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3月のある晴れた日、四国の西端にある明浜へと車を走らせていた。後部座席とトランクには段ボール一杯の本。とある縁で高松沖にあるハンセン病療養施設のある島、大島で生涯を終えた詩人塔和子さんの蔵書を故郷へ運ぶことになったのだ。

高松を出る頃はまだ冬の空気だったが西へと移動するにつれ空はどんどん青く、海の色も透明感を増してゆく。そしてトンネルを抜けると山の天辺まで続く段々畑は菜の花の黄色で覆い尽くされていた。全く現実感の無い楽園のような景色。

本たちは無事に明浜の資料館の職員たちに引き取られ、任務は滞りなく終わったのだが冬の高松に帰ってから暫く、あの四国の西端で見た光に包まれた春の景色が忘れられなかった。

思えばあそこから僕の南予通いが始まったように思う。同じ四国なのに見慣れた瀬戸内とは全く違う風景。リアス式海岸がどこまでも続き、入江入江に人々は張り付くように営みを送る。海には養殖筏が湾を埋め尽くすほど広がり、山はその頂きまで柑橘の段々畑として耕されている。与えられた自然の全てを使い、辺境とも言えるその地で逞しく生きる人達との出会いが旅を加速させる。

海は南下するほどその色をエメラルドグリーンに変えてゆく。国立公園にも指定されている宇和海は、絶滅したとされる日本カワウソが生存を確認されていた最後の海域でもある。また高知との県境の稜線は日本オオカミの最後の目撃例も。僻地故開発から取り残された辺縁は、動物たちにとっては最後の住処だったのだろうか。

伊達藩だった宇和島領域は一帯に東北文化が根付いている。祭りの鹿踊りが有名で東北の勇壮なものとは違い、子供たちにより舞われる哀愁を帯びた音色の踊りはこの土地に似合っていて美しい。

そのエッセンスが詰まった要塞集落外泊は四国大陸でも記事を書かせて頂いた。遥か九州大陸に沈む真紅の夕陽は忘れられない。
http://459magazine.jp/life/15014/


しかし楽園のように思われるこの地にも、過疎化や間近にある伊方原発の不安、山の稜線に連なる風力発電による低周波の問題など日本の現代の歪みが濃縮されたように折り重なっている。

愛南町を中心に広くこの地を旅し、特定の場所ではなくこの美しき自然と共に生きる人々の土地を指す言葉を探していた。

Rias Land、今は僕はそう呼ぶことにしている。この四国の最西端に、より大きなものと繋がって生きる人々のいる土地がある。

そこは黄色い光に包まれた、魂の西方浄土。



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