パナソニック「さよならVHS」 デジタル化で生産終了 35年の歴史に幕

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パナソニックがVHS方式の家庭用ビデオレコーダーの生産を終了したことが10日、分かった。放送のデジタル化やDVDの普及に伴い需要が急減しているためで、流通在庫がなくなり次第、同社製は店頭から姿を消す。VHS方式は昭和52年に発売したが、約35年の歴史に幕を下ろす。

パナソニックは、DVDが普及した後も、VHSで録画した番組やソフトをDVDなどにダビングするニーズに応えるため、DVDやハードディスクと一体となったレコーダーを、中国の生産拠点で製造し、販売していた。

 だが、昨年7月に地上デジタル放送に移行。アナログ方式のVHSは、デジタル放送をそのままの高画質で録画できないため、「役割を終えた」(パナソニック)と判断し、昨年末に生産を終了した。今後は高画質なブルーレイ・ディスク(BD)レコーダーの販売などに力を入れる。

 VHSは、松下電器産業(現パナソニック)の子会社だった旧日本ビクターが昭和51年に発売。ソニーのベータ方式と争った末に事実上の世界標準となった。一時はパナソニックだけで年間100万台以上を売り上げ、稼ぎ頭として同社の屋台骨を支えた。

 しかし、DVDの普及に伴い需要は急減。船井電機が子会社を通じVHSと一体となったDVDレコーダーを販売しているが、シャープなど大手メーカーは生産を終了している。