横浜詩人会 神奈川新聞掲載の詩 「手紙の詩」「港の詩」

横浜詩人会会員による、神奈川新聞掲載の「港の詩」「手紙の詩」です。

2009年12月

港の詩27 / 「海市(しんきろう)」 木村雅美

港の詩27
海市
(しんきろう)
木村雅美

 

デッキに座る老人
十八才の時に故郷を離れた
船出というにはあまりにも寂しい母の見送り
東京オリンピック
大阪万博
頑張ろう
  頑張った
疲れて故郷の訛りを求めて上野駅をさ迷う
そんな時 必ず届く母のいくばくのお金
父も
  母もいなくなった今
母なる海の上に座る

 

(神奈川新聞掲載2009.12.13

港の詩26 / 「うわさ」今鹿 仙

港の詩26
うわさ
今鹿 仙

 

あなたはなぜ 上陸したのか
夜の荷物にまぎれ
すみやかに胚胎し ストローをくわえる
いわゆる向い合った椅子で語られる 文明や
恋愛や情念の没し方に
海運塔の上を眺めるのだ
互いのたましいはあいまい形で
ストローで吸いつくすこともできる
もう散歩するまでも
ない 走塁手の発句する水辺に白くなった

 

(神奈川新聞掲載2009.12.6

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