公開質問:SIBOとガスによる便秘

 

コメントを紹介します。

(個人情報に配慮し、一部、〇○に変換し、削除した個所もあります。)

 

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ブログを読みながら、ひとつひとつの謎が解けて、絶望的だったこの数年間からやっと抜け出せるという希望が持てた次第です。

短鎖脂肪酸は私にとって大きなキーワードでした。
というのも、私がIBSになったのもまさにそれが原因だったのではないかと思うからです。

私は今年〇○歳になりましたが、5年前、〇○○○療法の生菜食を実行し、人生最高の健康体を得ました。
ところが、その後の不節制が生菜食で変化した腸内細菌に大きなダメージを与えることになったのではないかと推測しています。
つまり、11キロくらいの野菜と生玄米粉を摂取して短鎖脂肪酸を消化吸収する腸内細菌になったところで高フォドマップの乱れた食物およびアルコールで腸がメチャクチャになってしまったのではないかと。

潜在的にはガスが多く食べすぎると便秘になるほうでした。ニンニクとプルーンは好きなのに食べ過ぎるとお腹が張り便秘になるのが不思議でした。
(今は激しく納得してます)ですがこれほど悩むことになるとは過去、夢にも思いませんでした。

20
年ほど前にお腹が痛くなって病院に行きましたところ、レントゲンをとったら小腸までガスが充満しておりました。ですからおそらくSIBOもあると思います。実際、調子が悪いときに甘いものを食べるとよくお腹が張りました。

また、3年ほど前に内視鏡検査でポリープがあり切除したのですが、ガン細胞があり(ステージ0)今は一年に一度は内視鏡検査をしております。レントゲン写真では腸が太く、それで動きが悪いと言われたのですが、腸も長いと言われました。どうしてそうなのか聞いても、わからない、と言われました。でもまさにIBSの症状で腸管拡張で伸びきっていたわけですね。

健康体になりたいと、切実に思っています。
先生のブログと本を参考に頑張ります。これからもどうぞお体に気をつけて、ますますのご健闘をお祈りしております。
ありがとうございました。

 

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このコメントは非常に興味深いと思いました。

なぜなら、私が出会った便秘の患者さんの典型的パターンだからです。

そして、その解決のために、これまで取り組んできましたが、

その理由について、SIBO、高繊維と高FODMAPとガスの関係がわかりました。

その間、短鎖脂肪酸について悩み、その結果、純粋な善玉ではなく、悪影響もあるとわかりました。

そして、ガスが増加するとなぜ、便秘になるのか?という最終課題に対して、

ベルヌ―イの定理で証明したという経緯があります。

 うの図1


では、このケースを時系列で整理します。

 

20年前に小腸ガス充満:SIBOの疑い

・ガスが多く、便秘になりがち:便秘型IBSの疑い

5年前に野菜と玄米中心の食事で一時的軽快とその後の悪化:食物繊維の影響

3年前に腸が太く長い:巨大結腸症と過長結腸の傾向

 

以上を考察します。

 

「何らかの原因により、小腸の細菌が増殖して、その菌によって糖質が小腸で発酵し小腸でガスが発生するようになった(SIBOの発生)。小腸での過剰なガスは、盲腸内への流体量の時間的輸送能を減少させるために、盲腸から上行結腸に発生する大蠕動が低下した。大蠕動は腸管容量に依存するためであるが、大蠕動低下によって排便反射が生じにくくなった。それによって、大腸内での内応物の停滞が生じた。食物繊維の増加は、大腸の内腔径が広がっていない状況では、便量の増加につながったため、これまでにない排便を経験した。しかし、その内容物が繊維の多いものであるため、草食動物のように大腸内で繊維の成分が発酵するようになり、大腸内でガスが増加し始めた。慢性的なガス増加は、ガスに位置エネルギーがないことから、大腸内で停滞し続け、それによる大腸の輪状筋と縦走筋の過伸展を来す。輪状筋の慢性的過伸展は巨大結腸をまねき、縦走筋の慢性的過伸展は過長結腸をまねく。それによって、慢性的な便秘を来すようになる。その状況で高FODMAPを摂取すると、FODMAPの水分増加作用により、初めは便通の改善が得られるが、FODMAPの発酵作用により、さらに慢性的にガスが増加し、難治性の便秘となる。」

 

以上のように考えられます。

では、このような状況でどうするべきか?を考察します。

まず、長期戦であることを認識してください。

そして、これまでの逆の道を行います。

最初は、高FODMAPの制限です。

発酵量が低下するので、ガスが減少してきます。しかし、腸管内の水分が若干低下し、便秘が一時的に悪化する可能性があります。その際は、酸化マグネシウムで対応します。

つぎに、食物繊維を減量します。同じように一時的に便秘の悪化があるかもしれませんが、同じように対処します。

しかし、ここまで来ても、大蠕動が低下していると排便が得られないため、その際は、モチリンによって大蠕動促す「大建中湯」が有効です。また、盲腸内への水分流入量を増やすためには、ガスモチンも有効です。さらに、SIBOがベースにあるとすれば、小腸内の菌を増やすような健康食品やサプリを摂取しないようにします。糖質による小腸内発酵を抑制するために糖質制限食も有効かもしれません。抗菌剤も有効です。全体を通じて、理論的に最も、有効なのは、大腸内視鏡検査の時に飲むポリエチレングリコール(ニフレック)です。これは、腸管にガスを増やすことなく、また、吸収されないために、便の水分量を増加させ排便を促します。しかし、保険適応ではありません。

以上のような方法になりますが、この方法では医薬品を必要とするため、私が記した内容を理解してくれる主治医を探すことが必要です。それが、一番難しいかもしれません。

そのため、自分で出来ることを整理すると、

低フォドマップ食の実践、高繊維食の回避、難消化物質の摂取制限、糖質制限食の導入ではないかと考えます。

実際に、SIBO+巨大結腸+過長結腸の人が、2年で軽快した症例が以下です。

 ちりょうご

なお、日本女性は日本列島に日本人が住み始めてから、歴史的に、

ほとんど、アルコールを飲んでいなかったので、

日本女性がアルコールを飲んだ場合の危険性については、疫学的に未知です。

そのため、アルコールを控えた方がいいと私は思っています。