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昨年(2010年)は、NHKテレビで『新三銃士』(三谷幸喜脚色)が連続人形活劇として放映されてひさびさのテレビ人形劇の復活をうれしく思いました。NHKの人形劇といえば、「ひょっこりひょうたん島」(1964〜1969年)、「新八犬伝」(1973年)…、幼児番組「おかあさんといっしょ」内で放映されていた「ブーフーウー」(1960〜1967年)「ダットくん」(1967〜69年)等を忘れることは出来ません。

幼い頃から音楽や演劇が好きで、特に人形劇に関しては、小学生の頃、年に一度、毎年6月に学校巡演に来てくれた「人形劇団ころすけ」のプログラムに憧れ、劇団のおじさんとお話が出来たことに感激したものです。
また、活動中のプロの人形劇団として、日本で戦前からの長い伝統をもつ人形劇団プークが設立した東京・新宿にある人形劇専門劇場「プーク人形劇場」のこけら落とし公演(1971年)も、母や亡き父に連れて行ってもらって観劇しました。大きくなったらきっと人形の遣い手になりたい、と思っていました…。
その頃のことを、過去記事:人形劇(2006年5月16日)に書きました。

辻村ジュサブロー(寿三郎)さんの「海神別荘」の舞台を、大阪・堂島の毎日ホール(当時)へ観に行ったのは、足の手術のための入院と訓練の期間を経て高校に復学し、自分としては不本意な学校生活を送っていた、今から30年も前(1981年)のことです。人形たちが万雷の拍手の中、それに命を吹き込んだ黒子の扮装をした遣い手の方がたとともに、しずしずと舞台に躍り出て、深々と挨拶をした実に美しいカーテンコールを今も憶えているのです。



日本の人形劇表紙
人形劇が好きだったことを思い出して、ぜひ読んでみたいな、と思いながら、購入はためらわれ、図書館でやっとみつけたのが日本の人形劇―1867‐2007です。きょう、借りてきました。

日本の人形劇の歴史は古く、幕末から現代まで140年の通史、変遷が、豊富な資料や写真の数々とともに論述されています。
影絵作家藤城清治さんが率い、「バハハーイ」とカエルのケロヨンがブームとなった「木馬座」、冒頭に触れた学校巡演やテレビ人形劇の数々をリアルに体験した世代。そして最近の腹話術のいっこく堂まで幅広くとりあげてあるのが興味深い。
巻末の「日本人形劇年表」が関心のある者や初学者に親切。


目次
第1章 異国へ行く、異国から来る―一八六七年から一九二〇年代
(異国に舞った紙の蝶 新工夫・新発明の明治 西洋人形芝居の初来日
ドイツ人捕虜収容所の人形劇)
第2章 アート、そして戦争―一九二〇年代から五〇年代(近代新興人形劇
新興人形劇―美術と演劇
子どもに向いた目
戦争へいたる道で
戦時下の人形劇
貧困と混乱のなかで)
第3章 映像に、劇場に、生活に―一九五〇年代から八〇年代(テレビそしてファミリーとの遭遇
演出の時代へ
小劇場・それぞれの個性と挑戦
人形劇のサポーター
ジャンルを超えて)
第4章 人形劇から人形演劇へ―一九六〇年代から二一世紀へ(アジアに向いた目
演劇の変革と新概念
伝統人形芝居の現在
演技する人形たちのいろいろ
人形劇の現在
外国のアーティストらと
人形遣い・いのちの痕跡を求めて)

日本の人形劇―1867‐2007(加藤暁子著、法政大学出版局、2008年第2刷)