やっぱり、浩二ジャパン!10日誕生…WBC監督問題決着

20121001-00000219-sph-000-7-view第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表監督に元広島監督の山本浩二氏(65)の就任が決定した。関係者の話を総合すると、日本野球機構(NPB)は1日までに山本氏に水面下で就任を要請し、快諾を得た。監督人事は迷走していたが、当初から最有力候補だった山本氏に結局は落ち着いた形だ。山本氏は10日に就任会見を開き、WBC3連覇へ向けて船出する。

 侍ジャパンの指揮は、「ミスター赤ヘル」に託されることになった。就任が事実上決まった山本氏はこの日、都内の自宅前で取材に応じた。「ノーコメント。当然、正式なオファーってのはない。もう一つはペナントレース、まだパ・リーグがこういう状態でしょ。だから、それ以上は言えない。察して」。自分に注目が集まることで、大詰めを迎えた優勝争いに水を差すことを懸念し、最低限のコメントにとどめた。それでも、パの日程終了後に「結論? 出るんじゃないの」とポロリ。対応時は終始、笑顔だった。水面下での交渉が順調に進んでいることをにおわせた。

 迷走の末、元のサヤに収まった形だ。当初から代表監督の本命だった山本氏だが、2005年を最後に現場から遠ざかっている点や65歳という年齢を考慮に入れ、NPBでは過去2回同様、現役監督に要請する案も同時に検討。コミッショナー特別顧問であるソフトバンク・王会長を通じ、ソフトバンクの秋山監督にも意向を打診したが、固辞されて「秋山案」は消滅。結局、山本氏に正式な要請を行うことになった。

 監督選任の決定権を持つ加藤良三コミッショナー(71)はこの日、都内で開かれた実行委員会に出席。「手続き、調整は鋭意進めている。OB? それも含めて調整中。それ以上申し上げることはない」と繰り返した。会議上でも具体名には触れず、同様の説明を行った。ただ山本氏に関しては「(名前が)挙がってるねえ。それについて? コメントはありません」とし、否定はしなかった。

 両リーグの公式戦は9日に終了するため、NPBは10日に「山本新監督」の正式発表を目指し、準備を進めている。ただでさえ、選手会の“ボイコット騒動”などでチーム編成は遅れている。自身の名前が取りざたされることには「光栄なこと」と、率直に語った山本氏。大会3連覇という難事業へ向け、火中の栗を拾った格好となった。

 ◆WBC監督問題の経過
 ▽9月4日 選手会がWBC不参加決議を撤回。
 ▽同5日 スポーツ報知が「新監督最有力候補に山本浩二氏」とスクープ。
 ▽同 山本氏が本紙報道を受け、オファーがあれば前向きに検討することを明言。
 ▽同17日 王会長が監督選考が難航していることを明らかに。「OBでってのもなかなかね」
 ▽同18日 加藤コミッショナーが12球団の現役監督の兼任が望ましいとの見解を示す。
 ▽同26日 王会長が秋山監督を説得することを明らかに。「あきらめな」としたが、拒絶される。
 ▽同29日 秋山監督の可能性が消滅。

 ◆山本 浩二(やまもと・こうじ)1946年10月25日、広島市生まれ。65歳。廿日市高から法大を経て68年ドラフト1位で広島入団。ミスター赤ヘルとして75年のチーム初優勝に導くなど、首位打者1回、本塁打王4回、打点王3回、最優秀選手2回。通算で2339安打、536本塁打、1475打点、打率2割9分。86年引退後、89〜93年と2001〜05年に広島監督。91年リーグ優勝。08年野球殿堂入り。右投右打。