かつて働いた会社に、定年間際で、いわゆる窓際族の同僚がいました。
彼の職場は、会社の歴史的資料が集まる史料室。
なんかいかにも窓際族が配属されそうな部署じゃありませんか。
そこで彼は腐ることもなく、日々自分の職務をこなしていました。
私が見たかぎり、腐るどころか、与えられた仕事に興味を持って取り組んでいたように思います。
そんな彼が、ある時、私生活の話しをしてくれたことがあります。
彼の趣味は、全国中の列車に乗り、全国各地の駅に降り立つことでした。
聞くところによれば、その歳までに日本中の大部分の駅に降りたとかで、もう残っている駅のほうが少ないんだとか。
何ともすごい話しじゃないですか。
私はこの話しを聞いた瞬間、この人を尊敬してしまいました。
ほんとなんです。
彼がなんかものすごい人物に見えました。
私にはそこまで熱中し、そして何かを成し遂げたものがありません。
彼の性格は、真面目そのもの。
冗談は通じるものの、与えられた仕事は手を抜かず真面目にこなしていました。
案外、こういうタイプの人は、自分の趣味のようなものがあれば、とことん極めてしまうのかもしれません。
真面目だけが取り柄だっていいじゃないか、そんなことを思うのでした。