2009年08月02日

482.コメントに返事

コメント有難うございます。

店頭でのカード支払と、ネット通販でのカード支払いには明確な差がある。店頭でのカード支払であれば売買契約が成立した前提で問題ないが、ネット通販ではなりすましの問題があり売買契約が成立したかどうかがあいまいだ。また契約不成立のリスクは事業者が負うことになっている。ネット通販では電子契約法が適用されるからだ。よく考えるとこの法律は事業者にとってかなり怖い法律ではないかなと思う。興味深い部分なので重複するがまとめてみた。

・「電子契約法」

●内閣府サイトにはこう書かれている。

 電子契約の成立時期が発信主義から到達主義へ転換し、承諾通知が到達しない限り、契約は不成立なので、承諾通知の不着のリスクは事業者が負う。

●電子商取引等に関する準則(経産省)にはこう書かれている。

(2) なりすましによる意思表示のなりすまされた本人への効果帰属

 i) 本人と売主との間の売買契約は成立するか
ア) 本人確認の方式について事前合意がない場合(1回限りの取引)
 本人確認の方式について事前合意がない場合、なりすましによる意思表示については、原則として本人に効果は帰属しないので、本人と売主との間で契約は成立しない。

ii)本人と決済機関との関係
  ア) クレジットカード決済の場合
 インターネット通販におけるクレジットカードを用いた決済の場合、クレジットカード番号及び有効期限などを入力することによって行われることが多い。このような形態でなりすましが行われた場合、なりすまされた本人(カード会員)に支払義務が生じるか?

 現行クレジットカード会員規約からすると、カード会社は、表見代理となる場合またはクレジットカード会員規約上の義務違反により本人に帰責事由がある場合などを除き、支払または賠償義務を負わないこととなっている。


・「電子契約法」となりすまし

 電子商取引等に関する準則には、なりすましに関する長文の記述があるが、なりすまされた本人と売主との間の契約が成立しているかどうかと、決済機関がなりすまされた本人に代金の支払い請求をすることができるかがそれぞれ問題となるとしていて、売買契約が不成立の場合に、それに付随する支払契約がどうなるかについての明確な記述がない。
経産省では、売買契約が不成立の場合には支払契約は存在しえないと考えていて、細かく書かなかったのだろう。
売買契約とカードによる立替払い契約は別個の契約という考えもあるが、本質的に間違いで、売買契約が無効になった場合には即座に支払契約も無効にしなければならない。なりすましによる売買契約は無効になるので、ネット通販では、なりすまし問題は非常に重要な要素だ。なりすましは普通に起こりえる事なので、事業者はなりすまし問題が発生することを前提にシステムを構築しておくべきだ。


・売買契約とカードによる立替払い契約

A.売買契約が有効に成立している場合

 真正な個人情報による契約である場合は売買契約は成立するし、架空住所氏名や無記名の契約であっても、申込者に承諾通知が到達していれば売買契約は成立していると判断できるだろう。

 売買契約が成立していれば、カードによる立替払い契約がなりすましによるものである場合は、カード会社となりすまされた人の問題で、帰責事由がなければなりすまされた人に支払義務はない。事業者は商品もしくはサービスは提供しているので代金の請求方法だけの問題で、事業者を善意の第三者とする解釈も可能だろう。この場合は、カード会社から金が入ってこないので、事業者は申込者に対して新たに支払を請求することになる。

B.売買契約が無効となった場合

 他人になりすました売買契約が法律上無効になるのは明確だ。なりすましによる売買契約の場合、契約不成立で契約そのものが存在しないことになる。いかに商品を発送していようが、サービスを提供していようが、なりすまされた本人(名義人)と事業者間の契約は無効なのだ。いかなる売買契約も商行為も存在しないことになる。(ここ重要)

 この状況で、カードによる立替払い契約が別個に存在するのはおかしい。こんな支払契約は商行為の存在しない架空請求だ。ただ、売買契約と支払契約にタイムラグがあるので、一時的に支払契約が存在するのは仕方がないが、なりすましによる売買契約と判明した時点でカードによる立替払い契約は解除すべきものだ。事業者を善意の第三者とすることはできない。なりすましによる売買契約かどうかは事業者にしか分からないからだ。一時的に引き落とされたカード支払の返金を事業者に求めるのは何らおかしくはない。

 なりすましによる売買契約にもかかわらず、カードによる立替払い契約が有効であるとすると非常におかしなことになる。カード契約によりカード会社から事業者に金が支払われることになるが、商行為の存在しない金が事業者に入ることになる。事業者は架空請求か詐欺を働いたことになる。犯罪そのものだし、犯罪者は事業者でカード会社は善意の第三者となる。

・なりすましによる売買契約の確認は事業者の本質的義務だ。

 なりすましによる売買契約であるにもかかわらず、カード支払を求めるのは犯罪行為と言っていい。事業者は犯罪行為を行わないためにも、なりすましによる売買契約であるかどうかの確認は優先度の高い義務といえるのではないか。


★コメントに書かれていた以下のことがどうも腑に落ちない。

>>これまで私が支払った費用で、クレジット会社の免責外になる費用を返してほしい!と主張しましたが、彼らは、返金義務はない。我々も被害者だ!という主張をなされて、話になりません。

現行の電子商取引ではこのようなことは起こらないはずだ。帰責事由がない場合、カード会員に支払義務はないので、金銭的被害は一切発生しないはずで、一時的に金銭的被害があっても速やかに返金されるはずだ。アリコ事件の場合も被害者に金銭的被害がないような事後処理をしているし、私がカード不正使用被害にあった時も金銭的被害はなかった。なりすまされたカード所有者に金銭的被害が及ぶようになれば、ネット上のカード支払いシステムは崩壊してしまうだろう。ランダムにカード情報を作成したり、一つのカード情報から他のカード情報を作成することもできるらしいので、カード情報の漏えいがなくても被害は起こる。カード所有者はいつ被害にあうかもわからないが、なんとなく金銭的被害まではないだろうと信じているのだ。



yoshy2k7 at 05:14│Comments(5)clip!

この記事へのコメント

1. Posted by     2009年08月02日 16:58
だから〜、売買契約になりすましが発生してない、発生していたとしてもコメの人とは無関係の所の話なので、Aの状態なんだけど?
カード会員、カード会社、不正利用者、これだけで完結してて、■はたまたまその不正利用が行われた場所でしかないの。
それとコメの人に帰責事由が無いってなんで分かるの?あなたまだ帰責事由という言葉を分かっていないの?
2. Posted by     2009年08月02日 17:05
>>発生していたとしてもコメの人とは無関係の所の話

これを削除する。
3. Posted by 通りすがり   2009年08月03日 04:27
本人にカード不正使用者が真実の所持者であるというような外観を生じさせたことにつき帰責性が認められないなら、表見代理の規定を類推できる余地もなく、本人と■間に契約は成立しないのだから、例え本人―カード会社間、カード会社―■間で別個に支払いが行われたとしても、そもそもカード会社―■間の支払い義務も発生していなかったということで法律上の原因を欠き、■の不当利得の問題になるんじゃないの?
つまり、まさにAの状態かどうかを出発点として争うことになるんじゃないの?教えて偉い人。

だからこそ「それとコメの人に帰責事由が無いってなんで分かるの?」ここには同意。

「あなたまだ帰責事由という言葉を分かっていないの?」馬鹿だからよく分からん…というかずるい表現だと思った。
「カード会員、カード会社、不正利用者、これだけで完結してて〜」主張によるんじゃないの?

易しく頼みます。
4. Posted by    2009年08月03日 06:24
売買契約とカードによる立替払い契約は別個であるとは別コメに書きました。ここの主は、売買契約が無くなっても立替払い契約が残るのはおかしいから別個ではないと主張していますが、売買契約という前提ありきの立替払い契約ですから、前者が無くなれば後者も無くなるのは当然で、これがそのまま両者が別個であることの否定にはならないのです。
元の話は逆であり、立替払い契約がおかしければ即座に売買契約もおかしい、とはならないというものです。それどころか、立替払い契約がなりすましだから売買契約もなりすましであるかのように書いているのですね。これが要するにBなのですが、そんなことは元々コメに書かれていません。売買契約自体はコメの人と■の契約ではなく、不正利用者と■の契約なのでA、成立していると看做すしかありません。成立していないとしても別問題で、カード会員がなりすまされた売買契約だから無効、とするBにはなりません。
そしてA自体がその「完結」の範囲ですよね。ただ、そもそもこの件はコメ欄に寄せられた十数行しか判断材料が無く、帰責性があるかどうかは全く分からないのです。なのに★以降の文、コメの人に帰責性が全くないかのように書いているのを見れば、本当に分かっているのかと疑わしくも思えるでしょう?

■の不当利得ではないかとの疑問は、■とカード不正利用者間の売買契約が先行し、既に消費された財物についての対価として支払われた物が盗品に準ずるものであり、それについて■は善意であったため保護されると解釈すべきではないでしょうか?
5. Posted by 3   2009年08月03日 16:12
ありがとうございます、大体理解しました。
というか、疑問に思っていた部分は同じのようです。
最後の疑問についてはこちらの意見を付け足したい気持ちもありますが、他人のブログのコメ欄で延々議論はできないので、この辺で失礼しようと思います。

いずれにせよ、難しそうという認識は共通していますが。
丁寧な回答ありがとうございました。

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