オネエ妖怪は痛む体を引きずり、ほうほうのていで逃げ出した。何なの、何なの、あの娘は。何の感情も示さない、あの冷たい瞳。今思い出しても、ブルっちゃうわ。下手な妖怪より怖いわよ。しかも、すごい力の持ち主。並みの法力ではないわね。まったく、さんざんだわよ。風 ...

「・・・ここはどこかしら?」背の高い痩身の青年は、あちこち痛む体を起こした。「あいたた・・。」そう言いながら頭を押さえた。どうやら頭も打っているらしい。「神社?」どうにか痛む体を引きずり、青年は手水舎までたどり着く。溜まった水の中に映る自分を見て、青年は ...

僕は慣れない靴で走った。ピンクのハイヒール。僕は逃げ出したのだ。バカみたい。こんな格好して。最初からわかってるじゃない。こうなることなんて。わかっていても、涙は後から後から溢れてくる。「いたっ!」僕はついに足を挫いて転んでしまった。「大丈夫か?」息を切ら ...

いよいよ今日だ。僕は、ピンクの服を目の前に、まだ迷っている。やっぱりいつものボーイッシュな格好で行こうかな。これを着る勇気が僕にあるのか?「そんなだから、いつまで経ってもダメなのよ。」あのオネエの声が聞こえてきそうだ。今日はお祭り。今日くらいこんな格好し ...

「うわあああああ!」夜道に哀れな子羊の叫び声が響く。最近は噂が広まり、地元の人は恐れをなしてあまり通らなくなったこの道によそ者のイケメンが通りかかったのが運のつき。脱兎のごとく逃げ出したイケメンの後姿を、うっとりとした表情のオネエが見つめていた。「ほんと ...

「それにしても、アンタ、私のことが見えるのね?普通の人間には見えないはずよ。アンタ、もしかしてそういうの見える子なの?」オネエ妖怪は言った。僕は頭をブンブンと横に振った。生まれてこの方、幽霊や、そういう類の物は見たことも無い。このオネエが妖怪だと言うこと ...

僕は竹中みなみ。一応女子高生。僕には兄弟が居て、上に二人の兄、下に一人の弟、計4人の中で唯一の女の子。でも、全員が自分のことを僕というから、自然と僕も一人称は「僕」となった。親は割とおおらかな親で、別にそのことで咎められたり矯正されることもなかったので、 ...

不気味なカルト教団、教祖失踪、そして解散。このニュースは、しばらくマスコミを賑わせた。不思議なのは、脱会した信者たちは一様に、この教団内での記憶をまったく失っていたことだ。俺には、あのオッサン、芦田、いや道満ならそれが可能だということは知っている。唯一、 ...

俺のピンチに駆けつけたオッサンはこっちに向かって手の平を見せた。「はい、ごくろうさん。お前はもう消えていいよ。」オッサンの手から強烈な光が出た。一瞬にして、拓斗が粉々になって消えた。「式神のぶんざいで。」オッサンはそう言うと、にやにや笑った。「オッサン? ...

拓斗はある建物の前で車を停めた。「さあ、ここが今日から君のおうちだよ。安心してね、ここは君みたいな、鬼の種を宿して生まれて来た人たちが、たくさん居るところだからね。」少女は「鬼の種?」と言った。「そう、鬼の種だよ。鬼の種を持って生まれて来た子供は鬼の心に ...

月日は流れ、俺は一浪の夏を迎えていた。初夏というのに、もうこんなに暑い。勉強なんて身に入らないなあ。俺は朝からぐったりと机に突っ伏していた。すると、いきなり後ろから肩をつかまれて俺は飛び上がった。「ただいまっ!びっくりした?」そこには日向子が白い歯をむき ...

俺は、万屋のオッサン、芦田と駅前でそれぞれ逆方向に向かってブサ猫を探した。「飼い主の家が、駅前だからね。じゃ、君は東側頼むね。ボクは西を探すから。」随分、アバウトじゃねえか、オッサン。俺の手には、ブサ猫の写真1枚。手分けして探し、とりあえず正午に、この駅 ...

俺と日向子は、駅に向かっている。日向子は俺に黙って旅立とうとしていた。「なんで出発の日教えてくれなかったんだよ。待てよ。」俺の前を早足でどんどん進んでいく日向子に、必死に追いつこうと歩いている。「冷たいじゃないか。俺たち、幼馴染じゃん!」日向子は振り向か ...

俺と日向子とその他幽霊(影法師)は、神社の奥の神主宅に招かれおいしい紅茶をいただいている。詠(ヨミ)という不思議な美少女巫女に招かれたのだ。「悪いけど、少しだけお話を立ち聞きしてしまったわ。」詠は言葉とは裏腹に、少しも悪いと思う表情を表さずに無機質に言っ ...

「冗談はその菅笠と鈴がついた杖だけにしてよねw」第一、あんた誰?いかにも私は旅の僧ですって感じのそのスタイル。「その能力こそが証ではありませんか。」能力って?あの影のことか?うーん、確かに。あれは、自分でも説明がつかない。いや、だからって。にわかに俺が阿 ...

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