最悪はじめました

最悪、はじめました。-最悪な話ばかり書きます-後味の悪い話多め



桜の花びらが舞い散る木の下でその人は佇んでいた。まるで、そこだけが切り取られた絵のように私の目に飛び込んできた。一目惚れ。柔らかな薄い茶色の髪の毛に花びらがひとひら。触れてみたいと思った。その日から、私の世界はあの人の物になった。寝ても覚めても、あの人の ...

「いやあ、若い女の子が入社するっていうから、期待してたんですけどねえ。」トラックに乗ったとたんに、翔が口を尖らせた。「良かったじゃねえか。職場に花が咲いて。」ひろしが、そう言って、エンジンをかけると、わざとらしく翔は、はあっと溜息をついた。「あれのどこが ...

「俺、あるSNSに登録してるんスけどぉ、あ、ひろしさん、SNSって知ってます?ほら、ツイッターとかフェイスブックとか。ソーシャルなんとかってやつ。インターネットを通じて、友達になったりするやつですよ。そこで知り合った女の子なんすけどね。」 ハンドルを握る ...

こんなどんよりした天気の日には、いつもよりもランドセルが重く感じる。 僕は、河川敷を歩いて、水面に映った自分の姿を見て、はあっと溜息をついた。見れば見るほど、僕は醜い。新学期も始まって間もなく、僕は宇宙人というあだ名をつけられた。おでこが広くて、頭が大き ...

「こんばんは」不意に後ろから、声をかけられ、はっとして女は振り向いた。今夜は、誰もこの店を訪ねるものがおらず、早々に店を畳んでいた時のことだった。気配がすれば、すぐに女には分かるはずだ。それなのに、気配を消して、その女のすぐ後ろに立つことのできる者は限ら ...

かねてより、エブリスタに投稿して、フリマなどで販売していただいた5分シリーズが「5分後に驚愕のどんでん返し」という題名でついに、本屋さんの店頭に並ぶことになりました。出版社は「河出書房新社」様http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309612126/なお、amazonでも販 ...

 彼に振られた。しかも、私の誕生日に。 彼が別の女と歩いているところを見かけて、それを責めると彼はあっさりとそれを認めて、他に好きな人ができたから、別れてほしいと切り出されたのだ。私は、彼が謝って、その女と別れてくれれば、一度きりの過ちとして許すつもりだ ...

やられたと思った。 久しぶりに、高校の時の同級生のYから電話があり、私は懐かしさに浮かれていた。そもそもYは、私とはさほど親しくはなかったが、社会人となり、ごく限られた行動範囲での人間関係以外からの、しかも旧知の人間からのコンタクトは嬉しいものだ。 「元 ...

21××年。今や、汎用ハイブリッド人類、ヤマモトヒロシが人口の10パーセントを占めるようになった。そして出生率は劇的に減り、逆にもはや、出生率のほうが10パーセント台に陥ったこの世の中を誰も不思議に思わないのは、あり得ない話である。世の中のほとんどの女性が不妊 ...

私は、バカバカしい話を読んで、鼻で笑った。「何がヤマモトヒロシよ。人工知能を搭載するのなら、別にアンドロイドでいいじゃないの。ハイブリッド人類だなんて、発想が無駄だし馬鹿げてるわ。」読んで損した。この作品はもうブックマークから外そう。私は静かに、スマホを ...

縁側で今日も、母は父が愛用していたロッキングチェアでぼんやりと外を見ていた。 手にはいつものように、イチゴのアイスクリームの棒が握られている。母は、ホームパックアイスのイチゴしか口にしない。これはずっと昔から決められていて、母がイチゴで私がオレンジ、他の ...

壱夜中に尿意を催してトイレに向かい、暗がりの廊下を歩きトイレの扉の前でスイッチをまさぐると人の手のような違和感を感じて「わあっ」と叫ぶと、暗闇から「すみません」と声がした。弐友人数名と一緒に出ると有名な廃墟に肝試しに来て、懐中電灯で中を照らしながら荒れ果 ...

遠足のたび、リュックを開いて僕は溜息をついた。僕の周りの同級生は、色鮮やかなチョコレートや、フルーツのにおいのする毒々しい色のお菓子を美味そうにほうばっていた。僕は一人、その輪から外れてこっそりと、リュックの中からおやつを取り出す。おやつは300円までという ...

「恵美理、早くご飯食べちゃいなさい。」恵美子はようやく制服に着替えた恵美理に声をかけると、洗濯機のスイッチを押した。恵美子は思い切って、子供を買った。「ヤマモトヒロシ」を買った会社の、「あおい」という子供を買ったのだ。半分人間、半分機械の「ヤマモトヒロシ ...

【私は忘れっぽい】今日この日を待ちに待っていた。私は、初めて恋をした。今まで異性に対して、こんな説明のつかない気持ちになったことがなかったが、これが恋だとすれば、見ているだけで気持ちがそわそわしたり、側に居たいと思ったりすることに説明がつく。今日は女の子 ...

「今日こそは、原稿取ってこいよ。逃げられたら承知しないからな!」 編集長に凄まれて、俺は鉄砲玉のように会社を後にした。逃げられたら承知しないって、電話には出ないし、メールは無視、ラインに至っては既読にすらならない。どうやって原稿を回収すればいいのだろうと ...

 冬休みの始めから、我が家ではずっとおばあちゃんの家で過ごすことが恒例となっていた。今年もいつもの年と同じ冬休みが来て、おばあちゃんは私達をよう来たと歓迎してくれたのだ。以前はおじいちゃんも居たのだけど3年前に亡くなった。でも、おばあちゃんは長男のおじさん ...

 今年になって、もう3件目か。俺はネットのニュースで、謎の失踪の事件に目を走らせていた。まだ今年になって10日しか経ってない。 22時14分、スマホを弄っていると、ラインの通知音が鳴った。せっかくの就寝前のスマホタイムを邪魔されただけでも、むかつくのに、通知者の ...

「キャアーッ」 扉の向こうで彼女の悲鳴が聞こえた。俺は焦った。早く、この扉を開けて彼女を助けなければ。彼女は、この部屋に監禁されているのだ。あの男によって。やっとこのアジトを突き止めた俺は、何の策も無く、ただバール一本でこのドアを壊して立ち向かおうという ...

去年は、私にとって転機の年だったような気がします。この年になって、家を買い引越し。はじめての、本デビュー。今年こそは、長編に挑戦してみようと思います。あと、家も片付けたいw今年もよろしくお願い致します。 ...

もうイヤだ・・・疲れた。男は夜道をひた走っていた。焦る気持ちとは裏腹に、何でこんなことになったんだろうと考えていた。 始まりは小さなことだった。トイレに入っていたら、急に電気が消えたり、シャットダウンしたはずのパソコンが突然起動したりした。トイレの時は、 ...

いよいよエブリスタ様より、短編小説レーベル「5分シリーズ」電子書籍版が刊行いたしました!             5分で声出して驚く どんでん返しショートストーリーズ 5分シリーズ に私の拙作「記憶喪失」が収録されています。他の方の短編が秀逸で本当に5分で声出 ...

今日、僕は、はじめて世界を見る。産まれた時から全盲だった僕はまだ、世界を見たことがない。海と空は青い。血は赤い。雲は白い。山は緑。言葉だけなら知っているが、青や赤や白や緑がどんな色なのかを見たことがない。世界から目が見えない人が消える。この眼鏡によって。 ...

美弥は背後から、肩を叩かれて振り向いた。そこには、黄色い歯をむき出しにしてニヤニヤ笑う、何日も風呂に入っていないようなべったりとした髪を頭に貼り付けた太目の男が立っていた。美弥は悪臭に思わず息を止めたが、相手はまがりなりにもお客なので、営業スマイルを振り ...

人生初の、自分の作品が載った本が届きました。ドキドキしながら、封筒を開ける。おおおおおおおおおこんなかわいい表紙絵までついてるぞ!感激で手が震えています。エブリスタ様、ほんとうに、私の作品を収録してくださって、ありがとうございました。なお、今後、電子本の ...

「疲れた・・・もうイヤだ・・・。」 恵美子は、警察から連絡を受け、放浪していた義母を自分の車で連れ帰り、自宅で落ち着くと溜息をついた。もうこれで何度目だろう。まだ下の方は失敗は無いが、食事をしたことを忘れて食べたがったり、人の名前は忘れるし、この前も、あ ...

「いやあ、君に任せておけば安心だな。これからもよろしく頼むよ、山本くん。」そう言うと、社長はヤマモトヒロシの肩をぽんと叩くと満面の笑顔で、去って行った。俺とヤマモトヒロシは深々と頭を下げてそれを見送った。ヤマモトヒロシの後ろで頭を下げながら、俺のはらわた ...

拙作「記憶喪失」がアンソロジーで書籍化されます。小説投稿サイト「エブリスタ」が初の短編小説レーベル「5分シリーズ」を刊行11/23(水・祝)の第二十三回文学フリマ東京にて先行販売http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000099.000009132.html文学フリマに行かれる予定の ...

目を開けると、そこには、残酷な数字が時を告げていた。「8:00」うわっ!ヤバっ!私は、掛け布団を跳ね上げ、クローゼットを開けると、すぐにスカートとブラウスを身につけ、制服のブレザーを着込んだ。「お母さん、何で起こしてくれなかったの?!」階段を駆け下りると、キ ...

目を開けると、そこには、ママの顔があった。ママは私を黙って見下ろしていた。驚いた私は、すぐに布団を跳ね上げると、「おはようございます。」とあいさつをした。「毎日、シーツを取り換えるの、わかってるでしょう?自分の子供が不潔なのは私、嫌なんだから、さっさと起 ...

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