どうも夏鎖芽羽です(≧∇≦)この感想はブログ「本達は荒野に眠る」のものです。無断転載は禁止しています
さて、今回紹介するのは屋久ユウキさんの「弱キャラ友崎くんLv.9」です!
⚠︎ネタバレありです!
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前巻の記事↓ストーリー キャラ AA
内容は、レナちゃんに送られてきたLINEをきっかけに決定的にすれ違ってしまった友崎と菊池さん。そのことを知った優鈴と中村から友崎はファミレスに呼び出されて自分のしたことの意味を知ることになる。なんとか菊池さんとの関係は取り直したものの、友崎はゲーマーとしての自分の<業>とも呼ぶべき本質と向き合うことになる。そしてその中で明らかになる菊池さんのことと、日南葵が特別だという感情。果たして友崎は自分と向き合い、菊池さんと、そして日南に対する思いに向き合うことができるのか…とこんな感じです!
〜本質を暴け〜
シリーズ第9弾!累計120万部突破!アニメ絶賛放送中と今まさに油の乗りが最高の状態のシリーズですね!
まず言わせてください…

すごい

とにかくすごかった。413pの物語に屋久ユウキさんの描ける全てが詰め込まれていたと思います。キラキラ輝く青春じゃない。かといって泥臭く醜い自分自身と向き合う物語でもない。本質という誰にもわからない自分の核を暴いて暴いて明らかにして追い詰める。そんな物語でした。そして1巻の伏線をここで回収してくる。圧倒的すぎました。とにかくすごい。すごすぎてすごいしか言えないです。
さて、いつもはストーリーに沿って感想を書いて、キャラの魅力を伝えていくんですけど今回は以下の三つの視点で感想を書いていきます。

・友崎が自分の業を知る
・菊池さんが天使からデウス・エクス・マキナにジョブチェンジ
・日南葵が魔王から人間にジョブチェンジ

友崎が自分の業を知る
友崎がアタファミのオフ会で菊池さんとうまくいっていないことを明かして、自分の本質と向き合うシーンがあります。友崎の人生のプレイスタイルは究極の個人戦でチームプレイではない。その本質が暴かれ、菊池さんとの関係に決定的な亀裂が(目には見えませんが)生じることになります。恋人としての<形式>で誤魔化そうとしていた友崎はこれによって菊池さんとの関係性見直し、もとい自分が1人でどんどん世界を広げていく生き方の見直しに迫られます。ここですごいのがなんだかんだいって自分の本質を変えようとはしないことなんですよね。最初は周りとの関係を捨てて世界を狭めようとして菊池さんとの関係を守るために世界を広げるのをやめようとはしましたが、それは自分を変えようとはしていないですよね。本当は自分が個人戦をするのをやめてチームプレイをしようと考えてもいいはずなのに。そうしないところに友崎の強さの本質があって、ゲーマーとしてキャラを変えて「弱くてニューゲーム」をしようとしたり、みみみの言葉で気づくことができたり…友崎が本当に強キャラの理由は「自分の本質を変えようとしないこと」にあるんじゃないかなと思いました。

菊池さんが天使からデウス・エクス・マキナにジョブチェンジ

僕はこれまで無邪気に大天使・キクチエルとか言ってましたけど彼女はデウス・エクス・マキナでしたね…正直言って怖すぎます…背筋が凍る体験を久しぶりにしました…ずっと菊池さんに取材されていた…?なにそれ。怖すぎます。この物語の中で誰よりも人間離れしていたのは彼女でしたね…いや天使という意味では人間離れしていたかもですけど…文化祭の劇の中で日南にしか知られずに彼女のことを…いや怖い。怖すぎる。菊池さんをかわいい女の子として見るのは多分もう無理です。これ作中だと業って表現されますけど、どっちかというと無邪気な悪意に近い気がします…幼い子供が銃を持っていて安全装置は外れていて何かの動き一つで引き金が引かれるみたいな。しかも他人の核を暴く作品をネットに公開…?確実に弾丸ぶっぱなしてますよ…怖すぎました…

日南葵が魔王から人間にジョブチェンジ

これまで魔王として、倒すべきラスボスとしての日南葵がこの物語ではどこか徹底的に描かれていたと思います。それが今回ラストのたかが10数ページで普通の人間になってしまいましたね。確かに日南葵はこれまでもこれからもきっとパーフェクトヒロインですが、もうただの人間ですね。というか1巻の「人生はキャラ変できる」ってそういうことですか。本当にただの人間ですね。自分の正しさを誰かに証明させるのは魔王でも倒すべきラスボスとしての考えではなく普通の人間ですよね。友崎という強キャラに自分のメソッドを仕込んで正しさを証明させる。日南はどこまでもプレイヤーで、魔王じゃなかったんですね…そのことにすごくがっかりしている自分もどこかいます。この物語の行き着く先は「菊池さんと別れて友崎が日南という最強を倒す」物語だと思っていました。でも実は全然違くて「人間としての日南葵を菊池さんと救う物語」に舵を切ったなんじゃないかなーと思います。少なくとも前者はなくなったのかなと。多分それは文化祭編あたりでなんとなくわかってはいたんですけどね…でもこういう物語になったきっかけが、作者の屋久ユウキさんが友崎と菊池さんとの関係を切りたくないが故の結果なら、僕はそれはなんか違うとも思ってます。それこそ屋久さんが恋愛を神聖視しているのではないのかなとも思います。

と色々書きましたが…9巻ははちゃめちゃに面白かったです。こういう物語を読むために僕はラノベを読んでるんだなとラノベ歴10年にして再認識させられました。10巻待ってます。あと岩浅さん頑張ってください。


それではこの辺で(≧(エ)≦。)

書籍情報

タイトル



弱キャラ友崎くんLv.9



著者



屋久ユウキ



レーベル



ガガガ文庫



ISBN



978-4-09-451878-8


表紙の画像は「版元ドットコム」様より