四ツ國日記

宮脇慎太郎 Photographer / solow  http://www.shintaromiyawaki.com

中ツ國遊行

檻の中の王

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その虚ろな目は一体何を見ているのだろう。
まだ見ぬ万年雪を被ったキリマンジャロか、永遠に追いつけぬサバンナの遥かな地平線か。
その身体に授かった野生の100分の1の力も使えずに終えるかも知れぬその一生。
彼の生涯、そのレアな運命に思いを馳せる。

しかしまったく彼のルーツに関係の無いこの極東の島国の子供たちに、100人に1人、いや1000人に1人でも地球、そして自然に対する興味を持たせるきっかけになるなら、その生は人間1人の生よりも遥かに貴重な生になるのかも知れないなと。

濃度という点では僕なんか遥かに彼に負けている。
全身で存在することがもう表現だという圧倒的さ。
ありがとう、待っていてくれて。
無駄にはしない。



再訪、グラウンド・ゼロへの記録。

ある日唐突に届いたメール。「広島の原爆資料館の人形が撤去されるって話知ってる?見に行かない?」
最近こんなことばっかりだ。ふっと流れが来る、パッと掴む。旅は突然始まる。でも思えば昔からそうだったのかも。

9.11が起こってからすっかり名称を取られてしまったけど、グラウンド・ゼロ(爆心地)への旅路の記録をば。


ヒロシマ・・・
そして現代日本をデザインした最初で最後の建築家、丹下健三の最高傑作。
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中は撮影が自由。入るのはほぼ10年ぶりか。入場料50円はサービスし過ぎ。
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まず目に入ったのは輝石だった。
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B級SF映画に出てきそうな原爆開発用の装置の数々、逆に無邪気な凶暴さを思わせる。
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ビフォー(しかしこの中州の先端部分かっこよ過ぎ)
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アフター
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1945年8月6日午前8時15分、広島に投下された新型爆弾により上空600mに突如現れた大火球。約半径2kmの全てが一瞬で消失した。こうして改めて書くとまるでSF、現実感はゼロ。

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そして例の人形・・・
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僕が受けた印象としては、今まで一貫して冷静に原爆の事を展示して来たのに、ここだけ確かに過剰な演出が入ってるように感じた。でも人形があるから恐ろしさが伝わるのも事実。長年あるのには理由がある。
ただこんなに作りこまれたマネキンだったっけ?とも。なんせ10年前の記憶なので曖昧だ。

人々の恐怖を一身に背負った人形たちは、どこか寂しげに疲れてる様にも見えた。彼らが撤去されるのなら、それもアリなのかもなとも。それはきっと開放だろう。この展示が無くても、周りをゆく人々(大半は外人)たちはみな言葉少なだ。何せ長崎と違って広島には市民運動により保存され、世界遺産にもなった原爆ドームがある。印象づける破壊のイメージは圧倒的なのだから。

しかしそれより気になったのは展示を見る日本人の態度。どうも真剣さが感じられない。外国人たちのほうがよっぽど熱心に見学してるようだ。

全てを見終わり、廊下を回りきると一気に視界が開けて眼下に平和公園が。
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眼科には明日から始まる広島最大のイベント、フラワーフェスティバルの準備が進む。写真で見た焼け野原はどこへやら、ほんの60数年ほど前のことだというのに太い樹木が公園に生い茂り、遊ぶ家族、行きかう観光客、平和そのものの風景が広がる。丹下健三はこの風景を見せたい為だけに、ここをこんな構造で作ったのじゃないだろうか。

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そして個人的に行きたかった広島のチベット寺院、龍蔵院へと一同付き合ってもらう。まだ夕方の法要には間に合うハズだった。なんとも形容しがたい喪失感、僕らも言葉数が減っていた。祈りが必要。

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広島駅から車で10分の住宅街の中、丁度法要中!前回の様子はこちら。前々回はこちら

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乾いた心に染み入るように、すっと入ってくるチベット語の読経。リズムが心を落ち着かせていく。

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そうだ、平和とはきっと、心の状態。意味が分からないからこそ感じれることもある。インドのダラムサラに帰る直前のトゲトゲさんにも会うことが出来た。

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そして残る二人の僧侶。
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ここにはこれからも機会があったら訪れたい。手首には、まだこの時巻いてもらたスンドゥ(ミサンガ)がある。
トゥジェチェ(ありがとう)・・・

同行者と別れ、次の日仕事を終わらせて一人帰路。
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最早戦後では無いと言われて久しい21世紀の地球。世紀末よりも世紀末らしく、世界の均衡はまた崩れてきているのかも知れない。次なる終末はいよいよフィジカルなものなのかも?という気さえするくらいだ。

でもいつもそうだ、答えなど出ない。目をつむる。彼らの祈りが聞こえる。

今、この瞬間も。




自分にとって祈りとは何なのだろう?それが答えなのかも?




いや、まだ分からないね・・・











広島・龍蔵院

日本唯一の正式なチベット寺院である広島の龍蔵院に行ってきました。
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広島駅の北の丘陵地に広がる住宅街、その小山の中にひっそりと。
実はここを訪れるのは2回目。いるかな?と思ったけど、当然のように彼らはいました。
前も思ったのですが、全然現実感が無い。

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チベットの僧侶は一日の大半をその日自分が唱えると決めたお経を唱えて過ごすそう。写真のトゲトゲさんも狭い境内を行ったり来たりしながらずっと何かをぶつぶつと唱えていました。

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前回来て夕方の法要の時間は分かっていたのでそこに参加させてもらうことに。ダライ・ラマ法王の為に用意された席の横で、一人だけども凄い迫力のお経を唱えだすトゲトゲさん。前回はたまたま運がよかったので3人の僧侶がいたのだけど、これが通常みたい。一対一(プラス仏?)の濃密な30分!

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仏に捧げる杯にお茶をすこしずつそそぎながら、経を唱え、それが溢れてこぼれそうになった時に調べはピークに達します。まだ頭に響きが残ってる。

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トゲトゲさんは8年の任期を終えて、年内にもチベットの亡命政府があるインドのダラムサラに帰るのだそう。楽しみですか?と聞くと静かにはいと答えた最高の笑顔。皆に会えるのですね。

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ただインドに帰ってからも、広島でやっていたように毎日神仏にお経を唱え続けるのでしょう。それはどこにいても変わらない。むやみに神聖化するつもりはありませんが、やはりこの世で一番尊い職業とは「祈る人々」なのだろうと。こういう人たちが地球からいなくなった時、本当に人類は滅ぶのでしょうね・・・


デビッド・ボウイの息子さんが監督をした「月に囚われた男」という映画を思い出しました。結局月に行っても、人間が向き合うのは自分自身。


トゲトゲさんが帰ってしまう前に、もう一回くらいいきたいなあと思います。




peace!



日本の中のチベッ ト ~広島・龍蔵院~

発展著しい瀬戸の軍都広島。

ここに日本でも希有なチベット人による正式なチベット寺院がある。
龍蔵院という真言宗の寺を間借りする形で。。。

広島駅からすぐ近くと聞いていたが、思ったよりも距離がある、それも急な坂を登ったり降ったりを繰り返した、入り組んだ住宅街の中。

車のナビは確かにここが目的地だと言い張るが、にわかにそれは信じられなかった。そして狭い山道を暫く登ること15分くらい、やっとこさたどり着いた。

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思ったよりも狭い、本当にここか?と思っていたがタルチョ(チベットの旗みたいなもの)を見つけて確信する。ここが日本のチベット寺院なんだ。


そしてもの凄く小さな本殿。。。

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元々神仏混交だった寺院なので鳥居がある、そこにタルチョがはためき、一瞬何教か分からない異様な外観。だが不思議と全体に調和が取れている気もした。

そして中はもっと凄い。

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ご自由に入って参拝してください、という札書に甘えて中へ入る、そこは極彩色!所々に日本の仏具を流用しつつも、しっかりとチベット密教式の祭壇ができあがっている。

そして傍らには。。。

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法王(ダライ・ラマ)の玉座が!凄い!思わず興奮。その時後ろに人の気配を感じ振り返ると、ニコニコとしたチベット人の若き僧侶が佇んでいた。

ぺこりと挨拶するが彼は構わず微笑んでいる、どうやら彼は日本語を解さないようだ。本当にここは日本なのだろうか?混乱してきた。彼はちょっと待てという仕草をして別棟の中へ。出てきたのは中年くらいのチベット人僧侶。

「こんにちわ」

あ、日本語だ~!そして彼も先ほどの若者に負けないくらいのニッコニコの笑顔。最近あんまり巷でみないようなね。

「こんにちわ、僕は四国の香川県からきました」

「ああ、香川ならいったことあります。ゼンツウジというお寺で砂マンダラを描きました」

凄い!世間話でしばし盛り上がる。どうやら彼が一番在日期間が長いらしく、あと二人いる僧侶はつい先日チベットから来たばかりなのだそう。定期的に僧侶が入れ替わりつつ、この寺院を維持しているらしい。

「どうぞ、中へ」

別棟の居住スペースに招かれて入ると、そこにはもう一人の僧侶がいて日本のテレビを見ていた。

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彼はチベットではかなり偉い僧侶みたいで、明日から来日してるダライ・ラマと供に東北へ行くと言っていた。たまたまだったが今日来てよかった。

本棚に火の鳥発見!ダライ・ラマ法王の写真もある。

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彼はチベットから来たばかりなので、色々現地の食物をお土産で持ってきていた。ヤクのチーズなど色々もらって食べる、それぞれまさに珍味といった味で美味かった。ビールが飲みたい。

これから今日最後の法要があるというので、この後見せてもらった。チベット語のお経はなんともいえない抑揚の利いたリズムで、日本のお経とはかなり違う。最高に早くなったときは鈴をかき鳴らしかなり激しい!でも根っこの部分では似てるなとも思った。入り込んでしまえば、意識は宙へ飛ぶ。観客?それは僕一人。

決して気取ったり気張ったりしてる様子も感じられず、一連の行為は全て自然体だった。僕はたまたまこの日にピンポイントで訪れただけだが、彼らにとってはこれが普通の日常だ。突然の来客にも極めて紳士に対応し、遥かに連なるチベットの山々のように静かな三人の立ち振る舞いと喋り方が印象的だった。全ていつもの通りということだ、当たり前だがこれは凄いことだ。一日の殆どを、この空間で過ごすそう。


国を追われ、その神秘性も相まって複雑な運命を歩むチベットとその人たち。映画の2012にも大津波に動じず最後を迎えるチベット人の老僧侶が出てきたが、たとえ明日世界が終わると知っても、彼らは毎日の法要を当たり前のようにこなし、その日を過ごすのだろう。



今は都会の隠者のような生活を送る日本のチベット人。それらを包み込む日本の仏教界に感謝すると同時に、あまりにもひっそりとした寺院にもっと便利のいいところをあてがってあげればいいのにとも思った。





帰りは街燈一つない真っ暗な山道。

「ライトはありますか?」

と皆心配してくれた。

「大丈夫です、持っています。今日は本当にありがとう!」

僕はその場を後にした。






これを書いている今も、きっとあの寺院ではチベットのお経が今日もあげられている。
それを想像するだけで、今日もえいやっ!と頑張ろうかなと思う。




そんな風景が無数にある。また、会いに行こうかな。







多謝!



広島県最大の巨樹

■八栄神社の大ヒノキ■

北広島町大朝岩戸の八栄神社の参道にある大小二本の大ヒノキ。大きいほうは胸高周囲約6m、樹高約25m、小さいのは、胸高約4m、樹高約29mくらい。大ヒノキは広島県内でも最大の巨樹!

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2株とも、支根の発達が著しく、力強いうねりを見せている。

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ここもボルテックスか?w

おまけ、これも広島で大朝の天狗シデ群生。イヌシデが突然変異によって変形、それが遺伝して伝わりこの地域にだけ群生している。世界でもここだけ!のとても珍しい天然記念物。

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ハッキリ言って着いた時は既に日暮れだったので不気味この上なく、この世ならぬ雰囲気でした。





多謝!





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