横浜詩人会 神奈川新聞掲載の詩 「手紙の詩」「港の詩」

横浜詩人会会員による、神奈川新聞掲載の「港の詩」「手紙の詩」です。

2011年05月

港の詩95 / 「祈り」小西郁子

港の詩95
祈り
小西 郁子

 

今日も烟っている水平線
遠い幸運
帰らないヨット

深く交わったものよりも
素通りしてきたものが懐しい

たゆたう水鳥たちの
白い点描よ
きらめく明日への素顔よ



(神奈川新聞掲載2011.5.29

港の詩94 / 「余白」佐伯多美子

港の詩94
余白
佐伯 多美子

 

円を描く
そのうちがわに沿ってまた円を描く
そのうちがわにまた
うちがわに
何層にも円が重なり
やがれ
円の中心で
白い点 のような
余白
が 寡黙にあった



(神奈川新聞掲載2011.5.22

港の詩93 / 「横浜を歩く」横倉れい

港の詩93
横浜を歩く
横倉 れい

 

 青空と日差しに包まれた日に散歩に出た。
目指すのはニューグランドホテルと、氷川丸
である。ホテルの案内の写真には春の山下公
園の花壇に咲き誇る薔薇の上に浮かぶ氷川丸
の船尾。秋の紅葉の欅に海側をかくされたホ
テル。写真を眺めていると私の現実の時間は
思いでの中へすべりこみ亡き夫とよく来たホ
テルの朝食の味が私を誘う。昼食を食べ終え、
ほめてね、これから海面にキラキラ輝く陽光
の知る氷川丸の歴史を散歩するのと呟く。


(神奈川新聞掲載2011.5.15

港の詩92 / 「初夏の片瀬漁港」村上 亨子

港の詩92
初夏の片瀬漁港
村上 亨子
 

江の島沖から波を分けて船は
沿岸漁業に生きる人
相模湾に回遊してくる魚
ワカメやコンブを乗せて
片瀬漁港に帰ってくる
荷捌き場では朝市が始まる
サバ アジ イワシ
カツオにイナダ
”旬のさかな持っていきな”
初夏の漁港は明るい声が満つ


(神奈川新聞掲載2011.5.8

港の詩91 / 「境界線」宗田とも子

港の詩91
境界線
宗田 とも子
 

小さな漁港の昼下がり
釣り船がゆっくりと息を吐いている
すでにシラスは干し箱の上で輝き
小魚は腹を割かれ銀色の群れとして並ぶ
 引き潮 満ち潮
 出港 帰港
テトラポッドの遠くで波を砕く音
 生のきらめき ふいの終焉
 実像 残像
岸壁に今日も散りばめられて


(神奈川新聞掲載2011.5.1

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