横浜詩人会 神奈川新聞掲載の詩 「手紙の詩」「港の詩」

横浜詩人会会員による、神奈川新聞掲載の「港の詩」「手紙の詩」です。

2010年02月

港の詩36 / 「岬」 桜井さざえ

港の詩36

桜井さざえ

 

都市の片隅の坂の上の家に住み
空の青さを仰ぎ
  焦がれるように
海をひきよせ
  溺れている

石くれに足をとられながら岬までの道
潮騒に混り羽ばたく海鳥の音
飛沫に濡れて咲く
  つわぶきの花
死者にも
  生者にも届く言葉で
沸くように詩を書く

満月の光りはひとしく地の底へ海底に

 

(神奈川新聞掲載2010.2.28

 

 

港の詩35 / 「港」 馬場春世

港の詩35

馬場春世

 

人はみな心の中に
港を持っている
旅立つ船や
停泊している船を抱えている
三十年前に錨を降ろした船長は
私の中にいついたまま

今日  冷たい風の桟橋から
どこかに置き忘れた私を探す
捜査船を出航させた

 

(神奈川新聞掲載2010.2.21

港の詩34 / 「母・港」 細野豊

港の詩34
母・港
細野豊

 

孤独が眩しい大海原の航海に疲れはてて
星が生まれる空の下凪いだ水に錨を下ろすと
いつもあなたは穏やかに包んでくれた
港が窮屈なのは周りに居座る山々の所為だと
解放を求めるぼくの闘いをあなたは
理解してくれないと  ぼくはあなたを詰った
そして突然  あなたが此処から消えたとき
ようやく自由になれたと思ったのだが
それは荒れ狂う海で散々に翻弄される
耐え難く長い不安な漂流の始まりだった


(神奈川新聞掲載2010.2.14

港の詩33 / 「待ちぼうけ」 三田麻里

港の詩33
待ちぼうけ
三田麻里

 

港の見える丘公園で  あの人を待った
待って
  待って
飲んだ缶コーヒー
  お腹の中で
チャポ
  チャポと     波の音
花壇の花びらを
  一枚
また一枚と摘んで
  「来る  来ない  来る」
三三三枚目の「来る」で花びらは絶えたのに
あの人は来なかった
街灯が
  ぽおっとついて
赤いサルビアの絨毯
  ますますの赤

(神奈川新聞掲載2010.2.7

livedoor プロフィール
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ