手紙の詩79

「生きる
森下久枝

 
 

古い手紙の束にふれる
花びらがこぼれるように
匂やかに息をふきかえすたくさんの声
記憶のかなたに
埋もれていた言葉がたちあがり


極上の贈りものに守られている

歩いていく
言葉の杖をいただいて




(神奈川新聞掲載2015.6.28