2019年09月18日

ハモニカクリームズ @ Parlor、御殿場

 今回はトリオ。やはりあたしはトリオの方が好みだ。ドラムスが入って、強力にドライヴするハモクリも良いのだが、3人各々の演奏が内部までしっかり聴けて、その絡みもよくわかる方が面白い。どこでユニゾンして、どこでハーモニーになり、どこは掛合で、どこはソロをとるか。ギターのカッティングの変化、ハモニカの楽器の交換による音色の変化、フィドルのエフェクタの切替。超高速パッセージで突っ走りながら、そういう細かい変化を織りこんでゆくのが、このバンドの醍醐味だ。ゆったりじっくりはどちらかというと、個々のソロを展開するための母体になる。

 トリオのせいか、いつもよりフィドルの音量が大きく、よく聞えるのも嬉しい。それに呼応するように、ハモニカでとんでもなく高い音域の楽器を使うのがまた面白い。ブルターニュのバグパイプ、ビニューと同じくらい。

 もう一つ、今回の特殊事情はロケーション。スケジュールの都合で、メンバーのうち二人は22:25発御殿場線最終国府津行きに乗らねばならない。あたしも同じ電車に乗らねばこの日のうちに帰れないから調べたが、万一これを逃すと、新松田までタクシーを飛ばすことになり、1.5万はかかる。終演時刻の縛りがきついのだ。

 もちろん、こういうことは初めてではないだろうが、緊張感はやはり質が違う。限られた時間に全精力をぶち込む勢いが違う。このバンドの場合、演奏の切れ味が一段とシャープになる。たとえば、〈Speak Easy Roll〉イントロのハモニカ・ソロ。いつ聞いてもこのソロは凄いが、テンポをまだ上げないところの密度の濃さ。

 そしてその次の〈時間泥棒〉。録音も含めて、これまでに聴いた最高の〈時間泥棒〉かもしれない。何が凄いか。間奏部の即興はもちろんだが、メインのメロディを細かく、ごくわずか崩したりオカズを加えたり、あるいは4分の1拍ずらしたりして変形する、そのスリルがたまらない。一見、ラフに奔放に演奏しているように見せながら、実はおそろしく緻密に演っているその対称の妙。それはこのバンドの音楽全体に言えるが、この曲にはその手法のメリットが凝縮されている。

 聴衆の反応がまたいい。清野さんがアオるせいもあるのだろうが、それだけでなく、演奏の機微に敏感に反応する。ほとんどは地元ないしその関係者だろうか。帰りの電車にはあたしらの他にはそれらしき人はいなかった。あるいは皆さん、車で来ていたのか。

 御殿場線は初めて乗る。やはり初めて乗る線は楽しい。乗り鉄というほどではないが、列車に乗るのは好きで、ずっと外を眺める。箱根の外輪山の外側を通るので、山の陰になり、暗くなるのが早い。今度はもっと明るい時間にのんびりと乗りに来よう。

 早く着いたので、会場の場所を確認しようと歩いていたら、旨そうなラーメン屋があり、ちょっと迷ったがどうせ食事はせねばならないし、思いの外、寒かったので、入ってみる。煮干しダシの品を頼んで、なかなかの味でござんした。

 ふだん行かないような場所でのライヴはやはり面白い。そこへ行くことそのものがまず面白く、いつもとは雰囲気の違うところで聴くと、音楽も新鮮だ。山小屋でのアイリッシュ・ミュージック・キャンプも行きたい。今年は仕事とかち合ってしまったが、いずれ、チャンスがあるだろう。(ゆ)


ステレオタイプ
ハモニカクリームズ
Pヴァイン・レコード
2018-03-28




yosoys at 12:07|PermalinkComments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック イベント