スダリオ剛が「ちょっと一言もの申す」というファックスで、マスコミ陣をジムに集めた。

スダリオは全裸で、イチモツにクラッカーを巻き付けている。

彼の正気を疑う報道陣だが、誰もが後難を恐れてそのことを指摘しなかった。

スダリオは記者団が全員集まると、割り箸を掴んで口元に持っていった。

マイクのつもりらしい。

スダリオ「今日貴様らを呼んだのは他でもない。あのプロレスリング・ノア所属の真格闘神、志賀賢太郎への対戦要求をぶち上げたかったからだ」

何という暴言……!

マスコミは誰もが絶句した。

志賀さまを「さま」をつけずに呼び捨てにするなど、あり得ないほどの不敬である。

だがスダリオは馬鹿なため、その重罪に気がついていなかった。

スダリオ「いつも軽い相手とばかり闘って勝って、それで嬉しいのか? 超重量級のこのスダリオさまと闘う勇気はあるのか、志賀! ルールは総合、5分3ラウンドで勝負しろ!」

終わった。

スダリオの格闘家人生は、完全に終わった。

志賀さまにこれほどの罵倒を行なって、逃げられるわけがない。

きっとこの件が記事になれば、志賀さまは対戦要求を受けるだろう。

そして哀れスダリオは、志賀さまにリング上で屠殺されるのだ。

背筋を凍らせる取材陣に対し、能天気にクラッカーを鳴らすスダリオ。

果たして志賀さまは彼を殺すのだろうか。

もはや記者団の興味はそこへ移っていた……