「【胤馬】様、本日は大変お疲れさまでした。こちらがフェイカー城の大浴場――『桃天園(とうてんえん)』となります」
「おお、すげー! 広いっ!」

 建物のサイズも形もちょっとした体育館といった感じだな。屋根はゆったりとカーブしていて、ガラス張りだ。湯気越しに星空が見える。床や柱、浴槽には黒の大理石が使われている。壁は一面ガラスだが……いいのか? 外から丸見えだぞ。いや……今は女性しかいないからだいじょうぶか。

「しかし贅沢だな。ここ、城の人間しか使えないんだろ?」

 中央にはプールのような浴槽があり、そのまわりに小さな浴槽がいくつかある。すべて湯の色が違う。打たせ湯や寝湯まであるな。入口から右側には数十人が一度に並べる程の洗い場。左側にはおそらくサウナだ。木組みの小屋があり、横にある円型の浴槽は水風呂か。背の高い木、目隠し用の植えこみ、ごつごつとした大きな岩、湯が溢れだしている妙な彫像――と、装飾も申し分ない。高級なスーパー銭湯だな、ここは。

「いいえ。姫様のお取り計らいで一般の方にも開放されております。が、今晩は【胤馬】様の貸切でございます。どうぞごゆるりとおくつろぎくださいませ」

 なるほど。だから『桃天園』は城門を入ってすぐのところにあるんだな。変な造りだと思っていたが、納得した。

「うれしいね。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおう」

 説明をしてくれたのはユメイア・バード。城で働きはじめて十年以上というベテランメイドだ。会食の席でリゼットにホワイトブリムを貸した彼女だな。年齢は聞いていないが、三十路前後くらいだろう。二重の垂れ目、瞳の色は薄緑。ロングのウェーブヘアーは薄ピンク色で、今はアップにまとめている。
 俺は風呂にも関わらず、チョーカーをつけたままだ。翻訳魔法は勿論、《出歯亀千里眼》もしっかり発動している。彼女は百六十二、九十八、五十八、百、Iカップという、とんでもない数字を持っている。
 そんな破廉恥ボディを、今は黒色のスリングショット水着で覆っている。ちょっと動いたら巨大な乳肉がこぼれてしまいそうだ。股間部分には深い皺ができているし、エロすぎるぞ……ユメイア!

「あら……うふふ、【胤馬】様ったら。お疲れどころか……大変お元気でいらっしゃいますわね。失礼いたしました」

 ユメイアが俺の股間を見て微笑んだ。頭に乗せているホワイトブリムが揺れる。

「い、いや……これは、ははっ。まあ……疲れマラという言葉もあるしな」

 チョーカーだけは残してあるが、他の部位に布地はない。当然のことながら、俺の勃起ペニスは彼女にばっちり見られた。

「……今しばらくお待ちくださいませ、【胤馬】様」

 熟女メイドの笑みが艶やかなものに変わった。俺の横にやってきて、熟れた肉体を密着させてくる。

「こんな私でございますが……精一杯勤めさせていただきますわ。【胤馬】様にご満足いただけるよう……」
「あッ……! ゆ、ユメイア……っ!」

 彼女の手が男根に絡みついてきた。性経験はやはり豊富らしい、俺の硬さや長さをたしかめるような手つきだ。耳のすぐ側で、熟女が湿った声をこぼす。

「【胤馬】様……、私、玉座の間では抑えておりましたが……もう、ああッ……! 素敵ですわぁ……立派なおち×ぽぉ……!」

 生唾を飲みこむ音が響いた。俺かユメイアかわからなかった。
 彼女と至近距離で見つめ合う。濡れた瞳はどうしようもなく“牝”だ。無理もない。今、この世界にいる♂は俺一人。性の快美を知っている熟女は、どうしようもなく飢えていたはず。俺はそういった女の欲望にも応えていかなければ――。

「わッ……! マ……ママっ! なにその、み……水着っ?」

『桃天園』の天井に甲高い声が響く。俺とユメイアはさっと離れた。

「あら……ユユちゃん、遅かったわね。……それに、レリア様。はしたないところをお見せして、申し訳ありません」
「……いえ、構いません。これも仕事ですので」

 数メートル先に立っているのは、ユユ・バード。ユメイアの実娘であり、会食の場で俺の世話をしてくれたメイド少女だ。肩まである薄ピンクの髪を二つに結んでいる。くりくりとした双眸、ぱっちりとした二重。瞳の色は母親と同じ薄緑だ。例の数字とアルファベットは百四十、七十三、五十四、七十八、B。頭にはホワイトブリム、そして躰には――。

「……どうして二人してスク水を着てるんだ」
「スクミズ? いったいなんですか、それは」

 ユユ、そしてレリアも紺色のセパレート水着を纏っていた。色気皆無の野暮ったいデザインは紛うことなきスクール水着だ。

「これはラトリドル国伝統の学園指定水着です。初等部から高等部まで、女子生徒は全員これを着て水泳の授業を受けます」

 どこか誇らしげに告げるレリア。
 しかしまあ、野暮ったいとはいったが、彼女ぐらいスタイルがいいと逆にエロくなるのもスク水だよな。俺のいた世界のサブカルでも、しばしば登場しているほどだし。

「事情はわかったよ。でもなんでレリアも? たしか、もう大学はでてるんだったよな。中等部くらいのユユが着ているのは自然だが……」

 つまるところ、レリアは水泳授業以外で水着を着ていないということになる。
 もしやと思った直後、彼女がかすれた声でつぶやいた。

「……泳げないんですよ」
「そ、そうか……」

 からかう気も湧かなかった。俯き、俺から視線を逸らし、悔しそうに肩をふるわせている。おそらく、過去になにかトラウマ的なことがあったんだろう。わざわざ地雷を踏みにいくこともないよな、うん。

「さて……娘もきましたし、【監査官】様もいらっしゃいましたし、はじめましょうか」

 ユメイアが頬に手をあてて微笑んだ。
 ユユは緊張した様子で背を伸ばし、強張った顔で頷いた。

「……そうですね。夜が更けないうちに終わらせましょう」

 気を取り直したように【監査官】が顔をあげた。

「ユメイア・バード、ユユ・バード。ラトリドル国【監査官】レリア・ヴィルジニー・ラトリドルが二人を【孕巫女】本人と認めます。【胤馬】タケルは『マース協定』に基づいて……胤付行為をはじめてください」

 そうだ。バード母娘はラトリドル国の【孕巫女】。【胤馬】の俺が胤付をしなければならない相手だ。
 玉座の間を去る間際、レリアが俺と一緒に風呂に入るといったのは、こういうことだ。『マース協定』十四条の定めによって、【胤馬】の胤付行為を見守らなければならない。さらに、受精したかどうかも確認する必要がある。

「や……やっぱり怖いなぁ、あたし。ううッ……」
「だいじょうぶよ、ユユちゃん。ママがいっしょだからね……ふふっ」

 初の性交に怯える娘を、豊満な母親がやさしく包む。
 その光景に俺はどうしようもなく興奮した。
 だってこれ、所謂あれじゃないか。下品な言い方をすると、そうあれだよ。
 親子丼!
 母の目の前で娘とヤって、娘の前で母とヤり、あるいは母と娘、同時にヤる!
 やべぇ……なんだよこの超禁忌! ちょっと妄想しただけで、我慢汁がタラタラと垂れてきた……!

「……なにを考えているか知りませんが、声をだすなり動くなり……行動を起こしてください。いつまで直立不動でいるんですか」

 加熱する妄想をとめたのは、冷え切った【監査官】の声だった。ジトッとした目で俺の顔を見ている。

「あ、ああ……そうだな、スマン」

 咳払いをして親子の方を見る。子はビクッとして、親は微笑んだ。
 さて、どうするか。ミコとキティのときは俺がリードしたが……今回もそうするか? けど、おそらくユメイアの方が――。

「【胤馬】様、どうぞ楽にしてください。僭越ながら、今晩は私にお任せいただけないでしょうか。娘は初夜ですし、夜伽の作法を教える必要もあります。また、親心としましては、できうる限り痛苦を少なくしてやりたいのです。ご承知いただけますか?」

 気持ちはよくわかる。が、つまりそれは、遠まわしに俺のことをセックスが下手といっているのではないか?
 ……そのとおりだよな。
 というより、経験が少ないよな。絶対、ユメイアの方が豊富だし、上手だ。
 ここは変に意地を張るより、任せた方がいいだろう。おそらく、そっちの方が気持ちよくなれる。躰も心も。

「わかった。よろしく頼むよ、ユメイア」
「はい。かしこまりました……ご主人様」
「えッ……!」

 その単語を聞いた瞬間、全身に電流が走った。ペニスまでビクンと跳ねあがった。
 ユメイアが口の前で手を合わせ、艶美に微笑んだ。

「今晩限り、【胤馬】様は私……そして娘のご主人様ですわ。この躰……心、すべてを捧げて、ご奉仕いたします」

 ふくよかな唇をペロリと舐める熟女メイド。
 その淫靡な仕草と言葉で、頭の中がかあっと熱くなった。俺とあまり変わらない年齢だというのに、すごい色気だ。これが経験の差なのか。経産婦の余裕なのか。ああ……たまらないっ!

「では……まず、こちらに。ユユ。ご主人様をお連れして」
「う、うんっ。ご……ご主人さま? ご案内……いたします」

 ユユが駆け寄ってきた。頬は真っ赤に染まり、目元はうっすらと濡れている。幼い躰を密着させて、俺の腕を取った。母とは違い、まだ完全に育ちきってない女体は硬さが残っている。しかし、それがよかった。俺のいた世界でこんな歳の子にこんなことをしたら、一発で通報アンド逮捕だ。そのタブーを平気で犯せるのがなんともいえないじゃないか。

「あぁ……ご主人さまの、おちん×ん……すごいです」

 ビクビク律動する剛直を、初心な少女が凝視していた。

「すごいだろ? これが今からユユの中に入るんだ。赤ちゃんの胤を君の一番奥にビュウッてしてやるからな」
「あうぅ……う、ううっ……!」

 その光景を想像したのだろう。ユユの全身が真っ赤になった。俺の腕を強く握り締めてくる。
 ああ、最低なセクハラだけど、最高に興奮するぜ。
 ニヤニヤしながら、ユメイアの後をユユと共に歩いていった。
 背後から【監査官】の冷たい視線を感じたが、振り返る勇気はない。無視させてもらおう。

「ご主人様、着きました。まずは……あの椅子にお座りくださいませ」