最悪はじめました

最悪、はじめました。-最悪な話ばかり書きます-後味の悪い話多め



王子は、茨を剣で薙ぎ払いながら、道を進んでいた。この森の奥深くには、立派なお城があり、そこには百年の眠りの呪いをかけられた、美しい姫が眠っているというのだ。王子は、婚期を焦っていた。いい年になり、頭髪も薄くなり、おまけに不摂生の所為か、体も豚のように太っ ...

 由真は、駅のトイレで入念に手を洗っていた。あのじっとりとした、脂ぎった手の感触がまだ残っているようで、気持ちが悪かったのだ。由真は、あるテレビ局の記者として働いていた。 大物官僚から、何とか有益な記事になりそうな話を聞きだしたい気持ちから、不本意ながら ...

私は、あの夜、またあの屋台の前に佇んでいた。 他の桜の木はとっくに花を散らして葉桜になっているというのに、その桜の木だけはたわわに花をつけて、花びらの舞い落ちるその木の下に、その女は、薄暗い灯りに照らされた卵を前に鎮座していたのだ。「おや、お嬢ちゃん、ま ...

待ち合わせの場所でスマホを片手に彼を待つ。突然、後ろから「だーれだ?」と目隠しをされ彼だと思い、彼の名を告げる。「ブッブー、ざーんねん。」私は、そこで初めて得体のしれない存在からのだーれだに凍り付く。でも、もしかしたら、同級生かもしれない。でも、彼以外の ...

あの家に入って遊んではいけません。春休み目前の終業式で、先生たちは、私たちにきつく言い渡してきた。以前から小学生が空き家に入って遊んでいると、近所の人が通報してきたのだ。あの頃の私たちは、せっかくの秘密基地をそんなことで奪われることが理不尽でならなかった ...

俺は初めて人を殺めた。もっとも、理沙もどきが人かどうかと問われれば、それに答えはなかった。ただ、そこには、俺のエゴのために殺された死体が横たわっているだけだった。呆然としていた。混乱した俺は、とりあえず死体を押入れに押し込んだ。ところが、何日たっても、そ ...

私は、室上祐樹が大嫌いだ。ああ、それなのに、私は、なぜあいつのおかげでこんな目に遭っているのだろう。「うちらの王子に近づこうなんて、十万年早いんだよ、このデブ!」私は、そう罵声を浴びせられながら、トイレのドアに突き飛ばされた。その拍子に私のポケットから自 ...

「ああ、嘘でしょう?」私は、駅の電光掲示板に目をやり、ひとり呟いた。雪の為、終日運休。バスターミナルに長い行列が出来ていた時点で嫌な予感はしていた。あの行列に並んで、果たしていつになったらバスに乗れるだろう。たかが3駅だ。私は、意を決して歩き始めた。歩いて ...

自分を見つめる旅に出かけたのは、春も終わりを告げ、蒸し暑い夜だった。あの頃の私は、傷つき、疲れ果てていた。恋人との別れ。住処も追われ、途方にくれていたのだ。確かに、あの地に留まっていれば、食うには困らない。しかし、仲間との生存競争、度重なる嫌がらせ、そし ...

「それじゃあ、3ヶ月間、お願いしますね。」 そう言って玄関口で手渡されたプラスチックのネームプレートには、市営団地第五班 ゴミ当番と印字されてあった。気が重いが、自治会の規則なので仕方ない。「はい、ご苦労様です。」康子は、心とは裏腹に満面の笑顔でそれを受け ...

お大事に?確かに彼女はそう言った。そして、彼女の笑顔は、赤い月に異様に映えていた。おかしな子だ。寂れた神社でひとり、卵をひとつ売りつけてきた女の子が去って、俺はぼんやりと、手の中の白い卵を見つめた。「帰ろう。」俺は、自分の愚かさに呆れながらも、卵はしっか ...

 今日も俺は、放課後の校庭を走る君を、遠くから見つめていた。 一目惚れだった。夕暮れ、一人で無心に走る君を見たあの日から、俺の目はいつも君を探している。白く吐く息が、一定のリズムを刻み、俺の心を揺らしている。俺とは、真逆の君。 人というものは無い物ねだり ...

最近、更新が遅々として進まず、申し訳ありません。寒さに負けて怠けております。というか、まったくお話が浮かびませんお話がかけないうえに、また私事で申し訳ありませんが、ご報告があります。このたび、Taskey様http://taskey.me/?lang=jpよりお声かけいただき、同 ...

こんばんは。僕です。今夜は、都市伝説にもなっている、異世界に行く方法を試してみたいと思います。まず、用意するもの。10階以上のエレベーター。これは、僕のマンションがちょうど10階以上なので、自宅マンションでやります。まずエレベーターに乗ります。 注意すること、 ...

「祐樹、あがったぞ。お前も一風呂浴びてこいよ。」「ああ、早かったな。俺に遠慮せずに、大浴場、行ってくればよかったのに。」「別に。遠慮とかじゃねえし。どうせ、一人で大浴場行っても、温泉なんてジジイばっかりだよ。」直哉と祐樹は、とある温泉旅館に来ている。卒業 ...

二度目の収録です。今回はエブリスタ様編集ですが、竹書房様よりの出版です。本の題名は、「ためしに怪談きいたら、やっぱり幽霊いるし怖すぎた。」です。ちょっと長いです。https://www.amazon.co.jp/dp/B076LKYM87/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1その中の「 ...

あきらめないいつまで待とう裏切りに耐え笑顔の裏の顔覆い隠そうか神様は罪深ききっと気づく繰り返す日付喧嘩したあの子殺された朝さりげない話知らない世界の様子少しの幸せ世界は今こそそれを待っていたたくさんの犠牲を放ち血で血を洗う終末月は隠れて手には銃をと時には ...

 おはようございます。お父様。今日は良い天気ですよ。少し窓を開けて空気を入れ替えましょうね。 あら、庭の金木犀がもう香る時期になったのねえ。お父様にも届いているかしら。お父様に、窓からあの見事な咲きっぷりの金木犀の花をご覧いただけないのが本当に残念ですわ ...

 残暑の西日射す夕暮れ、恵子は一人、黙々と文机に向かって、一枚一枚丁寧に葉書にメッセージを書き連ねていた。流れるような、その筆遣いは、しなやかに払い、そして力強く留まりして、まるで紙の上を泳ぐ金魚のようである。「ただいま。何を書いているんだい?」 小さな ...

どのあたりから、記憶が無いんだろう。気がつけば、俺は、小さな路地裏を歩いていた。この町に越して来て1年になる。会社での俺の居場所は無くなっていて、言えばこれは左遷というやつである。この小さな田舎町に左遷になった時には、それなりに自尊心が傷ついたし、無能のレ ...

涼子は思い悩んでいた。この春より、涼子は、小学校教員となり、新任にもかかわらず、1クラスの担任となった。ずっと夢見てきた教師という職業は、なかなか一筋縄には上手く行かなかった、クラスは、やんちゃ盛りの子供達ばかりで、なかなか涼子の言うことを聞いてくれない。 ...

私が小学生の頃の話です。私達は、当時、2LDKのアパートで、両親と私と弟の四人で暮していました。父は自営で塗装の仕事をしており、自営とはいえ、決して暮らしは裕福ではなく、父と母は、よく喧嘩をしていました。金銭面でも女性面でも、父はだらしない人だったので、母 ...

午前零時。タクシーは、コールタールを流したような、ねっとりとした闇をひた走る。ふと、歩道に目をやると、霊園の前で手を上げる髪の長い、白いワンピースを着た女が立っていた。タクシーは静かに、その女のわきに車を停め、ドアを開ける。「どちらまで?」乗り込んで来た ...

「今日は、彼ピッピと前から見たかった映画を見てきた❤チョー面白かったよ。」ミズキは自分のSNSのアカウントを開いて呆然としていた。 こんな書き込み、したことない。だいいち、今日は映画をすっぽかされて家に居たのだ。ご丁寧にも、映画のパンフレットの画像がアッ ...

「ママァ、もう一回、いいでしょ?」おでこに汗をいっぱいかいて髪の毛は貼りつき、すでに白い浴衣のそではびしょびしょのヒナが泣きそうな顔で懇願してきた。「だぁめ。もう何回目だと思ってるの?そろそろ他のお店にいきましょう?カキ氷買ってあげるから。」「いやだ!ヒ ...

 あの遊園地は度々、入園者が居なくなるらしいよ。居なくなったら二度と帰ってこないらしい。  そんな噂が流布されだしたのは、裏野ドリームランドが廃園になる前かどうかは定かでは無い。  今は、すでに廃園になってかなりの年数が経っており、かつての賑わいはかけら ...

 迷子になってしまった。夏祭り、暑苦しい浴衣を着せられて、少年は両親に連れられて歩いていたが、両親の姿を見失ってしまったのだ。 もう小学4年生なので、泣きながら歩くのも恥ずかしいが、泣きそうな勢いで両親の姿を探した。あまりに金魚を掬うのが上手いお兄さんに ...

 過疎化が進む田舎にとっては、タクシーは無くてはならない住民の足だ。路線バスも、赤字続きでついにこの村を見放し、いよいよ自家用車に頼らなくては、町までの足が無くなり、無論高齢化が進むこの村では、運転もままならない高齢者はますます買い物弱者として困難を極め ...

 裸足で電車に揺られている私を、酒に酔ったサラリーマンと思しき男がじっと見つめている。視線は定まらず、ふらふらとこちらに近づいてくると、酒臭い息を吹きかけながら、裸足で電車に乗っている理由を問われた。構わず、無視し続けていると、執拗に絡んでくるので、仕方 ...

 俺は夜の暗い森の中を一人歩いている。さすがに街灯ひとつない、真っ暗な森を懐中電灯の頼りない光だけを頼りに歩くのは、たとえいい年をした大人でも怖いものだ。この森を抜ければ、昼間見つけた岩場に出るはずだ。    偶然営業で車を走らせて見つけた、絶好の釣り場 ...

↑このページのトップヘ