エメリヤーエンコ・ヒョードルがマスコミ各社に『三沢さんに宣戦布告する』とのFAXを流し、報道陣はヒョードルの潰れかけのジム『レッドデビル』へいやいや足を運んだ。
記者「三沢さんに宣戦布告とはどういうことですか? もう何度も挑んで、その度に失神失禁脱糞KO負けを食らっていると思うのですが……」
ヒョードル「あれは全部影武者だ」
記者「は?」
ヒョードル「俺は自分と瓜二つの影武者を雇っている。俺が勝った試合は俺が出た試合。俺が負けた試合は俺の影武者が出た試合。つまり俺は未だに勝率100パーセントを誇っているというわけだ」
記者「ちょっと何言ってるか分かんない」
ヒョードル「(机を拳で叩き)だ・か・ら! 俺の今までの負けは影武者の負けだから、全部ノーカンってこと! 分かったか!」
記者陣、ざわめく。
記者「それならその影武者さんを今すぐここにお呼びいただけませんか? それなら我々も納得するのですが……」
ヒョードル「彼は病死して墓の中だ。彼の親族の意向ということで、これ以上こちらからコメントするのは差し控えたいと思います」
記者「で、三沢さんに再度『宣戦布告』というわけですか」
ヒョードル「その通り! 近々俺と三沢さんとの歴史的初対決をお見せするよ。それを見れば俺が真の最強マンであると分かるよ」
最強マンというセンスゼロの言葉に、取材者たちのそこかしこから失笑が漏れる。
憤るヒョードル。
ヒョードル「ともかく! 『ヒョードルvs三沢』、近日ゴングだ!」