貨物列車脱線、非常ブレーキも利かなかった

北海道安平(あびら)町で起きたJR石勝線の貨物列車脱線事故で、JR貨物北海道支社は17日、記者会見を開き、男性運転士(25)が脱線現場の約2キロ手前からブレーキなどを作動させたが、列車が停止しなかったことを明らかにした。

 国土交通省運輸安全委員会は同日、鉄道事故調査官2人を派遣。北海道警も業務上過失往来危険容疑で実況見分を始めた。

 同支社によると、列車は事故発生前に制限速度(時速95キロ)以下の時速89キロで走行中、ブレーキをかけていたが十分に減速せず、約1・5キロ手前で非常ブレーキを操作。しかし、速度は落ちず、本来は時速45キロ以下で走行すべき東追分駅構内に同70キロで進入した。列車はこの後、緊急避難用の引き込み線に入って、80メートル先の砂利に乗り上げた。脱線時は時速40キロあったという。

 現場は下り坂だが、非常ブレーキが正常に作動すれば600メートル以内で停止するはずだった。機関車や貨車のブレーキは15、16日に点検し、異常は見つからなかったという。

 男性運転士は札幌機関区の所属で、運転歴は4年6か月。道内では雪などのトラブルが相次いでおり、運転士は「早めにブレーキをかけたが、利かなかった」と話しているという。