手紙の詩76

「初夏
宗田とも子

 
 

遠くから運ばれてきた氷にことづけを注ぐ
昼下がりの指先が凍えてきて
器の底からの
気ままな気泡を数粒はじいた
潜んでいたのは生まれたばかりの水の声
木立が濃くなった
水彩画のあなたの上に
隠れているわたしが溶けて
滲んだ
振り向いてはいけない



(神奈川新聞掲載2015.6.7