おまけ オネエ妖怪 別の街での話②

2014年01月19日

「おい、そこのオカマ、まだ居たのか。」

私は後ろから声を掛けられ、振り向いた。

「居るわよぉ。もう少しここに居ることにしたから。よろしくね。」

「ふざけんな。この街から出て行けつったろ!」

私にまた妙な技をかけてこようとしたので、すっと姿を消してやった。

「妖怪をナメないでよね。そう簡単に人間なんかに

同じ手を喰らうものですか。それより、あの子に告白できた?」

「は?バカだろ、お前。違うつってるだろ。」

そう言うと彼は赤くなった。

「いいのよ、私には全てわかってるんだから。」

しばらく間があり、重い口を開いた。

「無理なんだよ。そんなの。できるわけねーじゃん。

俺だっておかしいって思ってるんだから。」

「何が?おかしくなんかないわよ。人を好きになる気持ちが

なんでおかしいの?たまたま好きになった子が男の子だったってだけの話よ。

アンタはおかしくなんかないわよ。」

「でも、絶対にそんなことを言ったら嫌われる。

友達ですら居ることができなくなる。」

「そうかしら?アンタの好きな子は、そんな小さなやつなの?」

「あいつの悪口は言うな!」

「でしょ?アンタがそのまま、ずっと友達でいいって思ってるのなら

何でそんなに悩んでいるの?友達として見れなくなったからでしょう?」

男の子は黙って考え込んだ。

「まあ、よく考えてみることね。決めるのは自分だから。」

私はそう言い残して、闇夜に消えた。

さあ、勇気を出せるかしら。


そのあくる日の夕方、あの二人がいつもの分かれ道で挨拶を交わす

「じゃあ、また明日な。」

「待って、和也。俺・・・・・。」

「ん?」

お、ついに告白する気になったのね。

ほら、結果を恐れずに。

「俺・・・和也の特別になりたい。」

「え、どういうこと?拓海は俺の一番仲のいい友達じゃん?」

「と、友達・・・・以上になりたい。

男同士なのに、こんな気持ち、おかしいってわかってる。

でも・・・俺。お前が好きだ。」

やった、言ったわね。

相手の男の子は、黙ってるわね。

そりゃ、そうよね。男からの告白だもの。

戸惑うわ。

「うーん、急に言われてもなあ。

まだ、俺にはわかんないや。

でも、俺はずっと拓海と一緒に居たいよ。

今の答えは、これでもいいかな?」

そう言うと和也という男の子は、ニパっと明るく笑った。

なんて素敵な子なの!

拓海の顔がぱあっと明るくなった。

「うん!俺も和也と一緒に居たいんだ、ずっと!」

「よし、決まり!じゃあ、今日は俺んち遊びに来るか?」

「うん、明日休みだし。泊まっていい?」

「おう、いいよ!お母さんにご飯用意するように言っとくわ。」

そう言うと、和也は携帯で電話をし始めた。

ちょっとちょっと、いきなり急展開じゃないのよ。

高校生の交際は、清く正しくよ。


まったく、最近の高校生は。

羨ましい。

私も美少年を捜さなくっちゃ。


そして私は今日も街角で、いたいけな美少年を待ち伏せるのだ。

yomo2_hirasaka at 23:12|Permalink

おまけ オネエ妖怪 別の街での話①

2014年01月17日

「じゃあ、また明日なー。」

「おう、またな。」

二人の男の子が分かれ道で挨拶を交わしている。

高校生くらいかしら。おいしそう。

一人になったわ。しめしめ、いただくとしますか。

そう思って近づいて行くと、一人はずっともう一人を見つめ

見えなくなるまで立ちすくんでいる。

もう一人の男の子が見えなくなると、はあと切なそうに溜息をついた。

こ、これは・・・・。久しぶりの。

ノンケじゃない男の子の垢が舐められる!なんてラッキーなのかしら、私!

私は妖怪垢舐めと人間からは呼ばれているけど、そこいらの垢舐めと

一緒にしないでね。私が舐めるのは、美少年の生の垢だけなの。

今日は極上なのをいただけそうだわあ。

「いただきまーす。」

その少年の首筋を舐めようとしたとたんに、こめかみに痛みを感じた。

「あいたたたたた。」

私は少年の大きな手でアイアンクローを決められていたのだ。

「おいおい、妖怪が俺に、何か用かい?」

「な、なによ、そのベタなダジャレは!はなっ、はなしなさいよ!痛いじゃない!」

「やだね。離したら変なことするつもりだろ。このオカマ妖怪。」

「オカマって言わないでよ。オネエって言ってよね。何もしないから、離してぇ。」

すると、少年は急に手を離し、私は無様にこけて這いつくばった。

「いたたた。乱暴ねえ。」

「乱暴なのはどっちだよ。いきなり後ろから襲うとは。卑怯だろう。」

「でも、気付いて無事だったじゃない!私のこと、見えるの?」

「まあな。俺、神社の息子だし。ここいらで悪さしてるのは、お前だな。

うちの親父に言って祓ってもらうか?」

「仕方ないじゃない!私は垢を舐めないと生きていけないのよ。」

「じゃあ、誰も居ない風呂場とかでこっそり舐めてろよ。」

「そこいらの垢舐めと一緒にしないでちょうだい。

私はね、グルメなの。美少年の生の物じゃないと口にしないの!」

「とにかく、この街から消えろ。」

そう言うと、少年は去ろうとした。

私は悔しくて後ろから言った。

「何よ、偉そうに。好きな子にも告白できないチキンのくせに!」

少年はびっくりしたように振り返った。

図星ね。

「アンタ、あの男の子のこと、好きなんでしょ。」

「ば、ばか。男同士だぞ。そんなこと・・・あるわけない!」

「ダメよ、素直にならなくちゃ。大丈夫よ、私は同類だもの。

気持ちはわかってるつもりよ。」

「うるさい。妖怪などにそんな話をする必要はない!

お前と一括りにされる覚えも無い!」

そう言うとずんずんと夜道を帰って行った。

素直じゃないわねえ。

私はまた、悪い虫が疼いてきちゃったみたい。

この前の僕っ娘といい。

ほんと、じれったいわねえ。

恋なんて玉砕覚悟で行かなくちゃネ♪

しばらくお節介な私はこの街にとどまることに決めた。

yomo2_hirasaka at 17:19|Permalink

あとがきっぽいもの

2014年01月10日

初の恋愛物に挑戦してみて、

自分でも背中がぞわぞわしています。

ホラーのブラックな展開の物ばかり書いてきたので

お尻がむずがゆいのです。

最近、オネエの方々のご活躍が著しい中

〇リス・松村さんや、〇バちゃん、〇KKOさんなどをテレビで見かけると

ついつい、妖怪という言葉が頭に浮かんでしまって。(すみません。)

美少年の垢でも舐めてそうだよな、って思ったときに

ひらめいたんです。

この物語は、一番最初に「ライトなラノベコンテスト」に応募した

「陰日なたあり」のスピンオフ的な要素も含まれています。

陰日なたありでは、脇役で日向(ひなた)の友人の翼くんとみなみちゃんの

ラブコメディーに仕上げてみました。

「陰日なたあり」のほうにも、ぜひお立ち寄りください。

では、最後にご挨拶を。

nenga1


yomo2_hirasaka at 12:59|Permalink

最終話 アフターハートブレイク 風のオネエ妖怪

dokidoki

僕は慣れない靴で走った。

ピンクのハイヒール。

僕は逃げ出したのだ。

バカみたい。こんな格好して。

最初からわかってるじゃない。こうなることなんて。

わかっていても、涙は後から後から溢れてくる。

「いたっ!」

僕はついに足を挫いて転んでしまった。

「大丈夫か?」

息を切らせて追いかけてきた翼が手を差し伸べていた。

僕は慌てて涙をぬぐったけどバレバレだった。

「なんで泣いてるんだよ。いったいどうしたんだ?」

「ご、ごめん、なんでもない・・・・。」

「何でもないわけないだろう。何があった?」

翼が立てない僕に寄り添い肩を貸してくれた。

「や、優しくしないで・・・。僕、諦めきれなくなるから。」

また涙が出てきた。

「え?何のこと?」

「僕・・・・・翼のこと・・・・好きだった・・・。」

僕は自分でもびっくりした。

このタイミングでの告白。

ホント、僕ってカッコ悪い。

「あの溺れた時、助けに来てくれたときから、ずっと・・・好きだった。」

僕は泣きじゃくっていた。

「でも、翼は、日向子のことが好きだって。わかってたのに。

諦められなくて・・・。」

「はぁ?何で諦めるの?」

僕は翼の言っていることが理解できずに戸惑った。

「でも、さっき・・・・翼は言った。

日向子が好きだって。

花火の間もずっと、日向子のこと見つめてたし。」

翼は溜息をついた。

「俺がいつ、日向子を好きだって言ったよ。」

「言ったじゃん!」

僕は八つ当たりとも取れるように、大声で叫んでいた。

すると、翼は僕の頭をくしゃくしゃっと撫でた。

「ほんっと、みなみは天然だよなあ。

まあ、そういう所も含めて、俺は好きなんだけどな。」

僕は耳を疑った。僕のことを、好きだと言った。

でも、日向子にも同じことを言った。

「あの状況をよく思い出してみ?俺たちは何を食ってた?」

「お団子・・・・」

「実はあの前に、日向子とお団子の種類が

みたらしとあんこしか無かったかって話をしてたんだ。

なんで”きなこ”が無いのかを論議してたんだ。

俺はみたらしだんごを一口食べたその口で

やっぱさ、俺、”きなこ”が好きだなって言ったんだ。」

僕は自分の早とちりに、見る見る赤面した。

「ひなこ」ではなく、翼は「きなこ」と言ったのだ。

そして、それに日向子(ひなこ)が同意しただけなのだ。

僕は本当にバカだ。勝手に一人で空回りしてる。

「で?みなみは、俺のこと、諦めるの?

俺、振られちゃうのかな?」

僕は頭をブンブンと横に振った。

「あのBBQの日、みなみが溺れた時、日向がまず助けに飛び込んだだろ?

俺、あいつが泳げないの知ってた。だから、友達を救うべきか

みなみを救うべきか、一瞬悩んだんだ。でも、俺は、大切な人を助けた。

やっぱ、友達より、一番大切な人を救いたかった。日向には悪いけどな。」

翼は頭を掻きながら照れくさそうに言った。

僕は顔がくしゃくしゃになった。

翼の胸に飛び込んだのだ。

「バカ、泣くなよ。俺のTシャツ、ぐっしょぐしょだよー。」

翼が笑った。

そして、翼の顔が僕の顔に近づいてきた。

僕は翼にキスされた。

ファーストキスが翼なんて。


二人の顔が離れると、遠くから日向と日向子が

ちょっと驚いた顔で見ていた。

「見せ付けてくれるなあ、お二人さん。」

日向が真っ白な歯を見せていたずらっぽく笑った。

最高の夏だ。

_____________________

川原の側の雑木林から、不穏な空気が流れていた。

「あー、協力していて言うのもなんだけど、なーんか

人の恋路がうまく行くのって癪だわあ。

ちょっとうまく行きすぎじゃない?あの二人。」

オネエ妖怪は事の成り行きを見ていて、ハンカチを噛んで

悔しがっている。

するとオネエ妖怪の顔に、上から何か柔らかい物がファサっと触れた。

オネエ妖怪は上を見上げると、「キャーーー!」と悲鳴を上げた。

貞子が木の上から膝でぶら下がってユラユラ髪の毛が揺れていたのだ。

「バカ!脅かさないでよ!心臓止まるかと思ったわよ!

何?妖怪でも驚くのかって?当たり前じゃない!

そんな風に不意打ちされたら、誰でも驚くわよ!」

オネエは唾を飛ばした。

まあ良かったわ。

これで私のイライラも解消したことだし。

やっぱり然るべきして進展すべきものが、うまく進まないのって

イライラしちゃうじゃない?

私は初めっから、わかってたもん。

あの二人は両思いだって。

恋のキューピッドがオネエ妖怪だなんて、あの翼って子は知らないのよねえ。

オネエはクスクスと笑った。

___________________________

数日後、僕は学校帰りの夕暮れ、いつもの道を通った。

ここ最近、あのオネエ妖怪に出会ってない。

もう、どこか違う場所に移動してしまったのだろうか。

僕はオネエ妖怪にお礼が言いたかった。

僕に告白する勇気をくれた、オネエ妖怪に。

もうこの道にはいないんだ。

すると、遠くのほうから男性の悲鳴が聞こえてきた。

あ、きっとオネエ妖怪だ。

僕は声のする方向に走って行った。

道路わきのコンビニの駐車場にそいつは立っていた。

「あら、リア充が来たわ、怖い怖い。」

そう言って、オネエ妖怪はおどけた。

「いろいろ、ありがとう。」

僕はオネエ妖怪にお礼を言った。

「よしてよ、私はただ、アンタたちが両思いなのに

進展しないからイライラしてたから、そうしただけよ。」

「場所、変えたんだ。」

「まあね。でも、ちょっとここはやり辛いわあ。

何でコンビニってこう、灯りが煌々としてるのかしら。

やっぱ薄暗いほうが襲いやすいわね。

そろそろ、この街も噂が広まっちゃったし。

旅に出ないとね。」

「え、どこか行っちゃうの?」

「何よ、最初は気味悪がってたじゃない。

厄介払いが出来て清々するでしょ?」

僕は何故か涙ぐんでしまった。

「バ、バカねえ。なんで泣くのよ。」

そう言うオネエ妖怪も、少し目が潤んだ。

「オネエ妖怪はね、風よ。

風のように、いろんな街を渡り歩いて

生きていくのよ。風はどこにでも吹くでしょ?

いつかまた、この街にもオネエの風が吹くかもしれないわ。」

そう言うと涙を隠すためにオネエ妖怪はそっぽを向いた。

「きっと、またいつか、会えるよね。」

僕はもう泣かなかった。

「いつかね。」

オネエ妖怪も微笑んだ。

そして、オネエ妖怪は暗闇に、風のように消えてしまったのだ。


そこのイケメンのあなた。

いつか貴方の背後に、生暖かい風が吹いたら

きっとそれは、オネエ妖怪の仕業だから。

首筋に何かを感じても、許してちょうだい。


yomo2_hirasaka at 09:11|Permalink第一話から読む 

第四話 お祭りの夜

2014年01月09日

いよいよ今日だ。

僕は、ピンクの服を目の前に、まだ迷っている。

やっぱりいつものボーイッシュな格好で行こうかな。

これを着る勇気が僕にあるのか?

「そんなだから、いつまで経ってもダメなのよ。」

あのオネエの声が聞こえてきそうだ。

今日はお祭り。今日くらいこんな格好してもいいだろう。

僕は思い切って、オネエ妖怪のくれた服を着た。

道行く人たちがみんな僕を見ていく。

うー、やっぱり恥ずかしい。

今更ながら僕は後悔した。

女装とか思われてないかな。

神社に着くと、すでに翼が来ていた。

わー、いきなり翼に見られるのか。

僕は帰りたくなった。

案の定、翼は驚きの表情を浮かべていた。

「どうしたんだ?みなみ、いつもとイメージ違う。」

やっぱ着てこなきゃよかった。泣きそう。

「へ、変?」

僕は恐る恐るたずねた。

「ううん、すげー似合ってる。かわいいよ。」

お世辞かな。でも翼に褒めてもらって嬉しい。

「おーい、翼、みなみー。」

浴衣姿の日向と日向子が手を振る。

「おー、浴衣かぁ。浴衣姿もいいねえ、日向子ちゃん♪」

翼がにやけた。

僕はまた胸にチクリと痛みを感じた。

日向子、浴衣、めちゃ似合ってる。やっぱかわいい。

「褒めるの日向子だけかよ。俺も浴衣なんだけど。」

「野郎の浴衣姿なんてどーでもいいよ。ねー、日向子ちゃん。」

「ほんと、調子いいよね、翼は。」

3人のそんなやり取りを無理やり笑顔を作って聞いていた。

なんだよ、僕。自分も褒めてもらったじゃん。

それくらいで凹んでんじゃないよ。

ガンバ、僕。

お祭りは田舎にしては、結構露天が出ていて、にぎやかだった。

「うわー、すごい人だねー。何か買いたいけど、買えるかなあ。」

「あ、見て。あそこお団子屋さんがある!

お団子って珍しくない?」

「そうかぁ?普通に売ってないっけ?」

「珍しいよぉ。普通はたい焼きとかたこ焼きじゃん?

あれ、食べようよ。」

僕らは浮かれていた。

そのお団子屋さんの前の行列に僕らは並んだ。

「んー、みたらしとあんこかあ。」

翼が言った。

「どっちにするの?」

日向子が聞いた。

「あんこは甘すぎるから、じゃあみたらしで。」

翼が言うと、日向も「俺も~。」と言った。

結局男の子たちはみたらしで、僕と日向子はあんこにした。

「あ、そろそろ、花火始まるよ。急ごう。」

僕らは買ったお団子を持って、川原に急いだ。

川原につくころには花火が上がり始めた。

僕らはお団子にぱくつきながらそれを見上げた。

翼が日向子を後ろから見つめてる。

ああ、やっぱり翼は日向子が好きなんだ。

僕は思い知らされた。

翼がお団子を頬張りながら言った。

「やっぱさ、俺、日向子が好きだな。」

僕はお腹を殴られたような衝撃を受けた。

思ってはいたけど、こんなところで翼が告白をした。

すると日向子が振り向いて言った。

「そうなの?実は、私も。」

そう言って微笑んだのだ。

僕は世界がぐるぐると回り始めた。

泣いてはいけない、泣いては。

でも、このままここにはもう居られない。

耐えられない。

僕の目から涙がこぼれてしまうから。

僕は走った。

「みなみ!どうしたの?」

「おい、どこ行くんだよー。」

皆が口々に言った。

ごめんね。

僕はこんなにも弱い。

やっぱ、ダメだったよ、オネエ妖怪。



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