している業者からも「練馬区のやりかたたは問題あり」と言う声も多く、「がんばって反対の声をあげたほうがいい。がんばって」と逆に励まされたりする事もありました。
私個人は民間委託の該当園に子供を通わせているわけではないので「目の前の利害」は関係ない立場です。
しかし、今現在進められている私の住んでいる練馬区での「民間委託計画」には反対です。
行政が保護者の意見も組み入れ、またこのような強硬路線じゃなければ、もう少し計画もスムーズに行くと思います。
3. Posted by 無頼庵 2005年04月16日 14:46
miki_rengeさん、はなえさん、コメントありがとうございます。
大変お返事が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
私自身この分野に関しては勉強不足であり
慎重に書いたつもりでいても及ばない部分のあった
記事ではないかと反省をしているところです。
四日市に関して言えば民間委託賛成反対以前に
行政と一部民間がお互い同士が信用しきれていなくて
話し合い自体も自分の立場に固執して
噛み合いどころを失ったままになってはいないか、と
私はお互いの「やり方」に疑問を持っています。
行政が話し合い不足のままに見切り発車に踏み切るのも残念ですが
それに対し民間である私たちも「行政何とかしろ!」だけでは
結局何も進まないのではないか、と思います。
必ずしも誰にとっても得にならないものであるだけに
厳しい判断にならざるを得ないものだからこそ、
固執しないで丁寧な議論を、と余計に思うところです。
大変お返事が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
私自身この分野に関しては勉強不足であり
慎重に書いたつもりでいても及ばない部分のあった
記事ではないかと反省をしているところです。
四日市に関して言えば民間委託賛成反対以前に
行政と一部民間がお互い同士が信用しきれていなくて
話し合い自体も自分の立場に固執して
噛み合いどころを失ったままになってはいないか、と
私はお互いの「やり方」に疑問を持っています。
行政が話し合い不足のままに見切り発車に踏み切るのも残念ですが
それに対し民間である私たちも「行政何とかしろ!」だけでは
結局何も進まないのではないか、と思います。
必ずしも誰にとっても得にならないものであるだけに
厳しい判断にならざるを得ないものだからこそ、
固執しないで丁寧な議論を、と余計に思うところです。
4. Posted by 保護者の 2005年04月29日 01:18
四日市市の保育園児の保護者です。
私は民営化に対する不安でネットで情報収集してこのサイトにたどり着いたものです。
>議論が「変わることへの不安感」といった域を超えていない
>印象は否めないのかな、というのが私の見た正直な思いです。
このようにおっしゃるなら「不安感」が軽減するようにもっと情報を開示してもらいたいと思います。
たとえば、委託業者の名前とか、委託業者の保育に対する理念を知りたいです。
その他にも一般市民全体に民営化問題について周知してもらいたいと思います。
現状をみると、水面下で動いて話が進んだ後での情報開示のように思います。
私は民営化が絶対反対とは考えていません。
ただ、「民営化した園に入園するなら、納得したから入園するのだけど、通いなれた園が民営化したことでそれが変わるかも知れない不安は大きいです。
私は民営化に対する不安でネットで情報収集してこのサイトにたどり着いたものです。
>議論が「変わることへの不安感」といった域を超えていない
>印象は否めないのかな、というのが私の見た正直な思いです。
このようにおっしゃるなら「不安感」が軽減するようにもっと情報を開示してもらいたいと思います。
たとえば、委託業者の名前とか、委託業者の保育に対する理念を知りたいです。
その他にも一般市民全体に民営化問題について周知してもらいたいと思います。
現状をみると、水面下で動いて話が進んだ後での情報開示のように思います。
私は民営化が絶対反対とは考えていません。
ただ、「民営化した園に入園するなら、納得したから入園するのだけど、通いなれた園が民営化したことでそれが変わるかも知れない不安は大きいです。