国に580万円支払い命令=わいせつ被害、退職強要を認定−空自セクハラ訴訟

北海道内の航空自衛隊施設に勤務していた元隊員の女性(24)が同僚の男性隊員(35)からわいせつ行為を受けた上、相談した上司に退職を迫られたとして、国に慰謝料など約1100万円を求めた訴訟の判決が29日、札幌地裁であった。橋詰均裁判長は訴えを認め、国に580万円の支払いを命じた。

 橋詰裁判長は「わいせつ行為は深刻で、女性の肉体的・精神的苦痛は甚大」と認定。上司らの対応についても「女性を厄介者とし、退職に追い込もうとする露骨で不利益な扱いだった」と厳しく指摘した。

 女性は判決後、「自分は間違ってなかったと思えて感動した。自衛隊は、隊員の人権が保障される組織になってほしい」と語った。

 判決によると、女性は2006年9月、夜勤中の男性隊員に呼び出され、体を触られるなどのわいせつ行為を受けた。職場で被害を訴えたが、複数の上司から休暇取得や退職願を書くよう迫られた。女性は09年3月、任用を継続されず退官した。

 男性隊員は強制わいせつ容疑で書類送検され、07年に不起訴処分となっている。

 防衛省航空幕僚監部の話 裁判所の理解が得られなかった。内容を検討して対処したい。