福井県内で中国産米の売れ行き順調 震災後の国産高騰が影響

20120616-00000302-fukui-000-0-view
福井県内の小売店や卸業者の間で、中国産米を扱う動きが出始めている。東日本大震災の影響で、2011年産の国産米が品薄により値上がりし、安いコメの需要が高まっているため。ある小売店では低価格の国産米の約1割安で販売されており、担当者は「売れ行きは順調」と話している。

 大手スーパーでは西友が今年3月、中国産米の店頭販売を開始。消費者の反応がおおむね好評だったため、全国的にスーパーや外食産業でも取り扱いが広がっている。

 県内ではゲンキー(本社福井県坂井市)の店頭に並び、低価格国産米の約1割安で販売されている。同社の担当者は「中国産米に対する消費者の抵抗がそれほどないと判断した。品種が国産と同じジャポニカ種(短粒種)で、食味値が高いことも決め手になった。売り上げは順調」と話す。

 中国産米が流通している背景には東日本大震災がある。福島第1原発事故の後、安全なコメを早めに確保しようという動きが相次いだ結果、11年産国産米の価格が値上がり。これによって低価格の中国産米を扱う動きが加速した。県内でも複数の卸業者が家庭用として、中国産米の扱いを始めている。

 現在、国内で出回っている外国産米は、国が関税なしで受け入れると決めた約77万トンの「ミニマム・アクセス米」。このうち主食用のコメの輸入には10万トンの上限が設けられている。

 国内のコメの消費量は年間約800万トンあり、主食用の外国産米の量はまだ限定的。外国産米が消費者から受け入れられれば、輸入枠の拡大を求める声が高まることも予想されるが、農林水産省は、枠の拡大に慎重な姿勢を示している。