最悪はじめました

最悪、はじめました。-最悪な話ばかり書きます-後味の悪い話多め



死にたいと思った。私は、いろんな方法を考えた。例えば大量の睡眠薬を飲む。これには、睡眠障害を訴えて医師から睡眠薬を処方してもらい手に入れなければならない。それまでに、死ぬ決心が鈍ってしまいそうで嫌だった。毎日この朝を迎えると思うと気が狂いそう。もう一つは ...

いつもと同じ朝、それは突然始まった。 いつものように、目覚ましに起こされ、眠い目を擦りながら二階の自室から階段を降り、顔を洗う。台所をあけると、フワっと甘い卵焼きの匂いが漂ってくるはずだ。我が家の卵焼きは、甘みが強く、砂糖のせいか、少し焦げ目がついている ...

 もう死ぬしか手立てがない。俺は今、高架橋の手摺に寄りかかり、電車が来るのを待っている。電車に撥ねられるのは痛いのかな。できれば、一思いに頭から撥ねられて痛みを感じないことを願いたい。 今日から5日間、クラスメイトは修学旅行へと旅立つ。両親には悪いが、俺は ...

 正直、誰の子供かわからなかった。 その頃の私は、複数の男性と付き合っていて、しかも普段からの生理不順もあり、妊娠に気付くのが遅すぎた。気付いた時には、まだ堕胎もできたのだが、堕胎する費用を捻出するのにも、誰に請求して良いのかもわからず、とうとう4か月とい ...

 まさか、何気なくした自分の行動が、こんな事態を招くとは思わなかった。俺は、大雨の中、急いで車に乗り込んで、ワイパーをフル回転させ、ある場所へと向かっている。 ことの始まりは、ほんの些細なことだった。その日は、先日久しぶりに連絡があった竜二から誘われて、 ...

結婚式を一週間後に控えた私は、ウエディングドレスの前でため息をついている。それは、一か月前のことだった。結婚式の招待状を送っていた友人の南海からの、一本の電話。「結婚するんだって?おめでとう!」南海とは、さほど親友というほどではないが、友人の少ない私は、 ...

 夏休みは、実家に帰る予定ではなかった。大学に進学して、すぐに彼女ができて、昨年も一昨年も彼女と過ごしていたが、今年の夏休みになる前に振られてしまった。 元々、地元は田舎で何も無いところだからあまり好きではなかった。今まで親に何と言われようとも帰郷しなか ...

窓の外、先ほどまでの雨風が嘘のように、月明かりがぼんやりと彼女の顔を照らしていた。台風の目に入ったのか。僕はそんな疑問を抱いて、窓の傍に寄り月を見つめた。真面目な彼女は、明日の交通機関の麻痺を見越して、こうして真っ暗なオフィスに泊まることにしたようだ。先 ...

田舎の車窓は、酷く緩慢に流れているように見えた。佳代子の逸る心をまるで焦らすかのように、ゆっくりと流れていく。早く、あの子に会いに行かなくちゃ。あの子が、架空の友達のさよちゃんと旅立ってしまってもう一年経った。その間、どれだけ佳代子が加奈子を探しても見つ ...

今、私は、窓の外の青い空と白い雲を追いかけるように飛び交う緑の中で揺れている。新幹線の中よりは、緩やかな流れではあるが、確実に色濃い夏に向かって、その電車は走り続けた。その景色は、私を郷愁に誘い、そして、小さな痛みを与える。こんな時にしか、帰郷しない自分 ...

休憩室の机の上には、無防備なピンクの可愛いバッグが口をぽっかりと開けて置いてある。俺は、その持ち主が誰なのかを知っているので、ドキドキしながらあたりを見回した。誰も居ない。俺は、恐る恐る、そのバッグの口から手を入れて、彼女の私物を出してみる。小さな手鏡、 ...

「ピンポーン」設置したばかりの、インターホンが鳴った。この中古住宅に越してきて一週間。ようやく、業者にインターホンを設置してもらい、今日初めての来客である。画面を覗くと、どうやら宅配業者らしい。何か頼んだっけ?いや、そんなはずはない。だとしたら、実家から ...

夏が来た!夏は俺たちのためにあるような季節。海、花火大会、夏祭り、そして、恋!若者にとって、大いに謳歌すべき季節。ああ、それなのに。今年の俺たちの夏はバイトから始まる。先輩の言うことには逆らえねえ。先輩は俺たちにとって、恐怖の存在。逆らおうものなら、どん ...

久しぶりに会ったK君は、ほぼ昔のままで、びっくりしてしまった。K君とは、実に10年ぶりくらいの再会。彼とは、バイト先の先輩と後輩という間柄だった。俺は当時、いわゆるニートというやつで、彼はまだ大学生だった。「先輩、突然呼び出してすみません。先輩に聞いてほしい ...

 晴れの日の夕暮れに、赤い傘の女に声をかけてはない。声をかけると、魅入られて黄泉の国に連れて行かれるとか、取り憑かれるだとか噂されているが、本当のところは定かではない。 いわゆる、都市伝説というやつだ。俺は、今、オカルト記事ばかりをネットサーフィンしてい ...

「うぉぉおおおおお!」 男は、その物体を確認すると、尻もちをついてその場にへたりこんでしまった。「こ、これって・・・死体?」その物体を死体と認識するとともに、強烈な臭いが鼻を突いて思わず吐きそうになった。「た、大変だ・・・け、警察!」 男は、この山に鮎釣 ...

俺は今日から彼女と同棲することになった。本当は、もっと早くに同棲したかったのだが、俺のほうの環境が整っていなかったため、今に至った。「ただいま。」彼女が帰ってきた。「お帰り。お仕事、ご苦労様。」「本当に参っちゃうわよ、あのジジイ部長。頭がかたいったらあり ...

「はっ!ヤベっ!」俺は、がばっと体を起こすと、目覚まし時計を確認しようと手を伸ばす。「あれ?目覚まし?どこ?」キョロキョロと目覚ましを探すが、見当たらない。今何時だ?あ~、ヤバいよ。絶対に寝過ごしてる!今日はバイトの面接だってのに。それにしても、ここはど ...

   窓を叩く雨音も、きっとあなたには聞こえていないでしょう。それほどまでに、あなたの心は、今私の中にあるのだから。ほら、そんな顔をしていると、彼女が心配しているでしょう?窓に映る、彼女の曇った表情すら、今のあなたは気付かない。 彼女が淹れたコーヒーを差 ...

由紀はいい気味だと思った。電車の中、化粧直しをしていると、その男は迷惑だと言ったのだ。化粧の匂いが、電車中に蔓延して気分が悪くなる。由紀は、そう注意されて、かっとなった。いったい、この化粧品がいくらすると思っているの?この化粧品の価値も知らないくせに。す ...

一人オフィスに残って窓の外をながめている。窓の外には、あんなに光が溢れているのに、この空間には、デスクの心もとない光がひとつだけ、終わりのない仕事をぼんやりと照らしている。ため息を一つ。最近、まったく彼女と会えていない。もう寝たかな。「起きてる?」つい寂 ...

「つぎは、終点きさらぎです。」男は、そのアナウンスで目が覚めた。「やったぁ!」男は小さく呟いた。ついにこの時がやってきた。この日をどんなに待ちわびたことか。男は、大学の「オカルト研究会」なるサークルの部長である。主に都市伝説について研究してきたが、男は、 ...

今日も俺は、いつものように、電車に揺られている。代わり映えのない面子が、皆一様に、淀んだ瞳で電車に揺られている。誰一人、はしゃいだり、大声で話すものもおらず、ひたすら静寂という重みだけが空気に溶け込んで、俺たちを押しつぶしている。たまに、どこからか、小さ ...

王子は、茨を剣で薙ぎ払いながら、道を進んでいた。この森の奥深くには、立派なお城があり、そこには百年の眠りの呪いをかけられた、美しい姫が眠っているというのだ。王子は、婚期を焦っていた。いい年になり、頭髪も薄くなり、おまけに不摂生の所為か、体も豚のように太っ ...

 由真は、駅のトイレで入念に手を洗っていた。あのじっとりとした、脂ぎった手の感触がまだ残っているようで、気持ちが悪かったのだ。由真は、あるテレビ局の記者として働いていた。 大物官僚から、何とか有益な記事になりそうな話を聞きだしたい気持ちから、不本意ながら ...

私は、あの夜、またあの屋台の前に佇んでいた。 他の桜の木はとっくに花を散らして葉桜になっているというのに、その桜の木だけはたわわに花をつけて、花びらの舞い落ちるその木の下に、その女は、薄暗い灯りに照らされた卵を前に鎮座していたのだ。「おや、お嬢ちゃん、ま ...

待ち合わせの場所でスマホを片手に彼を待つ。突然、後ろから「だーれだ?」と目隠しをされ彼だと思い、彼の名を告げる。「ブッブー、ざーんねん。」私は、そこで初めて得体のしれない存在からのだーれだに凍り付く。でも、もしかしたら、同級生かもしれない。でも、彼以外の ...

あの家に入って遊んではいけません。春休み目前の終業式で、先生たちは、私たちにきつく言い渡してきた。以前から小学生が空き家に入って遊んでいると、近所の人が通報してきたのだ。あの頃の私たちは、せっかくの秘密基地をそんなことで奪われることが理不尽でならなかった ...

俺は初めて人を殺めた。もっとも、理沙もどきが人かどうかと問われれば、それに答えはなかった。ただ、そこには、俺のエゴのために殺された死体が横たわっているだけだった。呆然としていた。混乱した俺は、とりあえず死体を押入れに押し込んだ。ところが、何日たっても、そ ...

私は、室上祐樹が大嫌いだ。ああ、それなのに、私は、なぜあいつのおかげでこんな目に遭っているのだろう。「うちらの王子に近づこうなんて、十万年早いんだよ、このデブ!」私は、そう罵声を浴びせられながら、トイレのドアに突き飛ばされた。その拍子に私のポケットから自 ...

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