めまい症乗り越え自身4度目の五輪へ…澤「ホッとした」

20120702-01103102-gekisaka-000-3-view日本サッカー協会は2日、ロンドン五輪に出場する日本女子代表(なでしこジャパン)の登録メンバー18人を発表した。自身4度目となる五輪メンバーに選ばれたMF澤穂希(INAC神戸)は「とにかく素直にうれしかったし、一言で言うと、ホッとした」と率直な心境を吐露した。

「代表に指定席はないし、ベストを尽くさないと選ばれないと思ってきた。今年に入って自分はベストな状態でサッカーができていないので、選んでもらえるかどうか不安だった」

 今年3月のポルトガル遠征中に体調不良を起こし、帰国後に良性発作性頭位めまい症と診断された。その後は体調の回復に努め、実戦復帰は4月22日のなでしこリーグ・福岡AN戦。6月のスウェーデン遠征で約3か月ぶりに代表復帰を果たしたものの、試合ではベストパフォーマンスには程遠かった。

「スウェーデン遠征でアピールしないといけなかったのにコンディションが上がらなくて……。発表があるまで、不安だった。18人が発表されて、本当にホッとしました」。昨年の女子W杯で大会MVP&得点王に輝き、FIFAバロンドール2011の女子最優秀選手にも選ばれた“女王”も、不安の毎日を送っていたという。

 それでも、選ばれたからには気持ちも切り替えている。「やるときにはやれると思っている。徐々にコンディションを上げて、本番でぶつけられるようにしたい。親善試合も何試合かあるし、感覚を取り戻す時間はあるので大丈夫だと思う」と力説した。

 17歳で初めて出場した96年のアトランタ五輪はグループリーグ敗退。00年のシドニー五輪はアジア予選で敗退した。04年のアテネ五輪はベスト8、そして08年の北京五輪が4位。一歩一歩階段を上り、今回のロンドンが自身4度目の五輪の舞台となる。

「オリンピックは簡単にだれでも出られる大会ではないし、4回も出られるのはすごいことなのかなと思うけど、言われるまでは(出場回数を)数えてなかったので、実感はなかった。17歳で経験したアトランタとは立場もサッカースタイルも変わって、今までとは違う大会になりそうだし、楽しみだなという感じを持っています」

 アトランタ五輪から16年。「当時は五輪に出ることで満足していた。五輪で結果を出すなんて考えられなかった」と、日本の女子サッカーをめぐる環境、自分自身の立場も激変した。周囲が期待するのは金メダル。「(目標は)一番輝いているメダルと言いたいけど、簡単に勝てる試合は一つもない。期待に応えられるように金メダルと言いたいけど、どの色でもいいのでメダルを取りたい」。今だかつてない期待とプレッシャーを背に集大成の大会へ臨む。