地名間違え・土下座・懇願合戦…訴え届いた?

政党の離合集散、候補者の「国替え」が公示日の直前まで続いた今回の衆院選。

 12日間の慌ただしい選挙戦を振り返った。

 ◆時間が足りない

 東京の選挙区に国替えとなった前議員は、慣れない土地に溶け込もうと早朝のラジオ体操にも足を運んだ。選挙戦最終日の15日も、顔を覚えてもらおうと出向いたが、参加した主婦(73)は「最近こちらに来た方なので、まだよく分からない」と話した。

 山梨では、急きょ出馬した前議員が、選挙カーから地名を読み間違えて連呼し、対立陣営からミスを指摘される一幕も。前議員は、「地名は難しい」と反省した。

 公示日直前に宮城から出馬を決めた新人候補は、選挙事務所を用意したものの、電話も看板もなく無人のまま。「人を置く余裕がない」と旅館に滞在しながら、最後まで選挙戦を戦い抜いた。

 ◆涙の懇願

 デッドヒートの選挙区では、「お涙ちょうだい」の選挙戦を展開した候補も。長崎では選挙戦終盤の集会で、あいさつに立った前議員の長女が「何とか勝たせてほしい」と土下座し、会場がすすり泣く場面も。福岡の前議員は、演説の最後に頭を深々と下げ、「どうか助けてください」と涙声で訴え続けた。

 北海道では対立する候補者が、互いに選挙戦で「懇願合戦」を展開。女性の新人候補が支持者を前に「12日間戦うのに、お支えが必要です」と雪の上にひれ伏すと、前議員は800人が詰めかけた決起集会の会場で夫婦そろって会場の床に額をこすりつけ、「勝たせてください」「助けてください」と訴えた。