2008年07月22日

学生漫画家K先生

アシスタント時代の思い出話。これでラストです。
今回もイニシャルが同じ「K」の先生ですね。

この先生は大学生でありながら、週刊連載という離れ業をやっていた、
ギャグ漫画家の方です。
ヘルプに行った当時、私と同い年か一つ年上だったと記憶しています。

この先生の作品を手伝うキッカケは師匠のながいけん閣下にあります。
「モテモテ王国」無念の中断によって、サンデー本誌に何週か穴があいてしまいました。
すでに私は増刊デビューしていたのですが(連載はまだ)
本誌穴埋めデビューなんてそんな都合良くはいきません。
本誌の穴埋め読み切りの仕事の依頼を突然されたK先生のヘルプの仕事が関の山でした。
ちなみに、私と同期デビューの福原だりお先生はこの時に本誌デビューをしてます。

それは今でも悔しくおもってますぞ・・・
今度飲む時にまた愚痴ってやりましょうか。ねぇ、だりお先生w

話をもどして、
K先生も読み切りの仕事依頼はうれしいのでしょうが、
突然何も無い所から一本の作品を三日で仕上げればならないのです。
かなり戸惑っていた様子でした。

先述どおり、K先生は大学生だったので、
週刊連載中は漫研仲間にアシをしてもらった経験しかなく、
どこの馬の骨ともわからない私の様なアシを雇う事自体はじめてだったそうです。

だから最初に電話でお話した時もK先生はアシスタント代の相場がわからず、
私にどれくらいの金額を渡せばいいのか不安がってました。
・・・いや、そんな怖がらないでも、私強盗じゃないのに・・・。

そして翌日、私はK先生の仕事場に向かいました。

(追記は長文になります)


K先生は連載中は仕事場としてアパートで一人暮らししてた様ですが、
この時は連載も終わり、実家にいて、そこで読切作品を描く事になりました。
都内某所の高級住宅地に近い所に建つ、瀟洒な一件の家。
それがK先生のご実家でした。

K先生は作品のイメージ通りの好青年でした。
物腰も柔らかく、年下か同い年の私に対しても敬語でした。

まず、私が「モテモテ王国」のアシで描いていた背景をみせると
「これなら充分すぎるレベルですよ」
なんて社交辞令でしょうが、そう言ってくれ、
いきなり作品の背景の作業を頼まれました。

そしてその背景が出来、それをK先生にみせると
「こんな本格的な背景かいてもらったのはじめてですよ」
雑誌の小さな写真を元に遊園地の背景を描いたら、
「スゴイ!あんな少ない資料で完璧に遊園地ができてますよ!」
なんて、色々と大げさに褒めてくれ、逆に恐縮してしまいます。

その他、作画作業中でも、色んな業界裏話を語って下さり、
サンデーに対する恐怖も多少かんじましたが、
どれもが興味深い話で、本当に楽しく作業が出来ました。

しかもK先生の漫画観及びギャグ観が私の持っているモノと近く、
意気投合してギャグやギャグ漫画の話で盛り上がりました。
こんな楽しくアシスタントをしたのは初めてでした。

そして、食事はK先生のお母様に作っていただきました。
鉄板にのったサイコロステーキが絶品でした。

もう何もかも充分すぎて、仕事してるなんて気がしませんでした。
(それはいけないコトですけどね)
しかし、K先生の良い人ぶりはこれで終わりません。

「もう遅くなったので先に寝室で休んでて下さい、オレはもう少し描いてますから」
と、先に休ませてくれるだけでなくイアーウィスパーまで渡してくれます。
「いや、そんな耳栓は必要ないっスよwでは、お先に失礼します」
そう言って私が寝室に入ると、そこは和室の客間。
すでに床が敷いてありました。
「なんか旅館みたいだ・・・」
と思いながら、布団めくってみてビックリしました。
その日は冬の寒い日だったのですが、中に電気アンカが入っていて布団が暖めてありました。

「うっわ・・・なんでKさんオレにそこまでしてくれんだろう?」
本当に不思議に思いました。
いったいなんなんでしょう?このいたれりつくせりぶりは?
私は王様なのでしょうか?
ここは天国なのでしょうか?

普通は逆です。
アシである私が、先生に対して、そういう行動をとるべきなのです。
思えば私の人生でここまでいたれりつくせりしていただいた経験は他にあったろうか?
いや、ありません。
まったくK先生は良い人すぎます・・・


翌日、K先生の漫研時代の友人もヘルプに来ました。
その方は超有名な某企画プロの社員の方で、
そのプロダクションの業界話も聞かせていただき、
その上、気さくな方だったので、前日と同じ様に楽しく作業ができました。

そのままずっとこのK先生の専属のアシになりたい気持ちでいっぱいでしたが、
それ以前に私は作品完成までいられませんでした。
バイトがあったのです。
以前O先生のとき使った、「仮病でバイトを休む」手法を使うつもりでしたが、
「もう完成間近だから大丈夫ですよ。先に上がって下さい」
と、K先生が言ってくれた為、名残惜しいですが、先に上がる事にしました。

「ありがとうございました。これ少ないですがアシ代です」
と、いただいた額でまたビックリです。
3万円です!
たった一泊二日いただけで、
あんないたれりつくせりして頂いたのに3万円もいただけるのです!
逆に私が金を払うぐらいに良くしていただいたのに、
色々と気をつかわせてしまい、本当に役に立ったかわからないのに3万円・・・

帰路、何度も
「貰い過ぎです!」
と、お金を返却しようと思いましたが、
そんな事をするのも失礼なので、
結局ありがたく頂戴しました。

本当にK先生は良い人で、
ものすごく良くしていただいて、一緒に仕事できて、出会えて本当によかったと思います。

しかし、さすがにアシに対し甘やかしすぎとも思いました。
もし、私がK先生の正式なアシになってしまったら、
現状に甘え、自分の漫画もかかず、デビューも出来なかったでしょう。
もっとも、それは私が元来の怠け者であるからで、
漫画家になれる人はどんな環境でもあっさりとなれちゃったりする事ありますがね。

その後、K先生はサンデーを去り、
児童誌に移籍した様です。
機会あらば、もう一度お会いし、
この時の厚遇のお礼を改めてしたいと思います。

・・・で、K先生はその後無事大学卒業できたのかな?










yota874harahara at 03:23コメント(6)トラックバック(0)漫画家に関する話 | 漫画修行時代 

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コメント一覧

1. Posted by ディープ   2008年07月23日 13:58
5 久しぶりです。
あんだけ批判されたのにどの面下げて…とお思いでしょうが、K先生の最後の近況を聞いて察しがついたので、一言書きに来ました。
K先生って、学生時代から描かれてたんですね。
最初、サンデーに載った時、絵は丁寧だけど天然だな…。と言う印象しかなかったけど、それから売れてアニメになった頃には、少年マンガの王道みたいな話を描かれていたような記憶が残ってます。しかも坊ちゃんだったなんて驚きです。
2. Posted by 原田 高夕己   2008年07月23日 23:12
>ディープさん。
あ・・・いや、たぶんドッジボールの漫画を描いていた方のコトを仰ってると思われますが、
このK先生はそのK先生とは違う方で、作品のアニメ化経験もない・・・こう言っちゃ何ですが、ちょっとマイナーな方です。

児童誌に移籍したというのもウィキペディアの情報をモトにしてるので、私は未確認なんですけどね。

詳しくかくと・・・週刊サンデーでショートギャグを連載していた方です。
3. Posted by 通りすがり   2008年08月02日 07:35
Fを描いてた人ですかね?
大学生だったんだー。個人的には結構好きでした。
4. Posted by 原田 高夕己   2008年08月02日 13:10
>通りすがりさん。
そうです。作品名のイニシャルはFで合っています。

以前なにかの雑誌の企画で、各大学オススメ漫画紹介(確か)って記事が載った事ありましたが、そこでK大漫研だけが、そのK先生の作品「F」に満票を入れてましたね。
後でそのK大生だと知って納得しました。
5. Posted by     2008年08月04日 20:41
メタルとクラシックと下ネタに定評のある、中盤から後半はタイトルと内容の関連がまるで無いあの作品ですね、わかります
背景書いてたんですかw
今度引っ張り出して見てみます
6. Posted by 原田 高夕己   2008年08月04日 23:44
>「名無し」さん
ハイ。まったくその通りの作品を描いていた先生です。
ちなみにご本人からはタイトルと内容が関係なくなった裏話もしていただきました。

あと、私はK先生の連載作品「F」にはノータッチです。
この時の読み切り作品限りのヘルプでしたし、
その作品も単行本未収録です。
なので、残念ながら見る事はできないと思いますよ。




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