2日午後1時50分ごろ、新潟県五泉市論瀬の無職、大湊良衛(よしえい)さん(80)方から出火、木造一部2階建て住宅延べ約200平方メートルを全焼し約1時間後に鎮火したが、焼け跡から大人2人、子供2人とみられる計4人の遺体が見つかった。

 県警五泉署は、行方不明になっている大湊さん▽大湊さんの孫の妻で主婦、佳奈さん(25)▽佳奈さんの長女、咲良(さら)ちゃん(3)▽長男、良空(りく)ちゃん(1)とみて身元の確認を急いでいる。

 同署によると、大湊さん方は3世帯10人暮らし。出火当時は大湊さんと妻ヒロさん(74)が1階に、佳奈さんは2階で咲良ちゃん、良空ちゃんを昼寝させていたという。ヒロさんは逃げて無事だった。2階部分は燃え落ちており、1階から火が燃え広がったとみられる。失火の可能性が高いとみて調べている。

 現場は水田に囲まれた農村地帯の集落の一角。

 ◇猛火前に「助けて、助けて」

 「助けて、助けて」。猛火を前に家族の悲しい叫びが続いた。2日午後、焼け跡から子供を含む4人の遺体が見つかった新潟県五泉市の住宅火災。家族や近所の人が駆け付けたが、なすすべもなく、燃えさかる炎を前に立ちつくすしかなかった。

 近くの建築業の男性(56)は、午後2時ごろ、訪問客から大湊良衛さん(80)方が炎上していると知らされた。「外に出てみると、煙が30メートルくらい立ち上っていた。ゴーゴーと火もすごい勢いでまわっていた」と話す。

 この時、同時に目に飛び込んで来たのは、大湊さんの孫麻弥さん(19)が、燃えさかる家の前で、必死に中に救助をしに入ろうとする光景だった。周りの人に取り押さえられながらも「助けて、助けて」と繰り返していたという。

 農業の女性(68)は「いつも良衛さんが良空ちゃんを乳母車に乗せて散歩していた。隣に自転車で寄り添う咲良ちゃんには『転ぶなよ』と声をかけていた。佳奈さんは良空ちゃんが生まれてから仕事を辞めて子育てをしていた。仲のいい家族だったのに」と安否を気遣っていた。