今回からはトリガーポイント療法で最も重要な「ポイント」である「筋肉」についてお話します。

私がいわゆる「腰痛」で来院された患者さんを初めて診察する際に、まず最初に注目するのは「姿勢」です。これが「筋肉」とどう関係しているかと言うと、特定の筋肉が原因の腰痛の場合、痛みを軽減するため無意識にその筋肉を伸ばそうとする姿勢をとるからです。例えば「起立筋」が原因の場合、筋肉を伸ばすために強い前かがみ姿勢になります。「大腰筋」が原因の場合は椅子に座った時に、時間の経過とともに殿部を前方にずらして背中を伸ばした姿勢になります。「殿筋」ですと座位で無意識に痛い側の足を組んだりします。この場合ですと「中殿筋」を無意識に伸ばそうとしている証拠でもあります。

トリガーポイントを内包している筋肉は、短縮させると痛み(短縮痛)が生じることが判っています。したがって無意識に筋肉を伸ばし痛みを避けるということは、その筋肉にトリガーポイントがあるという重要な証拠になります。

ここで「トリガーポイント」について「腰椎椎間板ヘルニア」を例にしておさらいしたいと思います。
まず腰痛(1)でご説明した通り、「腰椎椎間板ヘルニア」とは椎間板という軟骨組織が周囲の圧力で突出して後部にある神経根を圧迫することにより発症したものです。この時、圧迫された神経が関連する腰部や下肢の領域(前回説明しましたね)の筋肉の痛みやシビレといった症状が出現します。発症初期段階ではまだ筋肉内にトリガーポイントは明確に形成されていません。しかし同じ箇所が圧迫され続けると異常な筋収縮が続き、筋肉内に「筋硬結」が形成されるようになります。この「筋硬結」が循環阻害因子となり、さらにストレスや交感神経刺激が加わると末梢循環障害が生じ、筋硬結が「トリガーポイント化」すると考えられています。「トリガーポイント化」した筋硬結はそれ自体が痛みなどのストレスや交感神経刺激の要因となります。さらには他の離れた部位まで「関連痛」を起こすようになるのです。この状態を「活性化トリガーポイント」と言います。

ですから同じ腰痛でも、初期と慢性期では痛みのメカニズムが異なるということです。慢性化した筋肉の痛みは主にトリガーポイントが原因であることが多いのです。

では腰部の筋肉には「どこにどのように」トリガーポイントが存在しているのか、次回ご説明したいと思います。