15日日曜のイル・ソーレ紙に「昨日碩学パオロ・ロッシ逝去」の報。1923-2012。
しばらく前に、ゲルベルトゥス伝を書いた同名の著者を紹介した折、高名なほうではなくと注したのは、こちらが高名ゆえのこと。しかし、友人にパオロ・ロッシが死んじゃったと言っても、えっ、あのコミコの?とまた違う有名喜劇人を思い出させられもした。
清瀬卓訳『普遍の鍵』が国書刊行会から出版されたのは、昭和59年(『魔術から科学へ』から入ったのではないのが運命的か)。
同編集部から「今度ラテン文学叢書を出そうと企画しているのですが...」と聞いた中井氏はさっそくそれを肯ったのだったが、氏は最初の一冊を見て、ラテン文学がラテン・アメリカであることにやっと気づいた。のっぽくんはうまそうにパイプをくゆらせながら目を細めた。彼はラテン・アメリカ文学が好きだったから。
するうち、妙な本が送られてきたから早く来い、と呼び出され、手渡されたのが『普遍の鍵』だった。
今思えば、氏によるわたしのローマ流刑計画はこの頃はじまっていたような気もする。
その一週間前、8日のイル・ソーレ紙にはウンベルト・エーコ80歳を祝って特集頁。
『薔薇の名前』の改訂版(?)が今年出るらしい。
これが映画化されたのは86年ということだから、英訳本でこれを読んでいたのはそのころか。本邦上映にあたり氏は映画パンフになにやら書くこととなり慌てていた。
なんだか妙に回顧的にさせてくれる記事をつらつら読みつつ、冬寒。
コンコルディア号が沈み、新聞に躍るタイタニックの文字ではなく、洞爺丸など想いだし、虚無への供物に。