活字の砂漠で溺れたい

好きな時に好きなことを好きなように書き散らそう・・・

評価の別れ道

江戸川乱歩賞である。
しかも選評も極めて高評価。

「相対評価ではなく、絶対評価でA」と有栖川有栖氏。
「自信をもって世に出せるものを送り出せた。
ぜひ期待してほしい」とは今野敏氏。

同年の「このミス」で第三位、
「文春ミステリー」でも第二位というおまけ付。
下村敦史氏「闇に香る嘘」である。続きを読む

今更ですが正午と岩波

直木賞が新人もしくは無名の作家だけを、
選考の対象者としなくなって久しい。

近年だけを振り返ってみても、
恩田陸、佐々木譲、北村薫各氏など、
選ぶ側と選ばれる側、
どちらがどちらなのか解らないような実力者達が、
今更ながらに受賞したりしている。

昨日発表された2017年上期の直木賞、
受賞者はこのブログでも開設当初から、
強くプッシュしてきた佐藤正午氏、
一ファンとしては嬉しいような今更なような複雑な気分だ。

御本人も受賞後の電話インタビューで、

>今さらとは思わないけども、
>「今?」っていう感じは
>ちょっとちらっとしましたね。

と、お答えになっている。続きを読む

夜な夜な剣豪が夢の如し

新選組に共感を覚えない。
だから司馬遼太郎フリークを気取りながら、
先生の代表作の一つである
「燃えよ剣」も「新選組血風録」も未読のままだ。

しかしどういう風の吹き回しか、
浅田次郎氏の新選組三部作、
第2作までを自分が既読であることに気が付いたのは、
ブックオフでその第3部となる
「一刀斎夢禄」を見かけた時だった。

浅田さんの新選組小説は組織を描かない、
というと極論になってしまうが、
たとえば第1作の「壬生義士伝」では、
吉村貫一郎という人物を通して、
江戸幕末から明治という時代を洞察していたし、
第2作目の「輪違屋糸里」は女性の視点から
時代に翻弄される男達を描いていた。

それらの視線は結果として、
とてもニュートラルなものとなり、
作品として成功したように感じられる。続きを読む

本当の闇は何処にある

事件報道におけるマスコミが好きではない。
社会正義を傘に掛け、
容疑者の家族はもちろん、
被害者及びその家族や関係者の私生活にまで、
土足で上がり込んで来るその姿に、
僕は嫌悪すら感じる。

しかし、物事を一から十まで
イコオルでとらえることはやはり間違っている。
良識ある記者だって何処かには居るはずだ。

ここに一冊、著名なルポルタージュがある。
報道記者 清水潔氏による
「殺人犯はそこにいる
   〜隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」である。続きを読む

事件上に築かれた物語

グリコ・森永事件をモチーフにした小説を読んだ。
塩田武士氏の「罪の声」である。

グリコ・森永事件を題材にした小説というと
高村薫女史の傑作「レディ・ジョーカー」を想い出す。
「レディ・ジョーカー」が
同事件をたんなる題材にしていたことに比べ、
「罪の声」での塩田氏は、
自らもあとがきで書かれている通り、
同事件全体の時間、場所、時系列まで全てを、
正確にトレースしている。

そしてそのトレースした幻の土台の上に、
小説としての見事な物語部分を構成している。続きを読む
書いている人のこと
yori

静岡県出身
神奈川県在住 男
ついにいよいよ50歳・・・
一介の読書人が、
徒然に思いの丈を綴ります。
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