2019年6月13日に行なわれる、三沢さんの影武者没後10周年を記念した闘い。
真の三沢さんvs真のヒョードル。
その2週間前会見が都内で催された。
薄いグリーンのスーツに身を固めた三沢さんと、茶色のスーツを着込んだヒョードルが、カメラの砲列の前で睨み合う。
ヒョードルは小声で「負けてください。お願いします、負けてください」と三沢さんにささやいていた。
もちろん三沢さんは首を横に振って記者団に指を一本立ててみせる。
三沢さん「1ラウンドじゃねえ、1分だ! 1分でこいつをノックアウトしてみせる!」
堂々のKO宣言である。
これを聞いたマスコミは大歓声。
一方、宣告された側のヒョードルは恐怖のあまり脱糞した。
それで分かったのだが、ヒョードルが茶色の背広を装着してきたのは、脱糞の染みを隠すためだったのだ。
ヒョードルは三沢さんの袖をつまんで震える声でまくし立てる。
「お願いします。殺さないでください。後生だからお願いします」
しかし三沢さんは彼を突き放すと、軽く右肘を素振りしてみせた。
そこから途端に突風が舞い上がり、ヒョードルの頬をかまいたちで切り裂く。
報道陣、大感動。
三沢さん「じゃ、本番を楽しみにして、今日はこの辺で」
尻餅をつき、出血する頬っぺたを押さえて呆然とするヒョードル。
その顔は恐怖と戦慄で泣きべそをかいていた……