蝉食らう椋鳥と会う川歩き20170811091615_IMG_3039


 
 昨日の続き 
原田マハ著「暗幕のゲルニカ」に唸る。《後編》~なんだかしたくなるピカソの話③~です。

 この小説のこの時間、時代の併走が凄い。
 つまり、片方でピカソがゲルニカをどうして、どうやって描いたのかが語られ、さらに、パリ万博のスペイン館に展示されたこの怪物「ゲルニカ」がどう人々に認知され、賞賛され、恐れられたのかが描かれます。
 そして、パリからヨーロッパを回った「ゲルニカ」はファシストの支配するスペインには帰れず、ピカソの意思でアメリカのMoMAに疎開。この辺の一大プロジェクトにはナチスの迫るきな臭いヨーロッパからアメリカへの移動ですから、この小説に登場する人物のように、政治力を駆使して力を尽くした人物が必ずいたことでしょう!
 
ゲルニカに込められた反戦の精神はピカソの

芸術は飾りではない。敵に立ち向かう為の武器なのだ」

という言葉の具現化であった
からこそ、その作品の力に様々な立場の人間の心が揺さぶられていきます。


 その「ゲルニカ」が祖国スペインに返還されたのはピカソ、フランコの死後のことてした。
 ピカソの手を離れた「ゲルニカ」の旅にも注目。ただし、現在「ゲルニカ」はスペインのプラド美術館をへて、セント・ソフィア美術館にあり、そこから持ち出された記録は無いので、その辺のアクティブな展開はマハさんの創作ドラマということになりますね。
 
 ただし、スペインでゲルニカのあるバスク地方には「ETA」というバスクの独立を目指すテロ集団が実在していて、「ゲルニカ」を狙っているらしいです。
 また、バスク地方にはバスクの自治州との交渉に成功してアメリカのグッゲンハイム美術館が分館として建てた「グッゲンハイムビルバオ美術館」があり、
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「ゲルニカ」の展示スペースを設定して引き渡しを請求しているのも事実であるとのことです。

 こうした背景をたくみに取り入れて、もうひとつの時代、9.11後のニューヨークのMoMAのキュレーター八神瑤子が「ゲルニカ」を求める闘いが様々な人物をまき込んで爆走します。迫力満点の緊張感があって、読み手を本気にさせます。
 
 瑤子は言います。「ゲルニカは誰のものでもない、私たちのものです。」平和への願いは人類の共通願いであるはずだと訴えていくのです。
 
 そうしたダイナミックな流れの中に、主人公八神瑤子の亡き夫への思い、そして、ピカソの愛人ドラのピカソへの報われない愛の苦しさが織り込まれ、胸に迫ります。
 
 実際、ドラはピカソとの別離の後、思いきれず相当苦しい人生を歩んだようです。ピカソの描くハトのように自由にはなれなかったみたいです。359919829_d01c5bbd11

 ピカソにとっては自分が何を表現はしたいかが常に第1優先であり、周囲の人間はそのための題材だったのかもしれません。
 ですから、泣いてばかりいるドラを「泣く女」として描いています。image-1
 この作品は私がピカソを好きになったあの展覧会の最後の部屋にありまして、こんなドラのエピソードも知らない頃でしたので、絵の前で思わず笑っちゃいました。
 ピカソの風刺力、何も恐れず描きたい者を、描きたいように描く・・・まさに天才だけに許される表現の自由ですね。

 そんなピカソも60を越えて恋した二十そこそこの画学生フランソワーズ・ジローとはふたりの子は成すものの、ジローは「ピカソの元では自分の絵が描けない」とピカソの元を去ります。初めて捨てられた訳です。ジローは凄い美人ですよ、ほら(^_^)ゞc43ac0e1178247e7f1921bb8f9bf52c4

 失意のピカソでしたが、軸はずれません。今度は捨てられた我が身を題材にして「人間喜劇」という作品に昇華させます。
 
 依頼、92才で亡くなるまで、創作の火を燃やし続けたと言われています。
 幸せな、誠に幸せな芸術家です。

 最後にピカソの数ある自画像の中から3点紹介します。
 
 まずは18才でパリに繰り出す前に描いた「pablo-picasso-self-portraits-chronology-28我は王なり」と題されたもの。


自信たっぷりです。

 パリで、親友を亡くした後(この友、ピカソといて、自分の才能に絶望して自殺)突入した「青の時代の自画像」で、私がピカソの自画像の中で1番好きなもの。ffc2cb7a

 

 91才で描いた最後の自画像。

picaso_selfportrait「今朝絵を描いたよ、これまでとは違った何かを掴んだきがする」との記述が残っているそうです。凄い!芸術家の中の芸術家!
 

 最後の最後にゲルニカ、今、みると、戦争、無差別殺戮のむごたらしさ、理不尽、といったんものがが~んと伝わってきますが、果たして、初めて見たらどうなんだろうと・・・思わなくもないです(^◇^;)さんざ、持ち上げといて、これだ!(笑)img_1_m

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