5
昨夜はドラマスペシャル『外科医 須磨久善』(テレビ朝日系)を視聴。
医療ものドラマは最近あまり観ないのだが、主演が水谷豊さんだ、ということもあって楽しみにしていた。

拡張型心筋症に対する手術術式である「バチスタ手術」を日本で初めて手がけた実在の心臓血管外科医・須磨久善医師の話。

海道尊氏の同名小説が原作。

外科医 須磨久善
外科医 須磨久善
posted with amazlet at 10.09.06
海堂 尊
講談社
売り上げランキング: 95



水谷豊さんに、医師の役は似合うのかなー、と思いながら観たが、なかなかどうして、あの『相棒』の杉下右京役とも違ったヒューマンな味わいで、印象に残った。

一人でも多くの患者の命を救いたい、として、自らの手技を磨き、術式へのシュミレーションを怠らない心臓外科医としての信念は、胃にある大きな動脈を使った冠動脈バイパス手術の開発や、「バチスタ手術」の改良などの研鑽に見て取れる。

残念ながら救命できなかった少女患者(演:森迫永依…印象的な演技、幼い子役だったのにいつの間にか大きくなった…)とのやりとりや、バチスタ手術そのものは成功したが予後が悪く、肺炎を起こして亡くなった患者(演:平田満…弁護士で、「人に手をさしのべる」という点では医師の救命の使命と相通ずるところがある、として須磨医師を深く信頼)のエピソードが、医師のエネルギーとなっている。

劇中、同じく心臓血管外科医をめざす若い医学生が、講義中、主任教授(演:宇津井健)から「何故君たちは医師を志すのか」と問われ、口々に「親が医師だから、なんとなく…」とか「経済的に保障されているから」等と返答するシーンがあり、これが現在の若い人の現実感覚なのかもしれないが、余りにもこころざしに欠けているので、なんだかショックを受けた。
人間に対峙するしごとは、医師など医療従事者であれ、弁護士であれ、また教師であれ、こころざしが大切だし、それをきちんと育むことが出来るような養成教育が求められているのではないだろうか。

振りかえって、人を援助する福祉のしごとに従事する人たちに、国家試験に合格することだけを自己目的化するような教育ではなく、こころざしを育むような教育ができただろうか、と反省する。
待遇や給与など「経済的保障」とは程遠い福祉のしごとに、こころざしがなかったら、いったい何が残るのか…、そんなことも考えさせられた医師ドラマだった。