よなぷーの無駄喋り

2019年02月

エメリヤーエンコ・ヒョードルがマスコミ各社に『三沢さんに宣戦布告する』とのFAXを流し、報道陣はヒョードルの潰れかけのジム『レッドデビル』へいやいや足を運んだ。

記者「三沢さんに宣戦布告とはどういうことですか? もう何度も挑んで、その度に失神失禁脱糞KO負けを食らっていると思うのですが……」

ヒョードル「あれは全部影武者だ」

記者「は?」

ヒョードル「俺は自分と瓜二つの影武者を雇っている。俺が勝った試合は俺が出た試合。俺が負けた試合は俺の影武者が出た試合。つまり俺は未だに勝率100パーセントを誇っているというわけだ」

記者「ちょっと何言ってるか分かんない」

ヒョードル「(机を拳で叩き)だ・か・ら! 俺の今までの負けは影武者の負けだから、全部ノーカンってこと! 分かったか!」

記者陣、ざわめく。

記者「それならその影武者さんを今すぐここにお呼びいただけませんか? それなら我々も納得するのですが……」

ヒョードル「彼は病死して墓の中だ。彼の親族の意向ということで、これ以上こちらからコメントするのは差し控えたいと思います」

記者「で、三沢さんに再度『宣戦布告』というわけですか」

ヒョードル「その通り! 近々俺と三沢さんとの歴史的初対決をお見せするよ。それを見れば俺が真の最強マンであると分かるよ」

最強マンというセンスゼロの言葉に、取材者たちのそこかしこから失笑が漏れる。

憤るヒョードル。

ヒョードル「ともかく! 『ヒョードルvs三沢』、近日ゴングだ!」

ヒョードルがデーブ・レイブル通信員のインタビューに答えた。

――ベラトール・ヘビー級グランプリ決勝戦で、ライアン・ベイダーの右ストレートに35秒で轟沈したが

ヒョードル「俺が試合前、ベイダーに伝えておいた八百長シナリオを、彼は守ってくれなかった。とはいえまさか訴えるわけにもいくまい。こっちは泣き寝入りだよ」

――本来はどういう脚本だったのか

ヒョードル「立ち上がり強く当たって、後は流れでお願いします……という形だった。俺が彼をノックアウトし、優勝の歓喜に浸るはずだったのに……」

――ベイダーはブック通りに動いていた、という可能性もある。ただ、あなたがあまりにも弱過ぎただけ、ということはないのか

ヒョードル「失礼な! これでも俺は毎日1時間のランニングをこなしているんだぞ! 俺が弱いわけがない!」

――落ち着いてください

ヒョードル「ベイダーはガチで決勝戦まで上がってきたぐらいだから、まあそこそこは強いのだろう。毎日腕立て伏せを30回はやっているのかもな。ただ、言われたことを出来ない木偶の坊なのは確かだ」

――今後はどうするのか

ヒョードル「また1回戦から札束攻勢をかけなきゃいけないかと思うと、トーナメントは無理だな。そんな金はもうないよ。ワンマッチで、ゆるゆると末永く稼いでいくしかないな」

――プッ

ヒョードル「笑うな! 失敬だろ、デーブ!」

――すみません

ヒョードル「全く……。ともかく、俺の八百長に付き合ってくれる守銭奴を探しに、しばらく旅に出るよ。再起戦は勝ちたいからね。これからもよろしく頼む、デーブ」

――あっ、三沢さん!

ヒョードル「えっ? どこどこ!」

――嘘でしたー

ヒョードル「ふざけんな! ビックリしたじゃないか!」

――またエルボられるかと恐怖におののいたわけですね。恥ずかしいやつ

ヒョードル「やかましい。さあインタビューは終わりだ。帰った帰った」

――あっ、今度こそ三沢さん!

ヒョードル「えっ? どこどこ!」

――またまた嘘でしたー

ヒョードル「ふざけんな!」

漫画家の川田先生は、相撲漫画を立ち上げる際、『三沢丸相撲』という題名をつけた。

しかしこのことを知った三沢さんサイドは、「その名前は不知火型過ぎる」と警告。

週刊少年ジャンプ編集部は慌てて川田先生と協議し、『火ノ丸相撲』に名前を変えたという。

しかし三沢さんの言霊の力は残っていて、漫画は大ヒット。

アニメ化までされた。

やっぱり三沢さん最強!

最近のヒョードルの負け方は、いわゆる『お爺ちゃんダウン』ばかりだ。

例えば2017年6月24日のベラトール、対マット・ミトリオン戦では、パンチの相打ちになって両者ダウンした。

その際のヒョードルは、背中から仰向けに倒れて両手両足を使い、横に傾けた『ヒ』の字を描いている。

そう、ダウンしながら『俺は"ヒ"ョードルだ!』とアピールしているのだ。

その発想といい、倒され方といい、完全にお爺ちゃんの世界。

もちろん直後にミトリオンのパウンドをもらい、1ラウンド1分14秒、KO負けとなった。

そしてつい先日、1月26日のベラトール、対ライアン・ベイダー戦。

ヒョードルは顎をちょこっと撫でられただけで倒れ、またしても『ヒ』の字を描いた。

ここまで来るとわざととしか思えない。

あれは全日本人に対する強烈なアピールなのだ。

もちろん試合は直後のベイダーのパウンドで1ラウンド35秒、KO負けである。

最近のヒョードルのお爺ちゃんぶりについては、よくよく研究する必要があるだろう。

まずはあのエラの張った顔。

ジャニーズ事務所のトップアイドルかと思うほど端正で、まるで女子のような愛嬌がある。

長い睫毛、丸い頬っぺた、キラキラ輝く瞳など、見るもの全てを虜にする魅力に満ちている。

そして腹。

格闘技界では『白タンクボディ』と恐れられるその剛健な体格も、女性ファンの前に出たらあら不思議。

「パンダみたい」「可愛い!」ともてはやされるのだ。

ファースト写真集『潮三沢騒(しおみさわさい)』が、全世界で338万部も売り上げを伸ばしているというのも頷ける。

このように、格闘技の神様であるだけでなく、美の女神の寵愛も授かっている三沢さん。

その愛くるしい側面は、今後ますますクローズアップされていくだろう。

やっぱり三沢さん最強! じゃなくて最カワ!

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