復興増税 所得・法人・住民税が有力 政府税調が3案

東日本大震災の復興財源を賄う臨時増税について、政府税制調査会(会長・安住淳財務相)が策定する複数の案の概要が15日、分かった。▽所得税と法人税と地方税(個人住民税)▽所得税、法人税とたばこ税などの個別間接税▽消費税のみ−−の3案が軸で、このうち所得税と法人税、住民税の組み合わせが最有力となっている。

増税期間は12年度から5〜10年が基本。軸となる所得税は税率を10%引き上げる定率増税を5年間実施するか、引き上げ幅を5%に抑えて10年間続ける手法を想定。10%の場合、中学生以下の子ども1人がいる年収500万円世帯の増税額は月1000円程度。

 法人税の実効税率(国、地方計40.69%)は11年度税制改正法案に盛り込まれた5%の引き下げを実施し、税率25.5%になる国税分を3年間、28.05%に1割引き上げる。地方税である法人住民税の増税は見送り、実効税率での減税幅をほぼ半分まで圧縮する。

 ただ、両税を合わせても増収幅は9兆〜10兆円程度。政府は、税外収入の上積みで、増税規模を11兆円程度に圧縮する方針だが、不足分は所得税に連動する住民税を定率増税して確保する見通しだ。

 一方、個別間接税では、たばこ税は1箱50円増税しても2000億円程度の増税にしかならない。また、酒税はビール会社などと利害調整が難航し、見送る方針だ。消費税は、1%引き上げで2.5兆円の税収が見込めるが、税と社会保障の一体改革に伴い、10年代半ばまでに5%の引き上げが見込まれていることもあり、政府・与党内では復興増税での活用に慎重な声が大勢だ。

 政府税調は、16日に全体会合を開き、具体案を決定する。その後、政府の東日本大震災復興対策本部(本部長・野田佳彦首相)に報告したうえで、民主党税調の議論を踏まえ、月内の与野党協議入りを目指す。