2009年02月04日

「パクリ認定」について

ネットの普及は、漫画界にも当然影響を与えています。
それは受けとり手の読者側で顕著に現れていると私は個人的に感じています。

例えば、私と同じ様にブログで漫画に対しモノ申す人も多いですし、
2ちゃんねる等各種掲示板でも漫画の話は漫画界全体や、
漫画家・漫画作品全て含め盛り上がっています。

その中で一番盛り上がる・・・盛り上がりすぎて「祭り」がおきやすい話題が、
いわゆる「パクリ認定」の話題・・・

今回はそれについて語ってみたいと思います。

まずは絵に関するパクリ認定ですが、
記憶に新しい所では、2008年1月増刊号のマガジンドラゴン誌に掲載された、
新人の豪村中氏の作品「メガバカ」のトレース問題がありました。

「デスノート」「多重人格探偵サイコ」等その他もろもろの作品のコマを、
ほぼ全編トレースし、自分のキャラの顔にあてはめただけだという事で批判され、
マガジン編集部は公式に謝罪し、新聞報道もされました。

ストーリーに関するパクリ認定では、2006年ホラーM誌にて新人賞を受賞した、
これまた新人の山口ももこ氏の「恨み晴らさでおくべきか」が、
伊藤潤二氏の「なめくじ少女」に酷似していたという事件がありました。

これはネットで検証される以前の問題で、どうみてもそのまますぎて、
弁護の余地すら無いはずなのに、当初編集部は盗作ではないと言い張りました。
当然それで批判はおさまるはずもなく、結局最終的に編集部は著作権侵害を認め、
公式に謝罪するとともに山口氏の受賞も取り消す処置をとりました。

これは作者の行動もさることながら、編集部の対応がお粗末すぎました。
別ジャンルの雑誌の賞ならまだしも、同じホラー誌にもかかわらず、
そのホラー漫画界で現在最も評価され人気も高い伊藤氏の作品を知らなかっただなんて、
余りに不勉強すぎました。

この二例はどちらもネット上で検証され「祭り」となり、
編集部も黙殺出来ない形になり、キチンとした対応をとったのだと思います。

こう言っては語弊があるかもしれませんが、
もしネットが普及する前の、電話・手紙以外に編集部に指摘する術をもたない時代ならば、
きっとこれらの事例は黙殺され、大きく騒がれずに何の謝罪も、
しかるべき対応もせずに終わっていたと思われます。

そういう意味ではネットの普及は、密室感の強かった漫画界に風穴を開けたのではないか?
と思います。



ただ、ネットは外部の査察委員会ではありません。
最近ではちょっとした類似点を見つけただけで、
即「パクリ認定」する短絡的な意見も多く聞かれる様になりました。
人によって何をどうみて「パクリ」と定義しているのかが分かりにくくなってます。

個人的には、ただ絵が似ているだけとか、
ストーリーが似ているだけならパクリとはいえず、
絵・ストーリー両方が似てても、前述の二作品の様に全体にわたってトレースするとか、
ストーリーのテーマやラストシーンがまさにそのまま既に発表された作品と同様であるかしなければ、
まだそれだけではグレーゾーンだと思います。

そもそも漫画界はパクリに対し寛容な業界でした。
名作「サルまん」で竹熊健太郎氏は
「戦後のストーリーまんがは、その手法において全て手塚治虫氏の"パクリ"」
であるとまで言ってます。
そういった寛容な世界だったからこそ漫画はここまで発展してきた側面があります。

しかし、さすがに現在にそんな中国の遊園地みたいな事が通用しませんが、
ちょっとした事ですぐに「パクリ認定」はしないほうがいいと思うのです。

そして、パロディとパクリは別モノです。
中には野中英次氏が池上遼一氏の、田中圭一氏が手塚治虫先生のパクリとか言ってる人もいる様ですが、
それはあまりにもパロディに対して理解がないと感じます。

池上氏は野中氏の作風をみとめ、読者として野中作品を読んでおり、
手塚先生の遺族である手塚るみ子氏も田中作品をみとめています。
パロディされる側がキチンとパロディを理解しているのです。

日本もフランスの様にパロディに関する著作権法が成立されれば、
短絡的な「パクリ認定」もなくなるのでしょうか?


・・・そういえば私が好きな作品「さよなら絶望先生」でこんなネタがありましたね。
「世界の中心で愛をさけぶはエヴァのサブタイトルのパクリだろ!!」
と叫ぶキャラの居る横で、そのエヴァのサブタイトルの元になった1969年発表のSF小説
「The Beast that shouted Love at The Heart of The World 」(邦題・世界の中心で愛を叫んだけもの)
を読んでいるキャラがいる・・・というのがw

パクリ認定にかぎらず、単なる思い込みで発言して恥かく事ありますからね。
私も気をつけたいモノです。

・・・とか言ってるクセに今回のこの記事に、
どこか重大な思い込みによる誤りがあったりしたらお間抜けですね。
もちろん間違いだと判明すれば即訂正し謝罪いたしマス・・・






yota874harahara at 22:55コメント(11)トラックバック(0)漫画の話  

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コメント一覧

1. Posted by ラジオランチ   2009年02月05日 07:44
その世界の中心で愛を叫ぶの作者様は自分が書いたコンピューターが人間に反乱するSF小説を書いていて、TとT2はそのパクリだと訴えて勝訴したという方ですからね…。ドラマで世界の中心で愛を叫ぶものが使われてます。知られた日には…。
2. Posted by 原田 高夕己   2009年02月05日 14:16
>ラジオランチさん。
「パクリ」といってもタイトルだけで、
そのタイトルも日本語の邦題からなので問題は無いでしょうし、知られた所で何もしてこないとは思いますね。
タイトルだけならば「リスペクト」と言う事(言い逃れ?)できますし・・・
3. Posted by 赤ダルマ親方   2009年02月05日 22:31
パクリとは盗作と同語?

作品の盗作ってのは非情に曖昧な部分が多いですよね?
どこまでがオマージュ、パロディでどこからが盗作なのか?

今の世の中全くの創造創作ってあるんでしょうかね?
どこかしら、何かしらが似ている事ってあるだろうし。

似てると言われたら、キチンと説明して「オマージュです」と
言った方が作品も続けられていいんじゃない?
「イキガミ」が連載中断しちゃってるしww

なんでもかんでもパクリだと騒いだら、物まねタレントなんて
存在できないし(>▽<)ノシ
4. Posted by 原田 高夕己   2009年02月07日 00:26
>赤ダルマ親方さん。
私はパクリと盗作を同じ意味の言葉とおもって、
今回の記事を書きました。

結局、いまさら新しいモノを生み出すのは不可能ですから、
従来の作品をうまく自分だけのアレンジをする・・・
それが"創作"なのだと思います。

で、膨大な量のショートショートを残した、
星新一氏の作品に似通ってしまうコトだって、
偶然にあり得ると思いますしねぇ・・・
5. Posted by ラジオランチ   2009年02月07日 10:36
でも、世界の中心で愛を叫ぶ者の作者様の場合は、迂闊にも、TとT2の監督様が世界の中心で愛を叫ぶ者の作者様の小説を参考にしたというコメントを新聞記者に喋ってしまい、TとT2の監督様が裁判で否定するもインタビューをしたテープが証拠になったのですが…。
6. Posted by 原田 高夕己   2009年02月07日 23:07
>ラジオランチさん。
セカチュー作者はタイトルだけを流用してるので、
(どうやらエヴァのサブタイトルからの流用で、"元祖"からの流用ではない様ですが)
そのTとT2が似ているという"キャラ"の話とは別の問題です。

内容も(読んでませんが・・・)全然違うモノの様ですし・・・

もしそれだけで(追記・作者が)噛み付いてきたら、
ほとんど「マックコーヒー裁判」の世界だと思いますよ。
7. Posted by ラジオランチ   2009年02月08日 07:26
そうですね…。迂闊でしたね…。わかりました。
8. Posted by MY   2009年02月08日 16:00
ラジオランチさんは原田さんが言った『噛みつく』という言葉をご自身に向けられた言葉だと思われてませんか?

コメント欄の『噛みついて来たら』は匿名掲示板のネット世論一般に向けた言葉だと思いますが…。

僕の勘違いならば失礼。
9. Posted by ラジオランチ   2009年02月09日 08:24
世界の中心で愛を叫ぶのタイトルのパクリの話なのに、ズレてTとT2の話を延々と書き込んでしまい、原田さんが噛みついたと書いたと思ったのですが…。どっちにしても話の論点をズラした事は迂闊だな…。と思いまして、書いたのですが…。
10. Posted by 原田 高夕己   2009年02月09日 09:09
>ラジオランチさん。
>MYさん。

いや・・・
本当にもう、私が言葉足らずだったせいで、
申し訳ありません。

「それだけで噛み付いてきたら」
ウンヌンのレスは、
「世界の中心で愛を叫んだけもの」の作者、
ハーラン・エリスン氏に対してです。

不用意にあまり乱暴な言葉を使うモノではありませんね・・・
気をつけねばなりません。

なので、別にラジオランチさんが噛み付くとか言うイミではないですし、
「パクリ認定」の一例なので、記事の話の論点ともそこまでズレていないですし、
私としても全然噛み付かれたなんて思ってません。

迂闊なのは私のほうですね。
不快な思いをさせてスイマセンでしたm(_ _)m
11. Posted by 泌尿器科ゲイ小池宏   2011年10月24日 08:31
けけけ

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原田 高夕己 (はらだ たかゆき)

売れないので兼業漫画家をしております。
現在「SPOMA」にて、プロ野球パロディ4コマ
「完全燃笑!プロ野球」が無料配信されています。
よろしければ、覗いてみてください。
http://spoma.jp/

トキワ荘好きが高じて、
トキワ荘通り恊働プロジェクトのスタッフもやっております。

【経歴】伝説のギャグ漫画家ながいけん閣下のアシを経て1999年にデビュー。
翌年小学館・少年サンデー超増刊にて「銀魚鉢」を一年間連載。
その後、2006年に芳文社・まんがタイムで4コマ漫画家として再デビュー。
未だ単行本を出す事無く、現在に至る・・・

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