富士山落石事故「3トンの巨石、想定外」 静岡

富士山落石事故「3トンの巨石、想定外」 静岡富士山登山道の駐車場に止めていたキャンピングカーを落石が直撃して奈良県の団体職員、筒井良孝さん(68)が死亡した事故を受け、道路を管理する県道路局は14日、現地調査を始めた。

 事故があったのは、富士山スカイライン(静岡県道)の富士宮口新5合目駐車場。県や県警の調べでは、直径約1.2メートル、推定重量約3トンの巨石が、7合目付近から新5合目までの標高差約600メートル、約1.4キロをバウンドしながら落下。石は鉄製の柱と鋼製のワイヤでできた高さ3メートルの落石防止柵を突き破って、筒井さんのキャンピングカーを直撃した。事故当時、現場には数台の車が駐車していたが、キャンピングカーは斜面近くに止まっていたという。

 県道路局によると、落石防止柵は直径60センチ、重量約300キロの石が高さ40メートルの斜面から落下しても耐えられるように設計されている。同局は「今回は耐重量を超える石が落ちてきた。3トンもの石の落下は想定していなかった」と釈明している。

 落石の原因については、「雪解けの影響で地面と石の間に空洞ができ、バランスを崩して落下したとも考えられる。また、事故当時は風が強かった」と推定している。筒井さんは強風のため、登山の予定を延期してキャンピングカーの車内で仮眠していたらしい。

 同局は、新5合目駐車場を立ち入り禁止にした上で、14日早朝から登山道と斜面の緊急点検を実施している。今後、学識経験者を交えた検討委員会を設置し、落石対策や斜面付近に駐車しないよう注意を促す広報手段について協議する方針という。

 同局によると、静岡県側の富士山登山道での落石による死亡事故は「おそらく前例がない」という。