2008年06月11日

納得いかない言葉狩り

一連の雷句氏の騒動で、サンデー連載作家が以前にブログ等でこぼした編集者に対するグチというか、批判がネット上で再度クローズアップされてきています。

その中で私が気になったのは「絶対可憐チルドレン」の椎名高志氏の話です。
椎名氏はけっこう編集者に対するグチをこぼします。

さて、その椎名氏の話ですが、
作中で「外人」という言葉を使いたかったのだが、NGで、
「外国人」ならOKと言われたが、言葉の響きが気に入らず、
ならば「外人さん」ではどうだ?と、折衷案を編集者に提案しますが、
それでもやっぱりNGだったと・・・

それだけならまだ「仕方ないね」ですむ話なんですが、
問題はここから。
その後「名探偵コナン」にてフツーにその
「外人さん」
というセリフが使われていた・・・・

だいたいそんな話です。

何年もサンデーで描き続け、小学館漫画賞まで受賞した
(渦中の雷句氏も小学館漫画賞受賞者ですね)
椎名氏に対してもそういう仕打ちをするサンデーの編集者・・・
コナンほどの超特大ヒットを飛ばさない限りダメってコトでしょうか?


・・・実は私もサンデー時代に全く同じ様な体験をしました。
椎名氏も公にしてるんだし、もうこの際だから私も話しちゃいます。

作中に私は「閉所恐怖症」という言葉をつかいたかったのですが、
病名だのなんだのウンヌンいわれて使用不可。
仕方なく「暗い所が怖い」なんて説明的な文に変更しました。

だが、後に私より少しデビューが遅い新人さんの作中にて、
平気に「閉所恐怖症」という言葉が使われていました。

つまり、サンデー編集部にはNGワードのガイドラインとかがあるワケでなく、
すべて担当編集者の独断・・というか、肝っ玉や尻の穴のサイズ次第なのです。
で、担当編集者の段階でOKでも、編集長とか上がNGを出す・・・
なんてコトもザラです。

それにしても編集部一律で禁止用語あるならあきらめつきますが、
担当した編集者次第で使える言葉や使えない言葉あるなんて今でも納得いきません。

当時は自分が新人だからナメられてるだけだと思ってましたが、
椎名氏ほどの作家も同じ目にあってたなんて・・・
ハァー・・・ため息でちゃいますね。


けれど、こうして作者承諾で言葉を変更するのはまだマシです。
私の連載が後半になると、もう勝手に承諾無しでセリフが変更されてた・・・
なんて事もありました。

「寿司屋」が「お寿司屋さん」にされたのですが、
もっともこれは「ウチの寿司屋は日本一」といった
シブがき隊の「スシくいねぇ」の一節からとったので、
「ウチのお寿司屋さんは日本一」なんてふうに変更する事で
ジャスラック対策したのかもしれませんね。

そういえば、「ジャスラックに金払う事になるから歌詞とか載せない様に」
って担当編集者から私はクギをさされていました。

大手出版社なのにケチ臭いというより、
ただ単に申請するのが面倒なだけだったんでしょうね。きっと。


yota874harahara at 09:53コメント(21)トラックバック(0)「サンデー」の話 | 自作の漫画話 

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コメント一覧

1. Posted by     2008年06月11日 19:50
大変興味深い話ですね
しかし事が病名となると担当編集者さんの主張は正しかったかもしれません。

病気の場合、それを真剣に悩んでいる読者もいるかもしれないということで遠回しに表現したりするというような事を聞きました。

実際に閉所恐怖症という言葉で傷つく人がいるかはわかりませんが、そういう人のために配慮したということならば納得できそうです。

まあ単純にその言葉を使いたくなかっただけなのかもしれませんがね。
2. Posted by 元サンデー愛読者   2008年06月11日 21:46
皆川亮二先生の「D-LIVE!」でも、「外人」としたほうがすっきりするのに「外国人」と書いてるシーンがありました。
てっきりサンデーの方針だと思ってました…ひどいですね。

編集部内では青山先生>>>>>皆川、椎名両先生というふうにランク分けされてるんでしょうか。
3. Posted by     2008年06月11日 22:03
私が『閉所恐怖症』と言う言葉を知ったのがサンデー御大・高橋留美子の「うる星やつら」だったのですが。
もう何と言って良いか。
4. Posted by t/s   2008年06月11日 23:02
>「うる星やつら」だったのですが。
>もう何と言って良いか。
差別語の基準は時代で変わるから、その批判(ですよね?)は批判に当たらないかと思います。
子連れ狼、いつだか再放送してたらピー(自主規制)音の嵐でしたよ。

私は、事象を示す言葉そのものに差別はなく、言葉を使う、また受け取る人間の意識次第で差別が生じると考えています。(この受け取る側次第ってのがムズカシイ問題で)
「足が不自由」がよくて「うましか(漢字)」がダメなら、「頭が不自由」なら良いのか?と。まぁそういう風味です。

編集部のダブルスタンダードに納得いかない気持ちはわかりますが、根本的には読者(=世の中)次第で基準が変わることと、表現者としての漫画家の主張と。その辺をどう折り合い付けるのかの問題なのでは?と思います。その意味では編集者の懸念も一考の余地があるのかな?と今回は思いました。
5. Posted by ちく   2008年06月11日 23:42
5 かの安永航一郎氏が海底人類アンチョビーを連載されているときに、「この辞書に載っていない単語が使うな」と辞書を渡されたので・・・
という都市伝説?がネットに流れてますね。
6. Posted by 寺坂康四   2008年06月12日 00:03
私の場合は○子賞の応募の段階で編集者の意向で製作していました。
怪我で車イスに乗っているだけでボツって事もありましたが、それでも担当の編集者さんと息が合っていたので良かったのです。
しかしデビュー直前で編集者が変り、それまでの路線が180度変えられたので、若い私は猛反発して今にいたってます。
今でも後悔はしていません、自分の好きな作品が自由に描けますから^^。
でも言葉には気をつけています、とにかく人を傷つける言葉だけは使わないように気をつけています。
7. Posted by 原田 高夕己   2008年06月12日 00:36
うわ・・・
こんなにコメントつけていただいてる・・・

>「1・名無し」さん
仰るとおり、病名を使用すると、その病気で苦しんでいる方が不快に思う事はあるでしょう。
しかし、全てに配慮したら、漫画の登場人物は全員健康体でなくてはいけません。
とはいえ、全く何も配慮しないのも問題・・・
難しいですね。

>元サンデー愛読者さん。
ランク付け・・・してるかもしれません。
に、しても新人ならまだしも
皆川氏ほどの作家に対しても・・・
ハァー・・・

>「3・名無し」さん
私も「うる星やつら」の面堂のパロとして、
「暗い、狭い、怖い」と叫ばすギャグをしたので、差別ウンヌンは大丈夫だと思って、使おうとしたのです。
もし、高橋先生のパロが理由でNGだったなら、
正直にそう言ってくれればいいのに・・・


8. Posted by 奈々氏   2008年06月12日 00:47
>ちくさん
それは確か「頑丈人間スパルタカス」の単行本に載っていたコメントだと記憶しています。
現物が手元にないので確認できませんが。

80〜90年代の頃、あからさまに編集部主導で漫画を描かせている(ように見えた)ジャンプやマガジンと比べ、サンデーは漫画家の作家性を尊重していたように感じていたのですが、幻想だったのでしょうか。残念です。
9. Posted by 原田 高夕己   2008年06月12日 00:52
>t/sさん
確かに過去は使用できて、
現在は使用できない言葉はたくさんあります。
そして、ご指摘どおり、言葉ではなく、それを使う人間次第で差別かどうか違ってきます。

言葉の使用について、キチンと編集者と議論できるならば納得いきますけどねぇ・・・
それが出来なかったのが悔やまれます。

>ちくさん
安永氏のその都市伝説は私は知りませんでした。
後で調べてみましょう。

けど、安永氏はどこまでギャグか本気かわかりませんよね。

>寺坂康四さん
児童誌はきっと少年誌以上に厳しいでしょうね。
お察しします。

私も言葉には気をつけたいとは思ってますが、
ジャンルがギャグなだけに、どうしてもツッコミのセリフなどは攻撃的になります。
「差別を気にしたら面白いギャグは描けない」
と、いう意見もよく聞きますし・・・
本当に言葉の問題は難しいです。

>奈々氏さん
ジャンプやマガジンはどちらも編集方針が明確で(アンケート至上主義や編集者主導主義)
その分読者にもそれがよく知られていた分、
サンデーの編集部は比較的よいのでは?なんて、思ってしまいますよね。
けれど、どの編集部にもしっかりした編集者は必ずいると信じています。


10. Posted by スコシ   2008年06月13日 00:16
はじめまして。モテモテ王国関係でたどりつきました。(7巻買いました!2冊w)

どなたも書かれていないようなので一応参考までに。「外人」は、「害」人をイメージさせる等の理由で、差別語として捉えられる事があるらしく、「外国人」という表現を使うのがトレンドのようです。

編集者さんのリスク回避策だとは思うのですが、ガイドラインがなかったり、理由が説明されてないのであれば、それはちょっといただけないですね。天下の出版社なのに。
11. Posted by E-Ju   2008年06月13日 00:59
一つ、ありうるとすれば、椎名高志さんのときは、石原が声高に「三国人」と叫んでいた頃で、一時的に「外人」に神経質になっていたかもしれません。
で、コナンの時には、沈静化していたとか。
椎名高志さんのケースが、いつの話かは知らないのですが。
一般論で言えば、統一した明確な基準が編集部として存在するほうが好ましく、不透明感を漫画家に与えると編集部への信頼を失う結果になっても仕方ないですね。
個人的には、「外人」に「排他性」を感じるので、軽い嫌悪感を抱きます。
コナンのときにも、引っかかったような気がします。随分前のことなので、曖昧な記憶ですが。
12. Posted by E-Ju   2008年06月13日 01:08
ちなみに、テレビで消されるのには十年もかかりません。遅くとも1987年にはガンダムの「乞食」は消されていました。十年位前には、「めくら撃ち」の「めくら」さえ消されていました。
面白いことに、現在Gyaoで配信中の「マッハGoGoGo」では「めくら」が消されていませんでしたがw
地上波だけは、視聴率が極端に高いので、かなり厳しいですね。

また、十年位前の「あぶない刑事」は無音の嵐でした。何に関する会話をしているのか、さっぱり分からないくらい。
どんだけ危ないことを話していたんだよw
13. Posted by 原田 高夕己   2008年06月13日 08:51
>スコシさん

昔はプロ野球で期待はずれの外国人を「害人」などと言ったモノです。
いくら昔とはいえ酷い表現でしたね。

> E-Juさん

ああ、成程。時節のタイミングってのもありますね。
最近の様にナイフを使用した痛ましい事件があった時は漫画の中でナイフとか描けなくなりますし。

「あぶない刑事」なんて比較的最近の作品なのに・・・
って、そう思うってコトはそのぶん私がオッサンになったってコトか・・・
14. Posted by babyblue   2008年06月13日 10:01
>つまり、サンデー編集部にはNGワードのガイドラインとかがあるワケでなく、
>すべて担当編集者の独断・・というか、肝っ玉や尻の穴のサイズ次第なのです。

初めてコメントさせていただきます。
これは編集者の方にとっても不幸な話ですね。
言葉狩りというか最近はネットやテレビで「不謹慎」とされた言葉の
揚げ足を取られて大騒動に発展するという事もよく聞きます。
そこを編集者・・というか一社員の裁量に任せられているのであれば
「何か起こったとき」もその社員の責任追及という形になってしまいかねない。

15. Posted by 原田 高夕己   2008年06月13日 10:45
>babyblue さん

サンデー編集部は全体の統制がとれてなかったという事でしょうね。
確かに編集者も大変です。
他社に比べ、人数も少ない様ですし。

肝っ玉・尻の穴という表現は下品だったかもしれませんが、一応ギャグ漫画かいてる身なので、ブラックジョークと受け取ってください。
16. Posted by イチ編集者   2008年06月15日 04:27
はじめまして。
雷句先生の件からたどり着き、エントリを読ませていただきました。
自分もイチ編集者(株小学館とは関係ありませんが)として、
「台詞修正のルール」について、少しだけお話させてください。

台詞のレーティングについては、
編集部単位でのルールが必ずあります。 
(※読者層によってokラインが変わるため、個々で作っているはずです)
ただ、グレーゾーンな言葉に対する個別な対応(ここでは「●●屋」「外人さん」など)に関しては、
その都度、編集部で判断しているのだと思います。
ただ、言葉のレーティングには時勢が関わるため、
過去にOKであった言葉が現在は載せられなかったり、またその逆もあるのです。
(※文脈から判断する言葉の使い方によっても、OKとNGに分かれることもあります)

17. Posted by イチ編集者   2008年06月15日 04:33
エントリの件は、編集者の個人判断の可能性もありますが、
校了までに何人もの編集者の目を通るため、個人判断のまま押し通せるとは思えません。
(さすがに、売れてる人だから修正しないということはありえないことです)

■「漫画は全ての性別、年齢、状況の人が読む可能性がある」
この観点から、台詞については作家さんの書く通りにできないこともあります。
「なぜ修正を必要とする言葉なのか?」
ここを説明することで、言葉狩りではなく「読者さんへの配慮」なのだと作家さんにも理解してもらっています。

とりとめなく書いてしまいましたが、
台詞の修正は非常にデリケートな問題なので、編集も常に試行錯誤しております。
精進いたします。

あと、JASRAC許諾料は本当にかかります。
一人が使うとみんなが使いたくなるのが人情で…難しいところです。
18. Posted by イチ編集者   2008年06月15日 04:44
すみません、最後にもう1点だけ。

>寿司屋→お寿司屋さん
この言葉の修正は、JASRAC対策ではないと思います。
説明はここでは割愛させていただきますが、同様に「床屋」なども配慮が必要な場合があります。

言葉のラインは難しいですが、それでも漫画はどこまでも面白いと信じて日々読み、日々作っております。
立つ位置は違いますが、頑張りましょう。
19. Posted by 原田 高夕己   2008年06月15日 05:27
>イチ編集者さん。

なるほど、勉強になります。
こういう事をキチンと担当編集者に説明していただきたかったですね。
編集者も大変だと思いますが、面倒だからと、そういう共同作業を避けられたら悲しいです。

しかし、やはり、同じ雑誌なのに、時期的な問題も無いのに、あるコトバを使えたり使えなかったりというのはどうなのでしょうか?

「ナントカ屋」も難しい事は存じてますが、
なぜか例の「床屋」はそのまま載せる事ができました。
もう、何が何だか・・・

あと、小学館に関係ないって・・・本当ですか?
まさか、当時の担当さん?
って、まさかこの騒動の中ありえないですよね。

20. Posted by TM   2008年06月26日 13:39
作品によって対応が違うだけでは?
同じ言葉でも,使い方次第で苦情が来るか来ないかが変わるでしょう.
ギャグマンがの中で 外人 と使っていれば批判が来易いとか
あるいはシリアス系であれば来辛いだとか.
そうした傾向は,人間的で高度な判断が必要になり,ガイドラインで機械的に処理できるものじゃありません.
だからこそ,そういう判断をするために編集が居るのでは?
21. Posted by 原田 高夕己   2008年06月27日 09:08
>TMさん。
説明不足でしたね。
私が規制された言葉「閉所恐怖症」についてですが、それを普通に使えた新人作家の方は私と同じギャグ漫画作品でした。
使い方もさほど差異のあるモノではありません。
ギャグとストーリーで使える表現や使えない表現がある事は担当者から聞かされていましたよ。

で、「外人」の件はただ例に出しただけで、これは椎名高志先生の話だから、当人に聞かないとわからないですね。
ちなみに私は「外人」という表現は使った事はありません。

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