クラフトビールを飲みながら、久しぶりにメシを食った友人とあれこれ話す。平幹二朗さんの話題に。以前ある稽古スタジオのエントランスで彼がケータイ片手に電話していると、そこにタクシーで到着した平さんが通りがかり「あ…平幹二朗さんだ」と思っていたところ、まったく面識がなかったのに深々と頭を下げ「おはようございます」と挨拶された、と。「あの幹二朗」に丁寧に挨拶された友人はそのカンパニーではなく別組の関係者だったのだが、おどろきそして感心し清々しいココロでご挨拶申し上げたと。「いやあ~やっぱりこれだよね」と彼。何がこれなのかはよくわからないが、うんおれもいやぁやっぱこれだよなと思う。「おまえいくつになったんだっけ?」と彼に聞かれ、ついこないだ45になったと答え、「そうだったそうだったちゃんとメール送ったよな~、つかおれもう今年で49だわ~」という話から、いまだ現役でバリバリ活躍しているこの業界のベテラン勢はみなステーキをガツガツ食うらしいぞおれらも食わないとなという話になって、しかし俳優・平幹二朗はすごいよねとなったのだった。でも僕らはその日ガッツリ肉ではなくスパイシーカレーを食ったあとで、おっさんふたり(片やソフトモヒカン)がカウンターに並んでカレーを食いながらスパイスの調合について「家でも結構やれるんだよ、あれとこれと混ぜて砕いてカレーに入れてみ、全然美味いから」「うんこんどやってみるわ」なんて話をしているさまは周囲の女子たちからはどう映っていたのかわからないが、じゃあらためて呑むかとふらふら回って入ろうとした店がことごとく満員でしばらく漂流したあとの、ビアバー。

 

ちょうど一年前、舞台『クレシダ』の本番中だった。開幕二日目に誕生日を迎えた僕は楽屋でお祝いしていただき、自分がもう44なんて信じられないウソみたいだな、と毎年新鮮な気持ちでそっくり同じ感慨(…驚愕)に浸るわけだが、そこから本当に一年も経ったのだろうかと数えてみたくなるくらいの高速でまたバースデーを迎えた。当然ながらひとつ年を重ねて45である。…ウソみたいですホント。その舞台で久しぶりにご一緒した平さんはもうこの世にはいません。その少しまえにやはり寿命を迎えた平さんの戦友(ご本人がかつてそう言っていた)・蜷川幸雄さんもすでにこの世にはいないし、年末に亡くなった父もおなじ。僕は自分のおやじのことを「父」、蜷川さんのことを「仕事の父」だとずっと思っていたのですが、ふしぎなことにふたりの父が同じ年に逝った。いろんな意味で自分にとってリスタートの年だなと意気込んで迎えた2017年が、もうあっという間に第三コーナー? やばい…早い…本当に矢の如しですね。いやいやお前はなにをそんなに焦ってるのかと叱られそうですが、うーんたぶんむかしからずっとこんな感じなんでしょうね。ともかく一年一年を大事に…ってありきたりだけど心底そう思うのです。大事にしたいことは、人と人とのこと。それから表現。もちろんそのために自分自身。つぎの一年の目標はずばり「オフェンス」です。志を高くもつのは自由ですからね、僕は20代のころ演技のイメージがうまくわかない時しょっちゅう「これディカプリオだったらどんなふうに演じるだろうか」と妄想していたわけですが、いま45になって「これマシュー・マコノヒーだったらどうよ?」と考えるのも自由でしょう。たまにはステーキ食って、バリバリ。


フジテレビドラマ『警視庁いきもの係』
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