よなぷーの無駄喋り

2020年08月

税込14000円少しはやっぱり気後れしてしまう。

専用パッドも購入したらますますシャレにならん金額になる。

しかし欲しい……(´Д`)

初代バーチャファイターと、ワンダーボーイモンスターランドはやりたすぎて涙が出る。

せめて本体価格が税込10000円以下だったらなぁ……

おいらの懐具合からして、今回は涙を飲んで見送るか。(#゚Д゚)

でも欲しいなぁ……(^o^;)

体調不安がささやかれる安倍首相。

その辞任・交代説が噂される中、日本国国王にして真格闘神である我らが志賀賢太郎様が、総理ポストに就くのではないか、との見方が浮上してきた。

今まで日本国国王として、雲上より永田町の大局をウォッチしてきた志賀様。

どうやら新型コロナウイルスで疲弊するその有り様に対し、自身が重い腰を上げるべき、と決断なされたらしい。

実現すれば日本初となる、元プロレスラーの総理大臣誕生――

だが執拗に追いかけるマスコミ陣に対し、志賀様はその流言を否定した。

志賀様「政治は政治のプロに任せるのが上策です。僕はまあ、『影の総理大臣』になって、底支えをしようかと思っていますよ」

影の総理大臣――!

志賀様はそのご大切な御身を政局に活躍させる反面、世間には一切自分の関与を示さないおつもりなのだ。

仰々しくアピールして押し付けがましい態度を取ったりはしない。

しかし、その政治頭脳は極限まで回転させて総理を補佐する。

それが志賀様のお選びになった道だった。

これを知った報道陣たちは一斉にむせび泣き、志賀様の熱く尊い御心が自己犠牲と献身へ向き合う様に、しばし頭を下げるのだった。

志賀様ある限り、日本は安泰である。

真夏に咲いた豪華な花、『志賀様対三沢さん』。

その敗者となった三沢さんが、都内の病院から無事退院した。

我々『女性自身』取材スタッフは、そんな格闘神を直撃。

敗者の言葉を聞き出そうとした。

記者「三沢さん、ひとまずは無事退院なされておめでとうございます」

三沢さん「ああ、ありがとう。ぶっちゃけ、仕事が早いね」

記者「首のコルセットは?」

三沢さん「志賀に掟破りのどうたぬきや、スパイラル・シガ・シューター、スイング式DDT、ストレッチボムと畳み掛けられてね。首をやっちゃったんだよ。はっきりいって、骨が折れていたよ」

記者「何と! でももう退院なんですか?」

三沢さん「ああ、適当にいじっていたら引っ付いたからね」

記者「さすがは三沢さんです。……あの試合、三沢さんは序盤から一方的に攻め立てていました。正直、勝てると思っていましたか?」

三沢さん「そりゃあね。はっきりいってタイガードライバー91の後、エメラルドフロウジョンをぶち決めた時は、絶対勝ったと思ったよ」

記者「しかし、志賀様はそれをお返しになられた」

三沢さん「あいつの意地が負けん気が、垣間見えた瞬間だったね。志賀は首の方は大丈夫だったの?」

記者「はい、ピンピンしてました。コルセット等も巻かずに」

三沢さん「何だ、凄い耐久力だな。それともこれが現役バリバリの志賀と、ほぼ引退間近の俺との勢いの差って奴なのかもな」

記者「最後は『志賀絞め』で無念のギブアップでしたが」

三沢さん「あれは駄目だね。最強過ぎる。膝と首が限界まできて、タップせざるをえなかったよ、ぶっちゃけね。さすがは『パーフェクトホールド』だけはあるよね」

記者「今の率直な気持ちをお聞かせください」

三沢さん「まあ、悔しいっちゃ悔しいよ。俺はまだまだ現役だって所を、満天下に知らしめたかったからね。でも今はスッキリしてる。負けて爽やかってのも何だけど、それが正直なところかな。……志賀になら負けても仕方ないかな、という気分にさせられたよ、はっきりいって」

記者「これからはどうなさるのですか?」

三沢さん「俺の戦いに終わりはないよ。まだまだ格闘神として頑張るために、東京ドーム地下三階格闘技場に舞い戻って、修行を続けるつもりだよ」

記者「呼び止めてすみませんでした。ありがとうございました」

三沢さん「(ぶ)はははっ! 怪我が治ったら飲みに行くか!」

記者「御相伴させていただきます!」

志賀様が三沢さんに劇的勝利をおさめた戦いから数夜。

勝者ながらも全身包帯だらけな志賀様が、引きずるような歩みで記者たちの待つ会見場に現れた。

その壮絶な姿に、報道陣から一斉にフラッシュが焚かれる。

志賀様はよろめきながらも、どうにか自力で椅子に座った。

あたかも花束のようなマイクの塊を前に、重々しく口を開く。

志賀様「全世界の皆様、ありがとうございました。あなた方の応援のお陰で、僕はどうにか三沢さんを超えられました……」

真格闘神と呼ばれ、日本国国王も務める志賀様。

かのお方はまず、国立競技場で、または液晶テレビの前で声援を喚き立てたファンたちに、心からの感謝の意を告げた。

志賀様「それから、若輩者の僕の相手をしてくださった三沢光晴さん。本当にありがとうございました。今回の戦いは、僕の胸に一生残るでしょう」

その率直な言葉に胸を打たれ、涙を流す取材陣多数。

志賀様「では、ご質問を受け付けいたします。何なりとどうぞ」

記者「それでは、まず……。今回で超絶究極唯一無二絶対最強格闘神・三沢さんを超えることが出来ました。その辺りはいかがですか?」

志賀様は苦笑なさった。

志賀様「今でも夢見心地です。自分のやってきたことに間違いはなかったと安堵する反面、夢にまで見た三沢さん超えを果たして、何だか気持ちがふわふわしています。実感に浸るのは、もう少し経ってからでしょうね」

記者「試合前半は防戦一方でした。これでスリーカウントか、とファンが危惧される場面もあったかと思います

志賀様「……僕は逃げたくはなかった。三沢さんの超絶神秘秘技を前にして、かわしたりすかしたりするつもりはありませんでした。正々堂々、真正面から受けて立とうと、そのことばかり考えていました。正直、きつかったですけどね。タイガードライバー91やエメラルドフロウジョンをまともに食らって、この通り大ダメージを受けましたけど……。でも訓練してきましたから。ファンの皆さんには不安を抱かせてしまって申し訳ないです」

記者「リングが途中で半壊したが」

志賀様「僕と三沢さんの戦いならさもありなんです。想定内でした」

記者「三沢さんの技を受けきった上で、反撃は掟破りのどうたぬきでした。あれは計算ずくですか?」

志賀様「どうたぬきをかわせばどうたぬきのチャンスが舞い込む。狙っていましたが、ドンピシャでしたね」

記者「スパイラル・シガ・シューターやスイング式DDTなどを決めた後、とどめはパーフェクトホールドこと『志賀絞め』でした。この技にはどんな思いを込めましたか?」

志賀様「三沢さんに対する感謝しかありません。プロレスリング・ノアを創成してくださって、僕を高みに引き上げてくださって、ありがとうございました――そんな気持ちだけでした。後はもう、無我夢中で締め上げました」

記者「そして三沢さんはギブアップしました。そのときのお心は?」

志賀様「自分でも信じられませんでしたね。三沢さんに勝った、という事実が。技術的にも体重的にも後ろをいく僕が、勝利を収めた――。さっきも言いましたけど、実感がありませんでした」

記者「観客は大喜びでした。その後のマイクアピールで、小橋建太選手をリング上に招かれましたが、これは?」

志賀様「三沢さんが格闘神なら、小橋さんは格闘鉄人です。神でも破壊できない鉄の男。それが小橋さんです。僕は飢えていたんです。三沢さんを倒して空っぽになった僕の気持ちに、新たな目標を与えてやりたかったんです」

記者「しかし小橋選手は無言で立ち去りました」

志賀様「でも、あのおかたの導火線には火が点いただろうと思ってます。目の前で三沢さんを倒した僕に、きっと闘争心を掻き立てられただろう、と。いつかやりたいですね」

記者「それと、今回の試合は新型コロナウイルス撲滅を掲げて開催されました。実際、格闘神同士の戦いを見て、体調が改善した、後遺症が雲散霧消した、という報告が多数上がってきています」

志賀様は微笑んだ。

志賀様「これからも健康に生きていきたい人は、是非ノアの戦いを。僕らが元気を発信していきます。コロナウイルスなど糞食らえ、ですよ

記者「ありがとうございました。これからも我々をお導きください」

かくして会見は終了した。

試合のダメージでよろめき歩く志賀様を見るにつけ、しばらくはリングから離れるのだろうな……というのが、記者たちの共通の予想だっただろう。

それにしても、真格闘神・志賀賢太郎様と、格闘鉄人・小橋建太選手の戦いは、果たして実現するのだろうか。

期待が膨らむマスコミ陣であった。

どこかでウグイスが鳴いている。

いくらタイガードライバー91からのフォールを返したといっても、志賀様の被害は甚大だ。

志賀様は目も虚ろでボロボロの状態だった。

しかし三沢さんは容赦ない。

志賀様の首根っこを掴んで立ち上がらせると、ボディスラムのように抱え上げる。

まさか、この体勢は。

三沢さんの神秘秘技、『エメラルド・フロウジョン』のそれではないか。

さしもの頑丈な志賀様といえど、こうも立て続けに首をやられたら死んでしまう。

観客は悲痛な叫びで会場全体を揺らした。

「志賀様を殺す気か!」

「おやめください、三沢さん!」

「志賀様、逃げて……!」

だが志賀様はなされるがままで、三沢さんは非情の一撃を見舞った。

正調エメラルド・フロウジョン!

志賀様は後頭部からマットに叩きつけられた。

そのあまりの衝撃に、マットが陥没して、四方のロープが弾けてのたうつ。

誰もが勝負あり、と認めた瞬間だった。

三沢さんは冷酷な表情で志賀様を引っこ抜くと、仰向けに横たえてフォールした。

ああ、もう駄目だ。

志賀様は死んでしまった。

死体にカバーをキックアウトすることなど出来やしない……

誰もが涙し、哀惜の悲鳴が湧き起こる中、和田レフェリーがマットを叩く。

カウントワン。

カウントツー。

カウントス……

だがそのギリギリスリーカウント前で、奇跡が起きた。

何と志賀様が、覆い被さる三沢さんの体をはね除けたのだ。

志賀様が生きている……!

満員の国立競技場は安堵と歓喜の叫びで渦巻き、大・大『志賀様』コールを爆発させた。

さすがの絶対超絶究極唯一無二格闘神・三沢さんも、志賀様の粘りに驚いている。

だが、ならば徹底的に攻め込み、とどめをさすだけだ。

三沢さんはそう割り切ったらしく、フラフラと正座状態で起き上がった志賀様の背面に回る。

こ、この体勢は!

観客たちが狂おしくざわめいた。

相手後頭部への右のエルボー。

その名も『どうたぬき』。

今、格闘神の究極絶対最強奥義が抜かれようとしている。

さしもの志賀様も、これを食らえば万事休すだ。

果たしてどうなる?

三沢さんが曲げた右腕を高々と構える。

そして、振り抜いた!

だがそれは虚空を薙いだに過ぎなかった。

何と志賀様は、土壇場で意識を取り戻すと、危険を察知したらしくすぐさま身を屈めたのだ。

三沢さんは志賀様の後頭部に当てるべき右肘を空振りし、彼の前方に倒れ込んだ。

そのとき、志賀様の両目が光った――ように見えた。

起き上がろうとする三沢さん。

何と、志賀様はその後頭部へ、掟破りの『どうたぬき』を見舞ったのだ。

エルボーが主戦力でないとはいえ、真格闘神、日本国国王の一撃である。

三沢さんは「ぐはっ」とか何とか言いながら、大ダメージに崩れ落ちた。

観客はやんやの喝采だ。

「志賀様!」

「信じてました!」

「三沢さんを倒してください!」

渦巻く期待が目に見えるようだ。

志賀様はもちろん一気呵成に攻め始めた。

今まで堪え忍んできた分、倍返し、いや百倍返しするつもりであることは一目瞭然だ。

まず志賀様は三沢さんを立たせると、変形のボディスラム、『スパイラル・シガ・シューター』を炸裂させる。

マットの板が砕け散り、三沢さんは頭部に大ダメージを負った。

こんなのは序の口だ。

次に志賀様はパワフルにコーナーポストを使い、スイング式DDT!

三沢さんを脳天からリングに突き刺した。

あれだけ三沢さんの技を受け、あれだけ頭と首に大打撃を受けながら、どうしてかのお方はここまで闘えるのだろう。

涙を流し、泣き叫ぶ者多数な国立競技場だった。

「志賀様ーっ!」

「いけー!」

「頑張れ、志賀様!」

志賀様は無論止まらぬ。

フラフラの三沢さんにフロントハイキックを何度も叩き込み、抵抗の意思を確実に削いでいく。

そして――

「ああっ!」

観衆の誰もが叫んだ。

志賀様の乾坤一擲、強烈なラリアット。

師匠・小橋建太譲りの、骨太な一撃。

三沢さんは後頭部からマットに叩きつけられ、確実に意識を飛ばした。

観衆は大・大声援で志賀様を後押しする。

「志賀様ーっ!」

「勝ってくださいっ!」

「どうか、そのまま……っ!」

言われるまでもない。

志賀様はよろよろの三沢さんにストレッチボムを仕掛けると、その体をうつ伏せにさせた。

これは、まさか……!

出るのか、あの技が……!

志賀様は三沢さんの足を、自分の足でフックした。

そしてSTFの体勢で、フェースロックを完成させる。

その後、流れるように片羽絞めへ。

最後に裏返った。

そう、ここに顕現せざりは、周知のパーフェクト・ホールド。

『志賀絞め』である。

三沢さんは散々攻めてきてその全てを跳ね返され、精神的にも肉体的にも限界だった。

そこへ志賀様の各種美技、とどめの志賀絞めである。

これに抗う力はもう残ってはいなかった。

数十秒の抵抗の後、三沢さんがタップする。

和田京平レフェリーがそれを確認してゴングを要請した。

三沢さん、ギブアップ負けである。

直後に国立競技場を揺るがしたのは、絶叫、怒号、悲鳴、歓声の混合した大音じょうであった。

コロナが消えていく。

まるで志賀様と三沢さんの世紀の激闘に降参したかのように、観戦していた人々の間からコロナウイルスが消えていった。

志賀様は技を解くと、大の字になって横になった。

このフルスロットルの戦いを制した勇者に対し、会場からは万雷の拍手が降り注ぐのであった……



三沢さんは無言でリングを去った。

敗者は何も語らず、である。

一方、残った勝者・志賀様は、マイクを手に取った。

「皆さん、今日は本当にありがとうございました!」

地鳴りのような歓声が湧き起こる。

「三沢さんを超えることが出来たなんて、今でも夢のようです……!」

心優しき観客からは、大「志賀様」コールが降り注いだ。

「でも、僕にはもう一人、恩返ししなきゃならない人がいます。……小橋建太さん!」

どよめきの中、『剛腕』の男がスーツ姿でリングに上がる。

小橋建太。

ミスターGHCであり、NOAHの歴史になくてはならない最重要人物だ。

志賀様は小橋さんの正面に立ち、声を荒らげた。

「僕の師匠、小橋さん。僕はあなたを超えなきゃならない。ぜひ、ぜひ対戦をお願いします!」

しかし小橋は頭を横にも縦にも振らず、黙ってリングを後にした。

これはどういうことだろう?

会場が異様な空気に包まれる中、志賀様は咳払いをした。

「ともかく、今日はお客さんに感謝です! もう駄目だと思ったとき、いつも歓声が聞こえて踏ん張れました! ありがとうございました!」

拍手が豪雨のように志賀様を叩く。

「今日はコロナウイルス撲滅で三密になり、ソーシャルディスタンスなしで行いましたが、多分上手くいったんじゃないかと思います。皆でコロナに勝った証として、万歳三唱といきましょう!」

万歳が三度、全身全霊で行われた。

「ありがとうございました! 次の闘いもよろしくお願いします!」

志賀様はそこでマイクを置き、笑顔で半壊のリングを後にした。

観客は号泣、慟哭するもの多数で、志賀様の名前を絶叫するのが精一杯という人も多かったようだ。

「志賀様ーっ!」

「サイキョ過ぎーっ!」

「小橋さんに勝ってください!」

志賀様は手を振りつつ花道を闊歩し、やがて消えていった……



なお、この日以来、日本は新型コロナウイルス陽性者ゼロとなった……

↑このページのトップヘ