最悪はじめました

最悪、はじめました。-最悪な話ばかり書きます-後味の悪い話多め



「お待たせ、優香。久しぶり。元気だった?」「うん、まあね。」「優香に連絡がついた時は嬉しかったよ。だって、優香電話番号変えてるんだもの。」「ごめんごめん。つい忙しくて、言いそびれてて。」「それにしても、暑いね~。ちょっとあの喫茶店にでも入らない?」「うん ...

「お待たせ。優香。久しぶりぃ、元気だった?」「まあね、恵理子も相変わらず、元気そうでよかった。」「優香から連絡が来た時は、本当に嬉しかったよ。だって、優香、電話番号変えて、ぜんぜん連絡取れなかったから。」「ごめんごめん。つい忙しくて言いそびれちゃって。」 ...

「今日は、彼ピッピと前から見たかった映画を見てきた❤チョー面白かったよ。」ミズキは自分のSNSのアカウントを開いて呆然としていた。 こんな書き込み、したことない。だいいち、今日は映画をすっぽかされて家に居たのだ。ご丁寧にも、映画のパンフレットの画像がアッ ...

「ママァ、もう一回、いいでしょ?」おでこに汗をいっぱいかいて髪の毛は貼りつき、すでに白い浴衣のそではびしょびしょのヒナが泣きそうな顔で懇願してきた。「だぁめ。もう何回目だと思ってるの?そろそろ他のお店にいきましょう?カキ氷買ってあげるから。」「いやだ!ヒ ...

 あの遊園地は度々、入園者が居なくなるらしいよ。居なくなったら二度と帰ってこないらしい。  そんな噂が流布されだしたのは、裏野ドリームランドが廃園になる前かどうかは定かでは無い。  今は、すでに廃園になってかなりの年数が経っており、かつての賑わいはかけら ...

 迷子になってしまった。夏祭り、暑苦しい浴衣を着せられて、少年は両親に連れられて歩いていたが、両親の姿を見失ってしまったのだ。 もう小学4年生なので、泣きながら歩くのも恥ずかしいが、泣きそうな勢いで両親の姿を探した。あまりに金魚を掬うのが上手いお兄さんに ...

 過疎化が進む田舎にとっては、タクシーは無くてはならない住民の足だ。路線バスも、赤字続きでついにこの村を見放し、いよいよ自家用車に頼らなくては、町までの足が無くなり、無論高齢化が進むこの村では、運転もままならない高齢者はますます買い物弱者として困難を極め ...

 裸足で電車に揺られている私を、酒に酔ったサラリーマンと思しき男がじっと見つめている。視線は定まらず、ふらふらとこちらに近づいてくると、酒臭い息を吹きかけながら、裸足で電車に乗っている理由を問われた。構わず、無視し続けていると、執拗に絡んでくるので、仕方 ...

 俺は夜の暗い森の中を一人歩いている。さすがに街灯ひとつない、真っ暗な森を懐中電灯の頼りない光だけを頼りに歩くのは、たとえいい年をした大人でも怖いものだ。この森を抜ければ、昼間見つけた岩場に出るはずだ。    偶然営業で車を走らせて見つけた、絶好の釣り場 ...

「嫌です、私は、あの方とは結婚したくはありません。」 乙姫は、ハラハラとその透き通るような美しく白く輝く肌に大粒の涙を伝わせて、両親に訴えた。「何を言うの?霊亀様と夫婦になれば、あなたも千年の美貌を保つことができるのですよ?」両親は、乙姫を説き伏せた。「 ...

 気がつくと、男は、波打ち際で目が覚めた。ここは、どこだろう?体のあちこちが痛む。朦朧とした意識の中、どうしてこんな所に居るのかを必死に思い出そうとした。ところが何も思い出せない。自分の体を見た。どうやら、肌の感じからして、十代から二十代。日本人男性。わ ...

「俺さぁ、彼女できちゃった。」 そう目じりを下げる同僚を、俺は驚いた顔で見上げた。体重100kgはゆうに超え、顔も眼鏡が埋まるくらいには肉が盛り上がっているこいつが?「嘘だろ、お前?嘘はよくないぞ、嘘は!」俺が食い下がると、「ちっちっちっ!見た目だけで人を判 ...

桜の花びらが舞い散る木の下でその人は佇んでいた。まるで、そこだけが切り取られた絵のように私の目に飛び込んできた。一目惚れ。柔らかな薄い茶色の髪の毛に花びらがひとひら。触れてみたいと思った。その日から、私の世界はあの人の物になった。寝ても覚めても、あの人の ...

「いやあ、若い女の子が入社するっていうから、期待してたんですけどねえ。」トラックに乗ったとたんに、翔が口を尖らせた。「良かったじゃねえか。職場に花が咲いて。」ひろしが、そう言って、エンジンをかけると、わざとらしく翔は、はあっと溜息をついた。「あれのどこが ...

「俺、あるSNSに登録してるんスけどぉ、あ、ひろしさん、SNSって知ってます?ほら、ツイッターとかフェイスブックとか。ソーシャルなんとかってやつ。インターネットを通じて、友達になったりするやつですよ。そこで知り合った女の子なんすけどね。」 ハンドルを握る ...

こんなどんよりした天気の日には、いつもよりもランドセルが重く感じる。 僕は、河川敷を歩いて、水面に映った自分の姿を見て、はあっと溜息をついた。見れば見るほど、僕は醜い。新学期も始まって間もなく、僕は宇宙人というあだ名をつけられた。おでこが広くて、頭が大き ...

「こんばんは」不意に後ろから、声をかけられ、はっとして女は振り向いた。今夜は、誰もこの店を訪ねるものがおらず、早々に店を畳んでいた時のことだった。気配がすれば、すぐに女には分かるはずだ。それなのに、気配を消して、その女のすぐ後ろに立つことのできる者は限ら ...

かねてより、エブリスタに投稿して、フリマなどで販売していただいた5分シリーズが「5分後に驚愕のどんでん返し」という題名でついに、本屋さんの店頭に並ぶことになりました。出版社は「河出書房新社」様http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309612126/なお、amazonでも販 ...

 彼に振られた。しかも、私の誕生日に。 彼が別の女と歩いているところを見かけて、それを責めると彼はあっさりとそれを認めて、他に好きな人ができたから、別れてほしいと切り出されたのだ。私は、彼が謝って、その女と別れてくれれば、一度きりの過ちとして許すつもりだ ...

やられたと思った。 久しぶりに、高校の時の同級生のYから電話があり、私は懐かしさに浮かれていた。そもそもYは、私とはさほど親しくはなかったが、社会人となり、ごく限られた行動範囲での人間関係以外からの、しかも旧知の人間からのコンタクトは嬉しいものだ。 「元 ...

21××年。今や、汎用ハイブリッド人類、ヤマモトヒロシが人口の10パーセントを占めるようになった。そして出生率は劇的に減り、逆にもはや、出生率のほうが10パーセント台に陥ったこの世の中を誰も不思議に思わないのは、あり得ない話である。世の中のほとんどの女性が不妊 ...

私は、バカバカしい話を読んで、鼻で笑った。「何がヤマモトヒロシよ。人工知能を搭載するのなら、別にアンドロイドでいいじゃないの。ハイブリッド人類だなんて、発想が無駄だし馬鹿げてるわ。」読んで損した。この作品はもうブックマークから外そう。私は静かに、スマホを ...

縁側で今日も、母は父が愛用していたロッキングチェアでぼんやりと外を見ていた。 手にはいつものように、イチゴのアイスクリームの棒が握られている。母は、ホームパックアイスのイチゴしか口にしない。これはずっと昔から決められていて、母がイチゴで私がオレンジ、他の ...

壱夜中に尿意を催してトイレに向かい、暗がりの廊下を歩きトイレの扉の前でスイッチをまさぐると人の手のような違和感を感じて「わあっ」と叫ぶと、暗闇から「すみません」と声がした。弐友人数名と一緒に出ると有名な廃墟に肝試しに来て、懐中電灯で中を照らしながら荒れ果 ...

遠足のたび、リュックを開いて僕は溜息をついた。僕の周りの同級生は、色鮮やかなチョコレートや、フルーツのにおいのする毒々しい色のお菓子を美味そうにほうばっていた。僕は一人、その輪から外れてこっそりと、リュックの中からおやつを取り出す。おやつは300円までという ...

「恵美理、早くご飯食べちゃいなさい。」恵美子はようやく制服に着替えた恵美理に声をかけると、洗濯機のスイッチを押した。恵美子は思い切って、子供を買った。「ヤマモトヒロシ」を買った会社の、「あおい」という子供を買ったのだ。半分人間、半分機械の「ヤマモトヒロシ ...

【私は忘れっぽい】今日この日を待ちに待っていた。私は、初めて恋をした。今まで異性に対して、こんな説明のつかない気持ちになったことがなかったが、これが恋だとすれば、見ているだけで気持ちがそわそわしたり、側に居たいと思ったりすることに説明がつく。今日は女の子 ...

「今日こそは、原稿取ってこいよ。逃げられたら承知しないからな!」 編集長に凄まれて、俺は鉄砲玉のように会社を後にした。逃げられたら承知しないって、電話には出ないし、メールは無視、ラインに至っては既読にすらならない。どうやって原稿を回収すればいいのだろうと ...

 冬休みの始めから、我が家ではずっとおばあちゃんの家で過ごすことが恒例となっていた。今年もいつもの年と同じ冬休みが来て、おばあちゃんは私達をよう来たと歓迎してくれたのだ。以前はおじいちゃんも居たのだけど3年前に亡くなった。でも、おばあちゃんは長男のおじさん ...

 今年になって、もう3件目か。俺はネットのニュースで、謎の失踪の事件に目を走らせていた。まだ今年になって10日しか経ってない。 22時14分、スマホを弄っていると、ラインの通知音が鳴った。せっかくの就寝前のスマホタイムを邪魔されただけでも、むかつくのに、通知者の ...

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