元次官宅連続襲撃 小泉被告に死刑 さいたま地裁判決

元厚生事務次官宅連続襲撃事件で、2人を殺害し、1人に重傷を負わせたとして殺人罪などに問われたさいたま市北区、無職、小泉毅被告(48)の判決公判が30日午後、さいたま地裁で始まった。伝田喜久裁判長は判決理由の朗読から始め、「死刑の選択はやむをえない」と述べ、求刑通り死刑を言い渡した。

小泉被告は公判で起訴内容を認め、動機について「子供のころに保健所に殺された(と思った)愛犬のあだ討ち。私が殺したのは人間ではなく、心の中が邪悪なマモノ。動物の命を粗末にすれば自分に返ってくると思い知らせたかった」と主張。「無罪以外は上訴する」と述べていた。また、弁護側は「動機が奇異であり、心神耗弱の疑いがある」として、刑事責任能力を認めた捜査段階の精神鑑定のやり直しを求めたが、伝田裁判長に却下された。

 起訴内容は、元厚生事務次官とその家族を殺害しようと計画し、08年11月17日午後7時ごろ、さいたま市南区の山口剛彦さん(当時66歳)方で、山口さんと妻美知子さん(同61歳)の胸などを包丁で刺して失血死させた。翌18日午後6時半ごろ、東京都中野区の吉原健二さん(78)方で、妻靖子さん(73)の胸などを包丁で刺し、約3カ月の重傷を負わせたなどとしている。