2008年07月05日

初めてのアシスタント

私が初めて漫画家のアシスタント経験したのが、19歳の時でした。
その漫画家は師匠であるながいけん閣下ではありません。
特定されると色々厄介なので、詳しくは書けませんが、
とにかくサンデー系の漫画家の方です。

今でも私は絵に自信ないのですが、
なにしろ当時は19歳のドシロウトです。
今以上にアシとして役に立つ訳がありません。

編集者に電話口でその先生を紹介された時に私はまず
「絵が下手だから役に立つ自信がないですよ」
なんてあらかじめ断りをいれました。
(当然事前に自分の描いた絵をファックスで送ってはいましたけど)
「ああ、大丈夫。ウチは明るい人とか性格優先だから」
・・・その先生の言葉を聞いて私は正直ヤバイと思いました。

なにしろ私ときたら絵に自信が無いだけではなく、
性格にも自信がありません。
そして自信がある事と行ったら根が暗い所ぐらいなのですから・・・






不安はあるが、せっかくもらったアシの仕事。
せめて迷惑かけない様に頑張ろうと誓い、
最寄り駅で待ち合わせた先生に連れられ、
仕事場兼住居のアパートに案内されるまでの道中を
出来るだけ無理に明るくふるまいました。

で、その仕事場兼住居みて少し驚きました。
そこにはチーフアシの方が一人で待っていました。
机は三つ。

週刊で20ページ描いている連載作家というのは、
だいたいアシが3人くらいいるモノです。
その方はまだ新人とはいえ、すでに二度目の連載なのに、
全員で3人体勢でやっていたのでした。
・・・今思うとサンデー編集部は充分な連載準備期間を設けていなかったのだと思います。
だから、私のようなドシロウトのネコの手をも借りたかったのでしょうね。

とにかく、先生とチーフとドシロウトの私の三人で20Pの漫画を描かなくてはいけません。
緊張しました。実力的にもフリーハンドで風の線が何度も描けずに、
最終的に先生が描く事になったりと、全然役にたちません。

それに、仕事中は普通私語をしないのが常識ですけれど、
その先生はストレスを紛らわす為に仕事中もしゃべりっぱなしでした。
最初のうちは何とか会話について行こうと必死でしたが、
絵もうまくかけないわ、先生とチーフが仲良くて会話についていけないわで、
二日目は完全に黙々と仕事するだけで必死になってしまいました。

そしたら突然先生は切れたトーンで
「あー!会話が無いなぁ!なんでだまってんの!」
と、叫びました。

そこで私も普通に「スイマセン」ですませばいいモノを
「・・・いや、オレも最初は必死で話について行こうとしましたけど、絵もうまくかけないし、先生はチーフと仲がいいみたいだから、その会話の中に割り込むなんて出来ないですよ!」
まさか反論するとは思わなかった先生は面食らった様子でしたが、
私はなおも続けます。
「先生、最初電話で『ウチは性格優先だから』っていいましたよね?」
「ああ、言ったね・・・」
「それ聞いたとき、ああヤバイなと思いました。それでも自分なりに明るく振る舞おうとがんばってみたんですが・・・やっぱオレって何もかもダメなんですね・・・」
その時は本当に屈辱的で半泣き状態でした。
「あー・・・ああ、それならいいよ・・・そんな無理しなくても、たださ、こっちが呼ぶ時だけでも返事してもらえればさ・・・」
先生もチーフも完全にドンびきです。
私は返事はきちんと返してたつもりなんですけどね、
きっと意気消沈して声が小さくなってたんだと思います。

・・・まぁ若さゆえの認識の甘さというか、元々ダメ人間だというか、とにかく散々でした。
食い物はカップラーメンだけでしたしね。

中でもチーフから直接頂いたお言葉、
「絵が下手なら下手なりに覚えようって気をみせてくれるならこっちも教え甲斐があるんだけどね」
これは今でも覚えていますよ。ええ、忘れるモノですか。

最後に先生はアシ代くれる時に
「ごめんね、色々言っちゃったけど、オレ怖い人じゃないから。来週もよろしくね」
と、言ってくれました。
てっきりクビになると思ってました。

いや・・・本音はクビにして貰いたかったのです。

それから一人で色々悩んだ末に、私は先生に電話をいれました。
「スイマセン。これ以上使ってもらっても迷惑になるだけなので辞めさせて下さい・・・」

なんというヘタレでしょう。
そんなの突然辞められるほうが迷惑に決まってます。
紹介してくれた編集さんにも後で呆れられてしまいました。

しかし、まあ、こういうのは担当編集者と同じく相性ってのありますよね?
ここで辞めたから後に尊敬できる師匠のながいけん閣下のアシになれたのだし・・・
と、こうして自己弁護する所がヘタレなんですね。

とは言っても、その先生の所には三日しかいなかったのですが、
それでもプロとしての技術的な面とかかなり勉強になりました。
そのまま辞めずに居たらかなり技術的に上達していたろうと思います。

正直嫌な思いをしたんですが、それはその先生とて同じだったんでしょうね。
その先生も編集者とのやり取りに苦労してストレスたまってたのかもしれないし、
・・・と、これ以上何か言うのはやめときましょう。

この先生が誰なのかって質問は一切うけつけませんのであしからず。
あ、念のために言っておきますが、雷句氏ではありませんよ。







yota874harahara at 23:23コメント(2)トラックバック(0)漫画修行時代 | 漫画家に関する話 

トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by 寺坂康四   2008年07月06日 11:09
5 お久しぶりです^^/

少し落ち着いてきたみたいですので
コメント書かせていただきました。
アシの仕事は誰でも大変ですよね、
でも、今思えば、あの時なぜ先生に
もっと感謝しなかったのか思うばかりです。
幸いにも先日自分の原稿を送って電話で
感想をお話してくれました。

っと少しお話がそれましたが、
せっかくのブログですし、画像も載せる事も
可能と思いますので原田さんのマンガを
ここでみたいです^^。

なにしろ、ここは自由なマンガを載せる事が
できる世界ですので。
2. Posted by 原田 高夕己   2008年07月07日 09:46
>寺坂康四さん。
お久しぶりです。
本当に・・・連載してる時に得られなかった知名度(?)が、開店休業中の今になって・・・ねぇ。

寺坂さんの様にホームページで自作を発表するのは、読みやすいのでよさそうですが、ブログだと少々読みにくくなりそうですね。
あと、新作はなるべく雑誌に掲載してほしいと思ってますし、ボツ作品は恥ずかしいので封印したいんですね。ワガママでスイマセン。

だけど、ネームの様なかんじのラフな短い漫画は載せてもいいかもしれませんね。
載せるなら何を描きましょうか・・・
そうですね、大好きな「まんが道」の原田バージョンなんて・・・ってまた暴露になる予感がw

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
livedoor プロフィール
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

月別アーカイブ
最新コメント
楽天市場
livedoor × FLO:Q
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ