横浜詩人会 神奈川新聞掲載の詩 「手紙の詩」「港の詩」

横浜詩人会会員による、神奈川新聞掲載の「港の詩」「手紙の詩」です。

2011年01月

港の詩80 / 「世界の港から」村山精二

港の詩80
世界の港から
村山精二

 

人が来る 荷が来る 虫も来る
じわりと増える異種たちは
いつも港から展開して内陸へ
やあいらっしゃい!
とばかりは言えない外来のものたちよ
人が行く 荷が行く 虫も行く
世界の港へこの国から勇躍するものたちよ
君たちは歓迎されているか?
丘からみえる港は
有象無象でいっぱいだ
(神奈川新聞掲載2011.1.30

港の詩79 / 「ドット・シップ」中村吾郎

港の詩79
ドット・シップ
中村 吾郎

 

遠い 未明
深々と 闇
けれど 還る朝がある
戻る 山下の港がある
汽笛を 鳴らせ
口笛を 吹いて
どんなに夜が深くても
航路を霧が閉ざしても
灯を点し 進め
ドット・シップ

(神奈川新聞掲載2011.1.23

港の詩78 / 「凍港」柴田千晶

港の詩78
凍港
柴田 千晶

 

寒夜の病室に
冷たく光る点滴バッグは冬の海月
(わたしが消えてしまったの
(わたしがいなくなってしまったの
ゆうべ死んだだれかの声を
口寄せのように母はつぶやく
病室の
玻璃に灯る 港で待つ父の煙草火
深海の底で母はふたたび目を開き
乗船の列に付く父の背に
「まだ行かないとつぶやく」
(神奈川新聞掲載2011.1.16

港の詩77 / 「冬の旅」富永 たか子

港の詩77
冬の旅
富永 たか子

 

割り箸を手に
沈んだ魚の目をつつく
怨念もつつく
目玉の向こうで
眉根を寄せた月が
油脂(あぶら)の波によろばいながら漂う波浮の港

熱燗のやや辛口が
口当たりの良い言葉になって広がって
鴎が鳴いた

(神奈川新聞掲載2011.1.9

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