最悪はじめました

最悪、はじめました。-最悪な話ばかり書きます-後味の悪い話多め



カテゴリ: 夜の卵

【ヌリツケル】「期待して読んだら、二流恋愛小説みたいで、がっかりです。」私は、そう書き込むと、送信ボタンを押した。すごく充実した気分になった。そうよ。こんな話。たいした話じゃないじゃない。それなのに、明るい話術で人を虜にして、内輪で盛り上がっちゃってさ。 ...

【ウメル】「ねえ、どうだった?」みなみはドキドキしながら、優香に訊ねた。すると優香は一瞬眉が下がり「うーん、教えてくれなかった。」と答えた。みなみは落胆したが、すぐに笑顔に戻った。「そっかぁ~、やっぱ教えてくれないよねー。いくら優香が幼馴染だからって。も ...

【ウミツケル】いらっしゃい。よくこの店にたどりついたね。まあ、そこに座ってよくお聞きよ。ここにたくさん、卵があるだろう?いったいいくつあると思うね。てんでバラバラに規則性もなく置いてあるから、数えても、頭がこんがらがってしまうよ。答えは百八つ。この卵がいつ ...

 カラスは、お掃除屋さんと言うが、僕の死体の柔らかなところはあらかた食い尽くされてしまった。人はこうして土に還るのだろうか。それもいい。そんなことを考えていると、カアカアという鳴き声を切り裂くように、禍々しい鳴き声をたてながら、一羽の大きなカラスが舞い降 ...

「嘘!嘘よ!これがリョウゴだなんて。絶対嘘!」現地の遺体安置所で、姉の悲痛な叫び声が響いた。不幸な飛行機事故だった。ほんの一ヶ月ばかり前は、長身で精悍な青年だった肉体は、本人の持ち物である腕時計と手首から先だけになっていたのだ。他の肉体は、空中でバラバラに ...

 「宮本さーん、居るんでしょお~?あけてくださいよぉ~。」執拗にチャイムは鳴らし続けられる。俺は恐怖で部屋の隅っこで震えていた。テレビCMでも有名な消費者金融で、クリーンなイメージを抱いており、正直、返済の遅れなどなんとかなると思っていた。金が無いから借 ...

 「宮本さーん、居るんでしょお~?あけてくださいよぉ~。」執拗にチャイムは鳴らし続けられる。俺は恐怖で部屋の隅っこで震えていた。テレビCMでも有名な消費者金融で、クリーンなイメージを抱いており、正直、返済の遅れなどなんとかなると思っていた。金が無いから借 ...

【ソダテル】「ねえ、ママ、飼いたい~、飼いたい飼いたい。この子、飼ってもいいでしょう?」また妹の飼いたい病が始まったと僕は思った。「だぁめ。うちのマンションは、ペット禁止でしょ。」「え~、じゃあこの子はどうなっちゃうの?死んじゃうじゃん!」まだ目も開かな ...

 ピーちゃんの捕食を見てしまった僕は、再三、マユにピーちゃんを捨てることを提言してきたが、いっこうに聞き入れてくれなかった。あれから、マユは熱も下がり、元気になったので、今まで通り変わることなくベランダへ、冷蔵庫の中の肉や、床下収納にある野菜などを与えて ...

その日は、朝から雲行きが怪しかった。空を見れば、暗雲がグルグルと今にも襲い掛かってきそうで身震いを一つする。今日のところは、商売は難しそうだ。しかも、商売道具の卵のほうも、あと2~3個と心もとない。逢魔が時、稼ぎ時にも関わらず、店をたたもうとしていたその ...

 主様がいなくなってもう七日も経った。今まで、こんなことは無かったのだ。主様が私に黙ってどこかへ行ってしまった。 このよく利く鼻を頼りに、くまなく探しても見つからなかった。主様の気配が完全にこの世界から消えた。佳代子は悲しくて毎日泣いた。佳代子は主様がい ...

【保管スル】ーそこの僕。   そう、君だよ。 僕にいいものをあげるよ。これはね、ただの卵ではないんだよ。 願いを叶えてくれる卵さ。 夜の卵だよ。- 僕は、いま、今にも倒れそうなアユの震える肩を抱いている。彼女の目からは、永遠に止まらないのではないかと思う ...

 佳代子とその家族は、貧相なちゃぶ台の上の皿にそれぞれに一つずつ、細い芋が配られた夕飯をポソポソとかじっていた。母親はすまなさそうに、つぶやく。「ごめんねえ。今日はこれだけなんよ。ずーっとここんとこ、日照りが続いて、畑の作物は実らんし、米も今年は、ならん ...

【託す】その奇妙な店は、迷い込んでしまった小さな裏路地に、忽然と現れたような店であった。何の脈絡もなく、店頭には、白い卵が、所狭しと乱雑に並んでいた。ー「妊娠ですね。四週目に入っています。」ーそう医師に告げられ、沙織は眩暈を覚えた。きっとこの子供は夫の子 ...

【ウリハラウ】その奇妙な店は、俺たちが飲んだ裏路地の小さな一杯飲み屋の隣に忽然と現れた。店に入る前に、この道を通ったはずなのに気づかなかったのだろうか。いや、このような暗がりに、白い卵が乱雑に並べてあり、しかも妖艶な魅力をたたえた美女がそれを売っているの ...

【ウマレカワル】男は、夜の街をひた走る。喉はとっくに呼吸をすることに悲鳴を上げていて、破けるのではないかと思うほど喘鳴を繰り返し、心臓は今にも全身に血を送ることを止めてしまうのではないかと思うほどに爆発寸前だった。夜陰に紛れて、とある路地裏のゴミ箱の陰に ...

目を開けると、そこには、ママの顔があった。ママは私を黙って見下ろしていた。驚いた私は、すぐに布団を跳ね上げると、「おはようございます。」とあいさつをした。「毎日、シーツを取り換えるの、わかってるでしょう?自分の子供が不潔なのは私、嫌なんだから、さっさと起 ...

もうイヤだ・・・疲れた。男は夜道をひた走っていた。焦る気持ちとは裏腹に、何でこんなことになったんだろうと考えていた。 始まりは小さなことだった。トイレに入っていたら、急に電気が消えたり、シャットダウンしたはずのパソコンが突然起動したりした。トイレの時は、 ...

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