年初の頃に私は、中国は今年が中国共産党結成100周年だから経済活動の腰を折るような事をすることはなく、株式市場にもプラスの作用が働くだろうと思っていました。

ところが、アリババの創業者ジャック・マー氏の失言の影響から、アントの上場廃止・アリババへの独占禁止法による罰金と、中国当局の圧力が高まり、それはジャック・マー率いるアリババグループだけではなく、中国のIT企業全体へと波及する事になりました。

国際競争力を高めるために、今まではIT企業が巨大化していく事については放任主義だった中国当局は、態度を一変させて、今では強い規制を行うようになりつつあります。

確かに今や巨大IT企業は、それだけで小さな国家の年間予算ぐらいの売上や利益を叩き出すほどの規模にまで成長しており、ほぼすべての国民が使用する事になっているサービスなどは、使い方によっては一党独裁の今の政権の基盤すらも揺るがしかねない影響力を持っているとも言えます。

流石にここにきて中国当局もIT企業の巨大化に警戒感をあらわにしており、特に当局に反抗的な態度や批判的な発言、企業に対する指導(暗にこうしなさいよという圧力を含む)に従わないなどのケースが見受けられるようであれば強い姿勢で臨むようになりました。

最近では、滴滴出行(DIDI:ディディ:配車アプリ)が米国市場にIPO(新規上場)した数日後にアプリの新規ダウンロードを禁止してアプリストアからアプリの削除命令を出すという非常に強い処置を行いましたね。

インターネット規制当局は海外に上場を予定する中国企業について、「100万人超の個人情報を保有する企業が海外で上場する際、必ずネットワーク安全審査弁公室のセキュリティー審査を受けなければならない」と新たに定めており、人口が14億人になる巨大市場の中国において、100万人の利用者となると人口のわずか0.07%となる事から通常のIT企業であれば全てが規制の対象となります。

新たに米国市場に上場する企業は、この規制の対象となり米国市場に中国ITベンチャー企業が上場することを事実上防いだ形になります。今後は香港市場及び本土市場への上場を促す事になるのでしょうね。

ここまで中国当局が米国への上場を警戒しているのは、米国市場に上場する事で上場時に審査する企業情報の中に中国企業が取り扱う個人情報やデータベース等が含まれる可能性がある事から、アメリカ政府に情報が渡ってしまう事を極度に警戒しているという事になります。

なので、今の中国IT企業は中国当局からの強い圧力にさらされており非常に不安定です。

今後も、中国政府からどんな規制が出てくるのか? どんな制裁が行われるのか? が不透明であり、中国政府だけでなく米国政府も中国企業に制裁を課したり、中国企業に投資をすることを禁止したり規制を掛けたりするかもしれません。

一時は、中国の巨大IT企業であるテンセントやアリババへの投資を禁止することを米国政府(トランプ政権)が本格的に検討しており、結局は影響が大きいという事で撤回することになったのですが、米中の摩擦が高まれば投資禁止への動きが再発する可能性は充分にあります。

リスクを感じる投資家や機関投資家などはテンセントやアリババなどの中国IT企業への投資を辞めたり控えたりするようになってきています。

しかしその反面、株価は非常に割安になってきており、テンセントやアリババなどは3年前の株価水準となっているので、成長性から考えると非常にお買い得な水準となっています。

私は、すでにそれなりの金額・株数をテンセントやアリババに投資をしているので、買い増しは控えていますが、新規にテンセントやアリババに投資をするのであれば少しずつ買っていっても良い水準だと思っています。

もちろん、今後の動向によっては更にさがる可能性もあるので、一気に資金を突っ込むのは危ないかもしれませんので、少しずつ様子をみながらインしていくのがいいのではないかなと思っています。

現在は、不安定な中国IT企業ですが、その分魅力的な水準になっているとも感じます。


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