手紙の詩72

「ははへ
広瀬弓

 
 

あなたを火葬した翌朝 雪が降りました
あなたの庭が白い炎に包まれ燃えて
葉を落した名も知らぬ庭木の
かぼそく優美な枝たちは
樹形の銀のオブジェになりました
雪の庭は活気あふれる無声映画のようで
わたしはいつまでも見入っていました
春 その枝に小さな鐘の形の
黄色い花が穂になって垂れています
とさ水木という名を知りました



(神奈川新聞掲載2015.5.10