時々のリラ
2016年03月23日
七色の声
明け方になると、必ず起すリラ。じっと聞き耳をたてると、実にいろいろな声音を使い分けていることがわかる。高音のミューミューという先触れがやがて、もしもし、という呼びかけになり、きっぱりとご飯を要求する声に変わり、やがて、なんで起きないんだとなじるような声になる。この七色の声を味わってから、しぶしぶ起きてちょっとだけ、朝飯前のカリカリをあげる。だいたい4時、5時であることが多い。そのまま起きるにはちょっと早いので、また布団に戻る。甘やかしたから悪いくせがついたんだ、という声が聞こえてきそうだが、私はこの七色の声を味わえる朝のひとときをひそかに楽しんでいる。
早起きするだけあって、昼間は熟睡を決め込んでいるリラちゃんである。
早起きするだけあって、昼間は熟睡を決め込んでいるリラちゃんである。
2016年02月08日
もうじき5歳。
時々のリラを再開する。2011年11月に我家にやってきたとき、リラ(♀)は生後7ヵ月だった。それで、誕生日は4月1日と決めている。
キャットシェルターのお見合いの部屋で、60匹くらいいた中でいちばん剽軽な顔をしていたのがリラだった。いままで暮らしたことのない三毛であることも気に入った。
最初の2日間こそ、いっさい食べ物を受け付けなかったが、警戒を解除してからは食欲は旺盛で病気もしない。元気でたくさん食べて走り回り、遊び疲れては眠りして、4年の歳月が流れた。膝に抱かれるのが好きではないのが残念なところだ。
ときどき(年に数回)山の家にいっしょに連れて行く。最近はベランダから下に飛び降りて家の周りを探検する。遠くには行かないので安心してみていられる。
基本的にマンション暮らしである。気候のいいときはベランダで寝転がったり日向ぼっこをする。蝶々や虫を捕まえていたぶったりしていることもある。リードをつけて散歩に連れ出そうと試みたこともあったが、いまではあきらめた。
スーパーの袋でつくったボールが大好きで、夜ベッドに入っても咥えてきては頭の上にポトッと落とす。これには閉口であるが、止む無し。起き上ってボール投げにつきあうこともしばしばだ。
自慢はジャンプ力。今までの猫のなかでは一番。物があふれんばかりに積まれた本棚の上や戸棚のちょっとしたすき間をみつけて、ふわっと飛び乗る。これにはほれぼれしてしまう。
体重はなんとか5キロをキープしている。これ以上は太らせないのが、私の使命である。
2月は先代のフーコ(キジオラ)と先先代のルイ(クロ)が去って行った月。リラとの日々を送りつつ、2匹に思いをはせる。
キャットシェルターのお見合いの部屋で、60匹くらいいた中でいちばん剽軽な顔をしていたのがリラだった。いままで暮らしたことのない三毛であることも気に入った。
最初の2日間こそ、いっさい食べ物を受け付けなかったが、警戒を解除してからは食欲は旺盛で病気もしない。元気でたくさん食べて走り回り、遊び疲れては眠りして、4年の歳月が流れた。膝に抱かれるのが好きではないのが残念なところだ。
ときどき(年に数回)山の家にいっしょに連れて行く。最近はベランダから下に飛び降りて家の周りを探検する。遠くには行かないので安心してみていられる。
基本的にマンション暮らしである。気候のいいときはベランダで寝転がったり日向ぼっこをする。蝶々や虫を捕まえていたぶったりしていることもある。リードをつけて散歩に連れ出そうと試みたこともあったが、いまではあきらめた。
スーパーの袋でつくったボールが大好きで、夜ベッドに入っても咥えてきては頭の上にポトッと落とす。これには閉口であるが、止む無し。起き上ってボール投げにつきあうこともしばしばだ。
自慢はジャンプ力。今までの猫のなかでは一番。物があふれんばかりに積まれた本棚の上や戸棚のちょっとしたすき間をみつけて、ふわっと飛び乗る。これにはほれぼれしてしまう。
体重はなんとか5キロをキープしている。これ以上は太らせないのが、私の使命である。
2月は先代のフーコ(キジオラ)と先先代のルイ(クロ)が去って行った月。リラとの日々を送りつつ、2匹に思いをはせる。
2013年02月09日
キャットタワー
昨年の8月末から秋田の妹が子猫と暮し始めた。猫の名前はルナ。昔むかし、学生時代に私が妹に出した手紙の中に習いたてのスペイン語で、「月はルナ、机はメサ」と書いたくだりがあったのだそうだ。
「だから、もし猫を飼うことがあったら名前はルナにしようと思っていたんだ」
そして、とうとう妹は猫と暮らす夢を実現した。猫はマンチカンという種類で足が短いらしい。お盆に帰省したとき、キャリーはもちろん、キャットタワーまで購入して居間に取りつけていたのでびっくりした。しかも、トイレもキャリーもタワーも実に立派なものである。ここまでの準備をして迎え入れてもらえるルナちゃんは幸せものだ。わが家では、場所も取るからとキャットタワーを置いたことなど一度もなかった。
妹に刺激されて、この際わが家でもリラちゃん用にキャットタワーを買うことにした。以前、雑誌で角田光代さんが取りつけているキャットタワーを見て、いいなと思ったことがあった。そのタワーはステップの途中に丸い半球型の布製のハンモックがついていて、そこに猫が入った写真が実に可愛くて印象に残っていた。ネットでそれらしきものを探し当ててさっそく注文した。
リラは高いところに飛び乗るのがすごく好きな猫である。本棚の最上段やタンスの上、果ては押入れの天袋にまで関心を示して、懸垂よろしくぶら下がってはよじのぼっている。タワーにもじきに慣れて、ポンポン飛び乗るようになった。
しかし、肝心のハンモックには見向きもしなかった。無理やり入れても必死になって這い出してくるばかり。何のために買ったのかと思いながらもそのうちあきらめた。
ところがつい1週間ほど前の朝のこと、何気なくタワーを見たら、ハンモックの上にリラの耳が見えたのだ。わ、ハンモックに入ってる。翌朝もその翌朝も、ステップに飛び乗ってさらにその上のハンモックにボンと入り、毛づくろいしたりしながらまったりと休んでいる。どうして急に入る気になったのか理由はさだかではないが、かなり気に入っていることは確かだ。リラがすっぽりはまると、ハンモックの布がリラの重みでふっくらと丸くなっているのが笑える。しばらくはリラのハンモック姿を楽しめそうだ。
「だから、もし猫を飼うことがあったら名前はルナにしようと思っていたんだ」
そして、とうとう妹は猫と暮らす夢を実現した。猫はマンチカンという種類で足が短いらしい。お盆に帰省したとき、キャリーはもちろん、キャットタワーまで購入して居間に取りつけていたのでびっくりした。しかも、トイレもキャリーもタワーも実に立派なものである。ここまでの準備をして迎え入れてもらえるルナちゃんは幸せものだ。わが家では、場所も取るからとキャットタワーを置いたことなど一度もなかった。
妹に刺激されて、この際わが家でもリラちゃん用にキャットタワーを買うことにした。以前、雑誌で角田光代さんが取りつけているキャットタワーを見て、いいなと思ったことがあった。そのタワーはステップの途中に丸い半球型の布製のハンモックがついていて、そこに猫が入った写真が実に可愛くて印象に残っていた。ネットでそれらしきものを探し当ててさっそく注文した。
リラは高いところに飛び乗るのがすごく好きな猫である。本棚の最上段やタンスの上、果ては押入れの天袋にまで関心を示して、懸垂よろしくぶら下がってはよじのぼっている。タワーにもじきに慣れて、ポンポン飛び乗るようになった。
しかし、肝心のハンモックには見向きもしなかった。無理やり入れても必死になって這い出してくるばかり。何のために買ったのかと思いながらもそのうちあきらめた。
ところがつい1週間ほど前の朝のこと、何気なくタワーを見たら、ハンモックの上にリラの耳が見えたのだ。わ、ハンモックに入ってる。翌朝もその翌朝も、ステップに飛び乗ってさらにその上のハンモックにボンと入り、毛づくろいしたりしながらまったりと休んでいる。どうして急に入る気になったのか理由はさだかではないが、かなり気に入っていることは確かだ。リラがすっぽりはまると、ハンモックの布がリラの重みでふっくらと丸くなっているのが笑える。しばらくはリラのハンモック姿を楽しめそうだ。
2012年01月18日
鈴虫鳴き
リラが登場してはや2ヵ月が経過した。なにしろしょっちゅう駆けずり回っているので目が離せない。まるでアクロバットのように椅子の背に飛び乗っては体をひねってパソコンデスクへ飛び移るといった離れ業をする。狙った獲物――目薬や付箋、紙くずなどこまごましたもの、特に脈絡はなし――への執着、はなはだしく、場所を移したぐらいではあきらめてくれない。あっちの棚、こっちのテーブルと飛び乗っては駆け下りるので、テーブルクロスはめくれ、ものが床に落ちて散らばること、おびただしい。
得意技がもう一つ加わった。マジックボールを投げると追いかけていき、口にくわえて戻ってきては掌にポトリと落とすのだ。先輩たちも追いかけていくことはあったが、しっかり口に咥えてくることはなかったような気がする。
リラは鏡がわかる猫である。よく自分の姿や映っているわれわれを眺めている。テレビもよく見る。昨夜も猫番組の猫たちを食い入るように見つめていた。こちらが言っていることをかなりの程度、理解しているように思われるが、言うことを聞く聞かないはまた別の話だから困る。
年末年始と帰省していたときは猫シッターさんのお世話になったが、フーコとちがって人見知りしないので、シッターさんも楽しかったみたい。お世話レポートにカメラ目線のリラの写真がしっかり添付されていた。
ニャアと鳴くことのなかったリラが、秋田から帰宅した夜ばかりはニャアニャアととめどなく鳴き続けたので驚いた。なんだニャアと鳴けるんじゃないの。リラ語を町田康の文体にならって翻訳すると、「ほんまに、どこへいってましたんや。いいかげんにしとくなはれ。ったく人間のくせになに考えてまんねん、こんな寒い冬に小動物をほったらかしにしといて。とにかく、はよご飯にして」……こんな感じかな(でたらめの関西弁ですみません。でも、なんか関西弁がしっくりくる感じなんです)。
ニャアと鳴けることはわかったのだが、その後は相変わらず「ルルルル」と鈴虫鳴きをするリラちゃんである。
得意技がもう一つ加わった。マジックボールを投げると追いかけていき、口にくわえて戻ってきては掌にポトリと落とすのだ。先輩たちも追いかけていくことはあったが、しっかり口に咥えてくることはなかったような気がする。
リラは鏡がわかる猫である。よく自分の姿や映っているわれわれを眺めている。テレビもよく見る。昨夜も猫番組の猫たちを食い入るように見つめていた。こちらが言っていることをかなりの程度、理解しているように思われるが、言うことを聞く聞かないはまた別の話だから困る。
年末年始と帰省していたときは猫シッターさんのお世話になったが、フーコとちがって人見知りしないので、シッターさんも楽しかったみたい。お世話レポートにカメラ目線のリラの写真がしっかり添付されていた。
ニャアと鳴くことのなかったリラが、秋田から帰宅した夜ばかりはニャアニャアととめどなく鳴き続けたので驚いた。なんだニャアと鳴けるんじゃないの。リラ語を町田康の文体にならって翻訳すると、「ほんまに、どこへいってましたんや。いいかげんにしとくなはれ。ったく人間のくせになに考えてまんねん、こんな寒い冬に小動物をほったらかしにしといて。とにかく、はよご飯にして」……こんな感じかな(でたらめの関西弁ですみません。でも、なんか関西弁がしっくりくる感じなんです)。
ニャアと鳴けることはわかったのだが、その後は相変わらず「ルルルル」と鈴虫鳴きをするリラちゃんである。
2011年12月06日
新入り登場・その2 リラの得意技
リラが登場して3週間が経過した。最初の2日間はいっさい食事に口をつけず様子を伺っていた。ガツガツしないところは、キャットシェルターで4ヵ月間手厚く世話されてきた証だろう。2日目の夜、子猫のスープをあげたらちょっと飲み、それからは納得して食べだした。
リラの好きなこと。その1、ごろごろころげまわること。ごろごろが高じて、しょっちゅうソファからころげおちている。その2、新聞紙をかじること。それも届いたばかりの新鮮なものがとくに好き。古新聞を与えてもよろこばない。その3、テーブルの端っこから前足を垂れてあたりを眺めること。だらっと垂れた前足がかわいい。その4、座椅子の背もたれにまたがること。その5、木のコマのドリブル。
これらは先輩のルイやフーコには見られなかった、リラならではの行動だ。半面、先輩たちが子猫のころ大好き
だったティッシュめくりや風呂蓋の上での昼寝にはいまのところ関心なし。
食事はよく食べるが、せがむことはない。出されれば食べるという奥ゆかしさ。フーコのように水に手を浸して手をしゃぶって毒見するということもない。ルイのように私の箸からウィンナーを奪うというようなはしたないこともしない。
夜寝るときは居間の座椅子。たまに寝室にもやってくるが、長居はしない。いまはテレビの裏を狙っている。ここは先輩たちもホコリまみれになって陣取っていた場所。
そしてあまり鳴かない。たまにかすかに消え入りそうに声を発するので、どうかしたのかと心配になる。体重は増減なしの3キロ。家の者によれば日中はフーコのダンボールの隠れ家にちゃっかり入って爆睡していることも多いそうだ。
リラの好きなこと。その1、ごろごろころげまわること。ごろごろが高じて、しょっちゅうソファからころげおちている。その2、新聞紙をかじること。それも届いたばかりの新鮮なものがとくに好き。古新聞を与えてもよろこばない。その3、テーブルの端っこから前足を垂れてあたりを眺めること。だらっと垂れた前足がかわいい。その4、座椅子の背もたれにまたがること。その5、木のコマのドリブル。
これらは先輩のルイやフーコには見られなかった、リラならではの行動だ。半面、先輩たちが子猫のころ大好き
だったティッシュめくりや風呂蓋の上での昼寝にはいまのところ関心なし。
食事はよく食べるが、せがむことはない。出されれば食べるという奥ゆかしさ。フーコのように水に手を浸して手をしゃぶって毒見するということもない。ルイのように私の箸からウィンナーを奪うというようなはしたないこともしない。
夜寝るときは居間の座椅子。たまに寝室にもやってくるが、長居はしない。いまはテレビの裏を狙っている。ここは先輩たちもホコリまみれになって陣取っていた場所。
そしてあまり鳴かない。たまにかすかに消え入りそうに声を発するので、どうかしたのかと心配になる。体重は増減なしの3キロ。家の者によれば日中はフーコのダンボールの隠れ家にちゃっかり入って爆睡していることも多いそうだ。
2011年11月17日
新入り登場・その1 子猫の譲渡会
11月某日、代官山に出かけた。捨て猫・捨て犬を保健所から引き取って世話をしている団体、ライフボートが主催する「子猫の譲渡会」である。山茶花のこぼれる道をちょっとドキドキしながら会場に向かう。マンション1階のギャラリーみたいなフリースペースには大きなケージが6個。その中に白、黒、まだら、シッポが長いの短いの……といろいろな子が5〜6匹ずつ入れられていて、遊んだり寝そべったりじゃれあったりしている。参加者は自由に子猫たちを見てまわり、ときどき付き添っているスタッフに頼んで抱かせてもらったりする。抱いているうちに脱走して会場を駆けずり回る子もいる。1時間くらい皆でうろうろ。猫たちもざわざわ。4ヵ月〜8ヵ月くらい。だが、どの子も保護されてから今日までスタッフに手厚く世話されていたことが感じられる。
全部のケージを見て回る。みんな可愛い。わが家の先代の猫たちとはちがった柄の子にしようと見回すと、ケージの中にしつらえてある小さなダンボールのトイレにはまって「いい湯だな」状態の三毛ちゃんが一匹。その様子が先代フーコに似ている。ちょっとときめく。もう一匹、哲学者タイプの美しいまだら猫にも惹かれる。あたりのざわつきを一向に意に介さず自分の世界に浸っている。悩んだが、最終的にトイレのポーズが決め手となって、三毛ちゃんにしようと決める。
「そろそろよろしいでしょうか?」の声とともに、希望の猫がいるケージの前に移動する。ケージごとに希望する猫に手を上げて、バッティングしたら抽選である。このケージではほかに手を上げる人はいなかったので、「いい湯だな」猫があっけなくわが家の猫に決定した。
今年の3〜4月頃、房総半島方面生れの三毛のメス。伴性遺伝といって三毛はほとんどがメスで、オスはめったに生れないそうだ。尻尾はちぎれたように短くて丸いのもご愛嬌だ。顔から背中にかけていろいろな柄がまじりあったチョッキをはおっている。先代たちの面影をまとっているようだ。お腹と手足の先は真っ白。名前はリラちゃんと帰りの電車の中で決定した。
これからリラちゃんと私たちの新しい生活がスタートする。わが家を気に入ってくれるといいのだが。
全部のケージを見て回る。みんな可愛い。わが家の先代の猫たちとはちがった柄の子にしようと見回すと、ケージの中にしつらえてある小さなダンボールのトイレにはまって「いい湯だな」状態の三毛ちゃんが一匹。その様子が先代フーコに似ている。ちょっとときめく。もう一匹、哲学者タイプの美しいまだら猫にも惹かれる。あたりのざわつきを一向に意に介さず自分の世界に浸っている。悩んだが、最終的にトイレのポーズが決め手となって、三毛ちゃんにしようと決める。
「そろそろよろしいでしょうか?」の声とともに、希望の猫がいるケージの前に移動する。ケージごとに希望する猫に手を上げて、バッティングしたら抽選である。このケージではほかに手を上げる人はいなかったので、「いい湯だな」猫があっけなくわが家の猫に決定した。
今年の3〜4月頃、房総半島方面生れの三毛のメス。伴性遺伝といって三毛はほとんどがメスで、オスはめったに生れないそうだ。尻尾はちぎれたように短くて丸いのもご愛嬌だ。顔から背中にかけていろいろな柄がまじりあったチョッキをはおっている。先代たちの面影をまとっているようだ。お腹と手足の先は真っ白。名前はリラちゃんと帰りの電車の中で決定した。
これからリラちゃんと私たちの新しい生活がスタートする。わが家を気に入ってくれるといいのだが。